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ドル崩壊!
 このところテレビでは経済や金融の話ばかりである。 昨年、アメリカのサブプライム・ローンが焦げついたのをきっかけに瞬く間に世界同時不況の嵐が吹き荒れている。
 個人的には投資とはほとんど無縁なので株価が下がっても直接の影響はないが、外国から輸入をしている関係上、為替が上がると影響はある。 対アジア圏との貿易についていえば、そのほとんどがドル建てで決済されるので、今の状況は輸入する物やサービスの価格が下がるということになる。 また、株や不動産で利益を生み出せなくなった資金が、金や穀物、原油などの現物市場に流れ込み、結果として小麦や原油の高騰を招き、日々の食料品やガソリンや灯油などのコストが上がってしまった。 まあ我が家の「実体経済」への影響としてはそんなところ。 逆に輸出関係、特に中小の製造業の方々にとってはさすがにシビアな局面になってきているのは言うまでもない。
 グローバリズムが支配する今の世の中において、世界経済の動きというのは否応なく日常生活に影響してくる。 別に経済音痴でも日常生活で困ることなどほとんどないが、これだけ新聞やテレビで金融や経済の話題ばかりだと、報じられるその内容や用語について理解や知識があるに越したことはない。 むろん報道のなかでもなるべくわかりやすく伝えようとしてはいるので、今起きている事態について大まかには理解しつつも、今日の世界的な金融危機の相関図を頭の中にイメージできるほどきちんと理解しているかというとそんなことはない。 というより全貌を把握するには事態が複雑過ぎるのだ。
 で、読んでみたのがこの本である。 著者の三橋貴明氏は2ちゃんのニュース極東板の「韓国経済wktkスレ」の有名コテ「三つ子の赤字神」さんであり、この「ドル崩壊!」を著す前に「本当はヤバイ!韓国経済」と「本当にヤバイ!中国経済」を上梓している。
 このさい3冊ともまとめて読んでみたのだが、日ごろ世界経済や国際金融に接していない人でもわかるように平易に書かれてありとても読みやすい。 またすべて著者自ら作製した表やグラフ、チャートも理解の助けになっている。 これは著者のポリシーで、何かの統計などよそから持ってきたグラフや表を貼り付けるのはダメで、こうした図表はあくまで自作する方が読む人にとってもわかりやすいということなのだそうだ。



ドル崩壊!_b0045944_14257.jpgドル崩壊!_b0045944_1422226.jpgドル崩壊!_b0045944_1423397.jpg
 まず「本当はヤバイ!韓国経済」だが、とにかく韓国経済は今や破綻寸前である。 もちろんそんなことは一切伝えない日本のマスゴミなので、一般の方々は韓国と言えば、韓流(笑)とかサムスンがブイブイいわせてるイメージしかないのかも知れないが、そもそも97年のアジア通貨危機の際に金融危機に陥り、日本政府が支援したのは記憶に新しい。 そして、日本は今もIMF(国際通貨基金)経由でその時の支援金の返済を受けている状況だ。
 そんな韓国だが、アジア通貨危機の際にIMFの管理下に置かれた苦い経験をまったく省みることなく、またしても経済が破綻しようとしている。 破綻に至ろうとしている最大の理由は韓国という国の産業構造そのものに起因しているのだが、その詳細については同書に詳しい。 「六つ子の赤字」を抱える韓国の未来は悲惨で暗い。
 次に「本当にヤバイ!中国経済」だが、「驚異的な経済成長」を続けているはずの中国経済が、実は既に崩壊に向かっているという事実を今さらながら再認識させられる。
 「中国の最悪の輸出品は数字である」と位置づけ、その政府発表による「驚異的な経済成長」の嘘を、他の国の対中貿易収支等の数字から明らかにし、その根本原因として腐敗し切った共産党一党独裁の弊害が中国経済にもたらしている様々な悪影響にも言及、最終章では来たるべき中国経済崩壊の時に備えた業種別のケーススタディと盛りだくさんの内容。 ただし中国政府発表の数字(GDP等)はまったくあてにならないということで、書かれていることのほとんどは広範な世界経済全般についてであり、その外側からの視点と分析によって虚飾に満ちた中国経済を丸裸にしようというもの。 毒餃子やメラミン食品どころの話ではないのである。
 そして最新刊の「ドル崩壊」。 ドットコム・バブルが弾けてリセッション(景気減速)の局面に陥ったアメリカに、住宅投資という新たな景気浮揚をもたらしたサブプライム・ローンと、それらのハイリスクな債権を結果的に世界中に拡大させることになった証券化の手法、さらに実体経済とはかけ離れた巨額のフェイクマネーを生み出す源泉となったデリバティブ、レバレッジの仕組みなど、アメリカの金融工学が生み出した様々なシステムについてわかりやすく解説しつつ、結果的にはそれらの債権を手から手へ売買してきた人間一人一人のモラルの崩壊こそが今日の金融危機を招いたと断じる。
 著者の三橋氏は中小企業診断士の資格を持つ企業コンサルタント。 企業の財務諸表、つまり損益計算書や貸借対照表、キャッシュフローなどを解析し、現状分析とアドバイスをするのが主な仕事。 同様の手法で一国の経常収支と資本収支を解析してみたところ、韓国についてはあまりにも明解に崩壊へのプロセスが見て取れ、中国についてはその数字自体が大虚であるという事実に気づき、先の2冊を上梓するに至ったということである。
 3つの著作に通底するのは筆者の資本主義への敬意であり、だからこそモラルを欠いた行為やアンフェアな取引へは厳しい視線が向けられる。 その憤りは時に活字の上でも罵声に近いほどの激しさを伴う。
 僕は博愛主義者じゃないので、日本の周りのゴロツキ国家が経済的に破綻してその国の国民が路頭に迷おうが知ったこっちゃないが、グローバル経済の今日、隣国が経済的に破綻すれば、日本もIMFなどの国際的な枠組みを通じて金融支援を求められることは確実で、その財源は我々国民の血税なのであるから笑ってばかりはいられない。 不幸にもこれらの国と経済的に結びつきのある方も同様である。 ただ、僕から見ればこうした反日国家と普通に取引きしている感覚の方がむしろ異常に映る。
 97年のアジア通貨危機の例を出すまでもなく、いつもは反日が国是の国々が、経済的に厳しくなってくると途端に日本にすり寄って来る。 このさい支援の条件に、その国の国家元首に靖国参拝して貰うっていうのはどうだろうか?
 日本はどこまでも地政学的に不幸な場所にある。 今から120年以上も前に「脱亜論」を説いた諭吉先生は、いま価値が高まりつつある壱万円札の上で何を思うのであろうか。


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by theshophouse | 2008-10-15 01:46 | Books
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