![]() パラグアイは伝統的に堅守のチームだが、今回のチーム構成は点取り屋のサンタクルスら欧州組を除く南米のクラブに所属する選手だけであり、ベストメンバーにはほど遠い。 一方の日本は南アフリカW杯三次予選を前に、海外組の松井と長谷部に加えて中村俊輔も帰国し、ほぼベストメンバーといっていい。 試合はコートジボワール戦同様、日本が長友や中村俊輔が絡んで左サイドから何度かいい形を作ったが、パラグアイは素早く対応し、マンツーマンとゾーンを巧みに使い分けて日本の攻撃の芽を摘んだ。 コートジボワール戦とは異なり、多くの時間帯で日本がボールを支配していたが、単に持たされているに過ぎず、一方のパラグアイにしても、無意味にボールを保持することなど興味がないかのように、ボールを奪ってからの攻めも単発なものばかりで迫力に欠けた。 日本のフォーメーションは4-2-3-1だったが、結論から言えばトップにもう一枚欲しかった。 パラグアイは巻にセンターバック二人で余裕をもって応対していたし、 両サイドバックは十分自分のサイドをケアできていた。 巻のところにまったくボールがおさまらないので無理もないが、二列目からの飛び出しもあまり見られず、時計の針が進むごとにゴールから遠ざかっていった前半だった。 後半。 岡田監督はアタマから遠藤に代えて松井を投入し、前線へ飛び出す駒を増やしたが、必要なのは巻のそばにもう一枚FWを置くことだったのではないだろうか。 投入直後、松井は何度か前線に飛び出したが、攻撃を活性化させるには至らなかった。 続いて岡田監督は後半18分に巻を下げて高原を、鈴木啓太に代えて長谷部を投入したが、戦術的にはほとんど無意味な交代だった。 更に後半24分には負傷した阿部に代えて駒野を投入。 僕はかつてジーコの時代に加地さんが右SBのポジションを欲しいままにしていた頃、阿部の右SB起用を小欄で訴えたことがあり、その働きを密かに注目していたのである。 彼の正確なキックと展開力はベンチに置いておくには惜しい。 ただ前半は左の長友が常に高い位置を取るためバランサーに徹し、攻撃参加はほとんどなかった。 それでも後半パラグアイが攻めに人数を割いてこないと見るや、左の長友同様に高い位置をキープし、深い位置まで上がってクロスを入れたりと、いい感じになってきたところで負傷してベンチに下がってしまった。 正直もう少し見たかった。 後半32分、岡田監督は山瀬に代えて大久保を投入。 ようやくFWが二枚になり、大久保が立て続けにシュートを放つ。 それまでほとんどフィニッシュにまで至っていなかったことを考えれば、この決断がなぜ後半32分までできなかったのか理解に苦しむ。 前線で一人放置プレイされた巻や高原は結局一本のシュートすら打つことができなかった(途中何度か寝てたので見逃してたらスミマセン)。 巻に至っては相手ゴール前で見事な「ディフェンス」まで見せてくれた。 まあ「髪一重」ではあったが。 残念ながら、あるレベル以上の相手に、4-2-3-1のワントップをこなせるFWが今の日本にいるとは思えない。 そこにはFWのすべての職能が求められるからだ。 日本のFW陣の現状を考えると、2~3人のコンビが欠点を補完し合って、互いの長所を引き出すやり方しかないように思える。 後半40分、岡田監督はトドメとばかりに中村憲剛に代えて今野を投入。 都合6人の選手が入れ替わったが、試合開始当初とはフィールドプレイヤーの6割が入れ替わった状況で、同じコンセプトを維持できるだけのコンセンサスが今の岡田ジャパンに存在するとはとても思えず、終盤は落ち着きのないバタバタとした印象になった。 自由に動き回る選手が多過ぎて本来のポジションの選手と被る場面も多く、逆に自分のスペースを消していた。 誰が何処に動いても常に密集から抜け出せなかった。 一方、ほぼすべての時間帯で、バスケットボールのオールコートディフェンスのようなプレスをかけてきたパラグアイ。 日本より2日分余計に休養を取ることができたのもあるが、そのディフェンスは執拗かつ強固だった。 ピッチ上の何処にもスペースらしきものは存在しなかった。 そういう難敵を相手にした時、いつものようにショートパスを繋ぐピンボールサッカーや、サイドからの殺気のないアーリークロス頼みというのも悲しい。 地上にスペースがなければ空中にそれを求めるのは必然。 時間帯によってはロングボールを蹴ってFWが競ったところに走り込むとか、古典的なやり方でも何らかの変化が必要な相手だった。 攻めの引き出しが少な過ぎるのだ。 最後まで不可解なだけだった岡田監督の選手交代。 これがテスト的な意味合いのものではなく、勝つためのものだったとしたら、この監督は本当にどうかしてると思う。 ほとんど顔見世興行のような選手起用だった。 結局、キリンカップの日本対パラグアイ戦は、互いのいいところを相殺するひと頃ののセリエAみたいな味も素っ気もない試合になってしまった。 数少ない収穫は代表デビューの寺田が無難にプレーしたことぐらいだった。 今僕は、来たるオマーン戦のチケットを買ったことを猛烈に後悔している。 このチームは個々の能力や戦術理解度は高いはずなのに、オーガナイズする人間の能力不足で停滞していると思う。 そもそも僕はまだ岡田監督を容認していない。 フランスW杯で3連敗した監督が、なぜいつのまにか代表監督の座にいるのか? なぜスタジアムで試合を観ているオシムに、現場は無理だとしても総監督的な立場でのディレクションを求めないのか? 或いはやはりオシムの体調はあまり良くなっていないのか? いっそオマーンに岡田監督を日本もろとも粉砕してもらいたい。 そうなったら、それまでだ。 ■
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by theshophouse
| 2008-05-28 00:50
| 蹴球狂の詩
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