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破綻しつつある中国のチベット支配
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 またチベットについて書く。
 上に載せた写真は2003年にチベットのラサで撮影された「便衣兵」である。 便衣兵とは一般的に市民と同じ服を着用した人民解放軍兵士を指し、敵を欺いてゲリラ戦を行う姑息な連中である。 これがチベットの場合はあろうことか僧侶に化ける。
 今回の「暴動」においてもこの便衣兵が暗躍したと言われている。 実際に今回の「暴動」の画像を見ながら検証してみた(すべての写真はクリックで拡大します)
破綻しつつある中国のチベット支配_b0045944_3455432.jpg
 「漢人経営の商店を襲撃する僧侶たち」の写真だが、まず暴動する側と鎮圧する側の距離が異常なまでに近い。 丸腰の僧侶たちに対峙する完全防備の人民解放軍に殺気は感じられない。 しかも明らかに多勢に無勢である。 本当に鎮圧する気があるなら、ものの10秒とかからない状況だ。 バリケード封鎖はかたちだけで、その距離感はまるで何かの見世物を最前列の特等席で観ているかのようである。
 バリ封するにしても、本来ならすべての商店のシャッター前を完全に覆い尽くしてガードすべきところ、なぜかわざわざ一店舗分だけ封鎖を解いているのも理解し難い。 恐らくは襲撃シーンの撮影用に必要な「演出」なのだろう。
 僧侶にしても、これだけ周囲を鎮圧部隊に包囲されているにしてはどの顔からも切迫した様子は感じられない。 「いいかおまいら、これから派手にやるからよーく見てろよ」という感じだ。 僧侶のなかには私服の上から袈裟を羽織った者もおり、なかには「着付け」がなってない者までいる。 さらに「同僚」に怪我をさせないように「放水攻撃」とは実にお優しい限りだ。
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 これも同様の写真だが、今度は僧侶が手に持ったこん棒のようなもので鎮圧部隊に殴りかかろうとしている。 ただ、このシーンにしても、右端の僧侶の独断専行に後方の僧侶たちは気後れしていて「おい、まだ”アクション!”の声が掛かってないぞ」という感じである。
 また、一枚目の写真同様にダウンジャケットの男がここにも写っている。 想像するにこの男は一般市民に扮してはいるが、撮影現場においてディレクターの役割を担っていたと思われる。 言うまでもなく暴徒化した僧侶役と鎮圧部隊、撮影班を現場で指揮し、プロパガンダのために最も効果的な一枚を撮るためである。
 男は左手で手招きしているように見える。 たぶん撮影者側の鎮圧部隊が暴徒化した僧侶と距離を置きすぎてファインダーの中にすら入らないので、もっと距離を詰めるように指図しているものと思われる。
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 最後の写真は大規模な抗議行動があった3月14日、ラサ市内をチベットの旗を持ってデモ行進している本物の僧侶の写真をAFPのマーク・ラルストンというフォトグラファーが撮ったものだが、僧侶たちの靴に注目して欲しい。
 僧侶たちはみな一様に黒のシンプルなズックのような靴を履いている。 ここであらためてさきほどの「便衣兵」とおぼしき僧侶たちを見てみると、その足元は思い思いのスニーカーでみなバラバラ。 どうやら中国人はコスプレの極意というものがおわかりでないらしい。

 事件以降、外国のメディアが強制退去させられたチベットだが、先日ようやく中国政府主催のプレスツアーが行われ、各国の比較的中国寄りのメディア(日本からは共同通信)ばかりが選ばれ、あらかじめ周到に準備された取材スポットで三文芝居を見せられた。
 ところがジョカン寺でプレスブリーフィングが行われているさなかに30人の僧侶が突如乱入し、メディアの前で涙を流しながら中国政府のチベット統治を批判するハプニングがあった。(→そのシーンの動画
 不完全なコスプレと緊張感のない演技でプロパガンダに水を差した便衣兵といい、プレスツアーでのハプニングといい、中国当局のチベット統治は明らかに綻びを見せつつある。

 FREE TIBET ! CHINA FREE !
by theshophouse | 2008-04-01 01:51 | Asian Affair
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