いよいよ加地さんの正式な代表引退が事実上決まった。 日本サッカーの黎明期から人材難に喘いできた右サイドに待望の新星が現れたのだ。 水野晃樹(ジェフ千葉=写真)である。
昨年のワールドユースの頃からその柔らかなボールさばきには密かに注目していたのだが、いくぶん線の細い印象は拭えなかった。 その水野がジェフでオシムの薫陶を受けてフィジカルを強化し、体も一回り大きくなってサッカー選手らしい体つきになってきた。 走力も格段にアップし、攻撃のみならずディフェンスでもきっちり仕事をこなせるようになってきた。 昨夜のU-21の韓国戦は、そんな水野の成長ぶりを披露する場となった。 水野は試合開始から終了まで、飽くことなく韓国の左サイドを蹂躙した。 相手に数的優位をつくられても突破できるし、簡単にボールを失わない。 何よりクロスが正確だ。 不幸にして味方FWにピンポイントで合ったのは数えるほどだったが、それはむしろFWのポジショニングによるところが大きい。 水野は常にゴール前のかすかなスペースを察知し、様々な球種のクロスを送り込んでいた。 問題はそのスペースに平山や苔口、カレンらがポジショニングできていないことにあった。 日本サッカー史上、様々な年代別の代表チームの歴代の戦いを見た時、右サイドからこれだけのチャンスが生まれた試合がかつてあっただろうか? もちろん左サイドの家長が意識的に大きなサイドチェンジをして何度も水野を使ったこともあるが、ボールを受けてからの突破力やクロスの精度はこれまでの日本の選手にはないほどハイレベルだった。 日本サッカーは「左ウイングの杉山」の時代から現在の三都主に至るまで、常に攻撃の起点となってきたのは左サイドだった。 それは日本サッカーの長所でもあり短所でもあった。 対戦相手には「日本には右からの効果的な崩しはないから左さえ抑えれば大丈夫」という意識が生まれ、実際にもそうした対策がとられてきた。 日本の右サイドが危険な香りを発するようになれば、伝統の左も生きてくるのである。 水野の登場は、日本代表が長いこと抱えてきた不毛の地に新たな種を撒くものだ。 ただ、サッカー選手にとってこの年代は微妙だ。 かつて前園真聖がオリンピックをそのキャリアの頂点として輝きを失っていったように、何かの歯車が狂ってしまうとそれを取り戻すことは難しい。 その多くは、若い頃に体の線が細かった選手がフィジカルを向上させようとマシントレーニングや筋トレに精を出すあまり、それまで持っていた柔軟性を失ってどっちつかずの中途半端な選手になってしまうパターンである。 この段階をうまくクリアしたのが中村俊輔や松井大輔であり、あまりうまくいかなかった中田英寿は引退の時期を早める結果になった。 いずれにしろオシムには、北京五輪の二次予選などスルーして、年明けのA代表の初戦に水野を召集してもらいたいものである。 水野晃樹一口メモ ●ワールドユースに出場したDFの水本裕貴とともに、「ジェフのウォーターボーイズ」と呼ばれ ることもある。 ●新聞などで紹介される本人コメントからは、率直にものを言う性格がうかがえる(ワールドユ ースでの「あのデカイの(=平山相太)」発言など)。毒舌ぶりが鼻につくが、同世代にはお となしい選手が多い中で水野のようなキャラクターは貴重。 ●その平山とは高校時代から縁があり、水野が高校二年で出場した高校総体の準決勝で、 平山を擁する国見高校と対戦している。その時の対戦では2-5で敗れている。 ●高校時代のチームメートとして、1年上に菊地直哉(現ジュビロ磐田)がいる。 ●従兄に鈴木啓太(浦和レッズ)がおり、兄和樹も静岡FC(社会人リーグ)に所属するサッカ ー選手である。 ソース : 水野晃樹【Wikipedia】
by theshophouse
| 2006-11-22 15:37
| 蹴球狂の詩
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