何かの店をやる場合、とりわけ貴金属品など高価な品を扱う店の場合にはその店のセキュリティを確固たるものにしておく必要があるのは言うまでもない。 日本ではALSOKとかセコムのような民間警備会社に警備を委託するのが普通だ。
たびたび小欄に登場するバンコクの店のオーナーから聞かされた話なのだが、バンコクにも同様に民間の警備会社があるにはあるそうなのだが、玉石混淆も甚だしく、信用のおける警備会社を見つけるのは至難の業だそうである。
しかしながら現実問題として様々なトラブルも起こるし物騒な事件にも遭う。 そういう場合に頼りになるのはやっぱり「地回りの警官」なのである。 これも普通なら「地域を管轄する警官」と書くべきところなのだが、実際は前述したような数多のトラブルを未然に防いでいる対価として公然と「みかじめ料」を要求してくるのがタイの警官。 だから「地回り」の方がしっくりくるのである。
権力を持つ者が腐敗するのは世の必定。 世界中を見渡せば、むしろタイのように「副収入課金システム」を有している警官の方がグローバルスタンダードなのかも知れない。 ただ一応後ろめたさは感じているみたいで、誰も見ていない場所(実際は「お天道さま」に見られていたわけだが)で人目をはばかりながらこっそり今月の売上を数えているのである。
もちろん最初はそうした慣習などまったく知らなかったオーナーも戸惑いながらこうしたタイ独特の「システム」を理解していったようなのだが、タイの警官、やる時はきっちりやるらしく、店の売上げをかっぱらって逃げた犯人を逮捕したり、凶悪犯相手には実際に拳銃を発砲したりすることもあるらしい。
無用のトラブルを回避するために地回りの警官と良好な関係を築いておくことは、バンコクで商売をする人間にとってそれがどんな業種であれ必要不可欠な要素のようである。
それにしても動画のネーミングのセンスには嫉妬せざるをえない。