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巨泉をもてはやすマスコミに一言
 今年は日本の野球がまったく面白くない。 その最大の要因はイチローのマリナーズ入りによって、NHKの衛星放送でほぼ毎日試合が生中継され、スポーツニュースでその活躍が毎日のように報じられているからに他ならない。 もしイタリアやイングランドのサッカーが地上波で放送されていたらJリーグを観る人は誰もいなくなるだろう。 人はよりレベルの高いものにひかれるものだ。 そこへ行くと日本の野球は相変わらずの護送船団方式というか、巨人が金に任せてスーパースターを一人占めし、他球団といえばその巨人人気にもたれかかって経営が成り立っている。 よくセ・リーグは人気があり、パ・リーグは人気がないと言われるが果たしてそうだろうか? 断じて否。 人気があるのは巨人だけである。 他のセ・リーグの各球団は「巨人と戦う」ということにおいてのみその存在価値がある。 つまり巨人なきセ・リーグ人気はあり得ない。
 一方セ・リーグの、いや球界全体の人気を背負って立つ巨人はどうか? その人気は長期政権に及ぶ長嶋監督のカリスマに負うところが大きいというのが実状だ。 これまで何度もシーズン中の監督解任を口にしてきた「日本球界の癌」バカツネオーナーも、日本テレビの氏家社長からその度に長嶋人気と視聴率の相関関係を持ち出されては思いとどまってきた。 最近では「21世紀も行けるところまでは長嶋監督で」というのが両者の既定路線だ。 長嶋監督をいつまででも続けたいというのが巨人軍、読売新聞社、日本テレビの思惑であり、そのために必要なのは勝利のみである。 勝ち続けることによって長嶋監督解任の必要性はなくなる。 ところが長嶋監督には監督としての才能はお世辞にもあるとは言い難い。 であれば圧倒的な戦力によって、勝利を監督の采配から切り離し、選手個々の力量のみでもぎ取ってしまえばよいと考えた。 こうして工藤、清原、江藤、マルチネス、メイといった面々が集められた。 しかしこれらの選手はいずれもベテランである。 既にピークは過ぎている。 これからは下降線をたどる選手ばかりだ。 そして名前に相応しい働きをできなくなった瞬間にはロッテの石井や阪神の広沢のように「早期退職」されられるハメになる。 残念ながら巨人から捨てられてその後活躍した選手はほとんどいない。 みな巨人で選手としてののりしろを出し尽くしてしまってボロ布のようになってしまうからだ。 残念ながらあとは悲しい引退の時が訪れるのを待つばかりだ。 巨人というところは派手なスポットライトを用意してはくれるが、その影の部分は暗く深い。
 大橋巨泉は朝日新聞夕刊に書いているコラムで、日本の野球がつまらなくなった原因としてこのような巨人至上主義的な球界の在り方を批判しているが、これには僕も100%同感である。 ただ氏は他の要因として、日本の球場に見られる私設応援団のラッパや太鼓などいわゆる鳴り物による応援スタイルが日本の野球観戦をつまらないものにしていると断言しているが、僕はこの意見にはまったく同意できない。 氏は私設応援団がけたたましく応援するために、一球一球の投げ、打ち、捕るという野球の最もダイナミックな瞬間の音がかき消されて聴くことができないとしている。 それは確かにそうかも知れないが、そんなことでファンが野球をつまらないと思えば、とっくにスタジアムに足を運ぶ人はいなくなっているはずだ。 このような応援スタイルの違いは、そもそもアングロサクソンとモンゴロイドという異人種間での集団心理や行動の差異に起因しており、それを野球観戦の洗練度に置き換える氏の言説は勘違い以外の何物でもない。 良くも悪くもこれが日本人の民族性であり応援スタイルなのだ。 合戦、ええじゃないか、百姓一揆、祭り、ちんどんやといった大和民族の歴史や原風景がこのような応援スタイルを導き出したのである。 観客は野球観戦のみならず、「応援」という行為そのものを楽しんでいるのである。 大橋巨泉のように何でもかんでもアメリカ的なものの方がいいというような言い方は乱暴である。 とても分別をわきまえた大人の意見として受け取ることはできない。 なぜ日本までアメリカと同じような応援をする必要があるのか僕にはまったく理解できない。 野球という国際化しつつあるエンターテイメントの中で各国の民族や風土の違いが見えた方がどれだけ面白いだろう。
 大橋巨泉はいまだに戦後アメリカのモノや文化が日本に入ってきた時のショックを引きずって生きているのであろうが、21世紀を迎えた今、日本の人々はアメリカ的な価値観のみならずヨーロッパやアジアにも目を向けている。 すでにアメリカ至上主義といった時代ではない。 現代はまさに多様性の時代なのである。 そんななか大橋巨泉の生き方や言動がオヤジ世代に注目されているのは単なるノスタルジーであり、彼と同世代においてはやはり氏はカルチャー・ヒーローなのであろう。 ただ、これまでのようにアメリカ一番みたいな言説を押し付けるのはもうやめにしていただきたいものだ。 彼のような単なる「日系アメリカ人」をいかにもコスモポリタンのようにもてはやす日本のマスコミも知能が低い。 今こそ僕は巨泉をもてはやす日本のマスコミ各社に猛省を求める。 テレビよ、新聞よ、自社の報道理念を持ちたまえ!(2001/5/3出稿を再録)

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by theshophouse | 2004-11-19 00:00 | Critique
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