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<   2008年 12月 ( 9 )   > この月の画像一覧
The Birds Barbie
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 ヒッチコックの「鳥」。
 テレ東の「午後のロードショー」のヒッチコック特集の定番ということもあり、最低でも年に1回ぐらいはどっかの局で放送されている印象。 生来の鳥好きも手伝って、放送されていれば手を止めて最後まで惰性で観てしまう映画である。

 ペットショップで出会った弁護士ミッチに無礼な態度をとられたメラニーは、気まぐれと好奇心からミッチを追ってデボラ湾に向かうが、その途中一羽のカモメに襲撃される。 その翌日、カモメだけでなく、あらゆる野生の鳥たちが人間を襲い始め、小さな町は大混乱に陥る。 普段は人間に無害なスズメやカラスといった野生の鳥たちが突然訳も無く人間たちを襲いだす恐怖を描いた動物パニック映画の傑作。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5710/birds.html

 メラニー(ティッピ・ヘドレン)が鳥の群れに襲われるシーンは本作のハイライトだが、撮影には彼女を襲うように仕込まれた本物の鳥が使われ、彼女自身も逃げ出せないように床に縛りつけられていたそうである。 実際彼女は体じゅうを鳥に突かれたうえに左目の下に傷を負って半狂乱になったという。
 そんな知られざるエピソードとともに映画史上に残る名場面がバービー人形になった。 別にバービー人形に興味はないけれど、これはちょっと欲しくなった。
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by theshophouse | 2008-12-31 01:59 | Movie
根津の串揚げ処 はん亭
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 このところ食べ物についてのエントリーが続いているなあと思いつつまだ続く。
 「はん亭」は串揚げのお店。 明治に建てられ関東大震災にも耐えた木造の3階建ての日本家屋はもともと運送屋の季節労働者用の寮だったそうである。
 つい最近になって道路の拡張により不忍通りに面した部分を削り取られ、蔵の切妻の屋根の稜線はその途中で見るも無残にぶった切られたものの、そのままなら目を背けたくなるような切り口を鉄のフレームで補強し、なおかつそれ自体が巨大な縦格子となって視覚的な緩衝地帯をつくり出し、例えが適切かどうかは別として、かつての格子女郎を覗き見るようなミステリアスな雰囲気の中に建物を浮かび上がらせている。 歴史的な建造物の保存と継続利用のための大胆かつユニークなソリューションである。
 1階はテーブル席で、2階と3階がお座敷席になっている。 串揚げは基本的におまかせで「串揚げ6本、お通し2品、生野菜」2,835円の一の膳以降は自分のおなかと相談して追加し、以降はストップするまで次々と串が供されるシステムである。 山海の旬の素材をふんだんに使ったその美味しさは言うに及ばない。 串揚げというのは相性のいい酒を選ばない八方美人な食べ物で、ビールも日本酒も焼酎もワインも何でも合う。 大阪の新世界で食べる串カツも大好きだけど、ちょっとお上品な東京の下町の串揚げも大好きだ。
 お店のホームページにも掲載されている「串揚げの召し上がり方」という小冊子には英語表記もあり、外国からのゲストなどをもてなす場所としても利用価値は高い。 はん亭のある根津・谷中界隈には有名な外国人旅行者向けの「澤の屋旅館」なんかもあったりするので外国人の客も多いようである。
 実を言うと、はん亭のすぐそばに取引先の額装屋さんがあってたまに行く。 今度は昼間に行ってみよう。


お店DATA
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●店名 : はん亭
●場所 : 東京都文京区根津2-12-15
●TEL : 03-3828-1400
●営業時間 : 11:30~15:00(LO14:00)、 17:00~22:00(LO21:30)
●定休日 : 月曜日
●Website : http://www.hantei.co.jp/
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by theshophouse | 2008-12-30 12:00 | Food
PiSeRoの肉まん
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 PiSeRo(ピセロ)は東急東横線の学芸大学の駅から歩いて3分のところにある肉まんと花巻、饅頭(まんとう)のお店。 本場台湾の肉まんです。
 新しいお店でもないし、味については「食べログ」等で既に言い尽くされているので、僕があらためて書くようなことは何もないけれど、何を食べてもとても美味しいの一言。 文章よりも写真をお見せした方が美味しさが伝わると思うので、上の写真をご覧ください(クリックで拡大)。 いつも持ち歩いてるオリンパスの安いデジカメで撮った写真なのでアレですが、雰囲気ぐらいはおわかりいただけるはず。
 もちろん「百見は一食にしかず」である。 駒沢通り沿いで駐車場はないものの、不景気のせいか(笑)最近になってすぐそばににコインパーキングが続々と出来ているのでクルマで行ってもちょっと寄って買えるようになったのは嬉しい限り。
 僕のオススメは「キャベツ肉まん」です。


お店DATA
………………………………………………………………………………………………………
●店名 : PiSeRo(ピセロ)
●場所 : 東京都目黒区鷹番3-19-19
●TEL : 03-3760-8860
●営業時間 : 10:30~19:00(火曜~土曜)、 10:30~18:00(日曜)
●定休日 : 月曜日
●Website(blog) : http://pisero.exblog.jp/

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by theshophouse | 2008-12-26 01:11 | Food
シャーロックホームズのハンバーグ
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 「シャーロックホームズ」に行った。 2度目である。
 思えばこれまでの人生でさまざまなハンバーグを食べてきたものだが、シャーロックホームズのそれは間違いなくベスト3に入るものだ。 2度の機会でそれは確信に変わった。
 ハンバーグほど各々の店で出されるその内容に個体差が生じるメニューというのもない。 地元の食堂「きさらぎ亭」のハンバーグ定食のハンバーグは「おばあちゃんのハンバーグ」といった趣き。 一方、新宿のしょんべん横町の定食屋で頼んだハンバーグ定食。 ほどなくしてお皿に乗っかってきたのは紛れもない「石井のハンバーグ」だった。
 ただ、個人的に石井のハンバーグ(ミートボールも)は好きだったし(笑)、場所も場所だし、値段も500円だったし・・・ということで「まあいいか」と納得して食べた。
 しょんべん横町で思い出すのは「つるかめ食堂」の「ソイ丼」である。 東京に出てきて間もない頃、ぶらりと入ったつるかめ食堂のカウンターで「さて何を注文したものか・・・」と迷っていると、後から店に入ってきた当時阪急で活躍していたアニマルそっくりの外国人が、慣れた口調で「Soidon!」と注文したのであった。 そんな怪しい外国人につられて思わず注文したソイ丼。 それが新宿を代表するソウルフードであることは後で知るのだが、大豆と挽き肉をカレー味で炒めて煮たものをご飯にぶっかけたところに唐突にスモークハムを乗っけた、これぞB級グルメの王道というスタイルのどんぶりである。
 と、書いてたら無性にソイ丼が食べたくなった。 話も本筋からそれたので、これについては今度何年ぶりかであらためて食べに行ってから書くことにする。 今日のお題はシャーロックホームズのハンバーグ。
 シャーロックホームズは東京都下に3店舗を構えるハンバーグレストランである。 町田に2店舗、立川に1店舗。 こうした立地条件ながら「食べログ」の「東京ハンバーグレストランランキング」でも常に上位に顔を出している。
 和牛100%の俵型よりも更に長い棒状のハンバーグ。 レアで食べるのがデフォルトだが、レアだと口の中で溶けてしまうようなおぼろげな食感なので、食べ応えという点では逆に物足りなさを感じてしまうほどである。 あらかじめ厨房内の備長炭でグリルされ、最後に客席テーブル上にて焼き加減を調整して仕上げてくれる。 6種類のソースを選べるのも嬉しい。 一例を挙げると、標準的な1,980円(税別)のハンバーグセットでハンバーグの他にチキンとソーセージ、付け合わせの野菜もかなりのボリュームである。 これにライスかパン、スープ、サラダ、デザートの盛り合わせ、ドリンクがつく。
 ある人は食べログにこの店のことを「ハンバーグは美味いが、デザートは不味くて食べられない」などと書いているが、いったい何様のつもりなのだろうか。 まるで何処かのフレンチ・レストランで10,000円のコースでも食べたかのような口ぶりである。 僕も食べたがデザートは十分美味しかった。 もちろん値段とか店の雰囲気とか様々な要素を考慮したうえでそう思う。 はっきり言ってこの値段でデザートの4点盛り(ケーキ、アイスクリーム、シャーベット、フルーツ)がつくことじたい破格なのであり、あくまでハンバーグがメインのレストランでこれ以上のデザートが食べたいのなら自分で他所のケーキ屋にでも行って食えばいいのであって、わざわざネットに「デザートは不味くて食えない」などと美食家よろしく書き込んで悦に入ってるというのはとても滑稽なものだ。 まあこの程度の書き込みなら笑って済ますこともできるだろうが、モンスター・ペアレントに続き、こういう勘違いも甚だしい自己中の「モンスター・コンシューマー」も増殖しているのだろう。
 ご親切にも政府は「消費者庁」なるものを創設してクレーム対応を一元化しようとしている。 本来なら各々の企業のお客様相談室あたりがやるべき仕事にわざわざ役人のポストを用意しても新たな利権構造を生むだけであり、まともなクレームだけならいざ知らず、こうしたモンスター・コンシューマーのカタルシスの壮大なツールにされるのがオチだ。 これこそ税金の無駄使い以外の何物でもない。
 そうかと思えば、検索して人様のブログを見にきたら、そこで自分が心酔するデザイン家電が批判されていることに逆上し、珍妙なHNとDQNワードでコメント欄を汚し、その書き込みに管理人から罵倒レスつけられて逆ギレし、今度は他のエントリーのコメント欄に別のHNで殺害予告して警察に通報されるような「モンスター・コメンター」もいる。 今年の夏、このブログでの出来事である。
 事実、今回僕からの通報を受理していただいた警察庁のサイバー犯罪係の方にはご面倒をかけることになってしまったわけだが、こちらとしても「殺害予告」という一線を超えた脅迫を受けた以上看過するわけにもいかず、しかるべき対応をとる以外にない。 世の中に跳梁跋扈するバカどものせいで本来不要な部署や機関の需要もまた増える。 本来ならもっと生産的な仕事をしていたであろう多くの人々がバカどもの対応に貴重な時間を浪費し、人生を忙殺される。 バカは存在そのものが罪悪だが、無論バカどもはその事について無自覚だ。 また話が本筋からそれた。
 シャーロックホームズ。 そんな殺伐とした世の中に、ひとときの幸福を運んでくれるハンバーグである。


お店DATA
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●店名 : シャーロックホームズ 町田街道店
●場所 : 東京都町田市根岸町144-1
●TEL : 042-792-2901
●営業時間 : 11:30~15:00(LO14:00)、 17:30~22:30(LO21:30)
●定休日 : 火曜日
●Website : http://homepage2.nifty.com/shiroganetei/sl-index.htm
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by theshophouse | 2008-12-25 23:31 | Food
神泉彷徨
 日雇いの仕事をしていた頃の仲間と忘年会。
 どういうわけか僕が仕切ることになったのだが、現場仕事やってる奴ばっかりなので、だいたいにおいて集まりは悪い。 したがって「よし、今回はいつもの飲み会と違って忘年会だし、ちょっと張り込んで良さそうな店でも予約してみるか」なんて考えてみたりもするのだが、実際当日時間を決めて待ち合わせても、頭数が揃うことなどまずない。
 そんなわけで、当日の夜も行き当たりばったり。 来るメンツの誰もが帰りやすいということで場所は渋谷。 東急文化村の入口で待ち合わせた。
 ところが約束の7時になっても人っ子一人来やしない。 家を出る時から降っている雨も止みそうにない。 このままボーッと一人待ちぼうけるのもしゃくなので、さっき来る時にあったバーにシケ込んでることにした。 Barnicha(バルニーチャ)という店。 最近できたみたいだ。

 もう何年も前になるが、このエリアで1年ほど働いていた。 渋谷区松濤。 そういえば、爆発事故があった温泉施設「シエスパ」はこの店のすぐ裏だ。 あの事故のグラウンド・ゼロ、今どうなっているんだろう。
 このあたりって昼メシ食う場所には事欠かない。 「八竹亭」は無愛想な兄弟がやってる定食屋で、NHK帰りの役者さんなんかも来る。 鮭バター定食は絶品である。 カウンターの内側に陣取るオーナーの兄弟は昔から仲悪そうだったのだが、喧嘩のあげくついにどっちかが店を出て行ったらしい。
 「魚力」は一見普通の鮮魚店なのだが、店の奥が定食屋になっている地元の有名店。 魚屋だけあって魚はやっぱり旨い。 お昼時はいつも込んでて、行ってすぐ座れる時はけっこうラッキーって感じだった。
 ちなみにこの魚力のところから山手通り方向に坂を登って行くと、話題の麻生首相の邸宅がある。 僕が以前勤めていた会社、以前麻生邸から「椅子40本」の注文を貰ったそうである。 電話がかかってきていきなり「椅子40本持ってきて」という注文だったそうだ。 さすが川筋者、豪快である。

 ビールを2杯空けた頃携帯が鳴り、M君が文化村の入口に着いたというのでとりあえず場所を変えて飲み始めることにした。
 あらかじめ当たりをつけておいた円山町のホルモン屋に行ってみる。 ラブホの間を縫うように歩いて行くと店はすぐに見つかった。 だが、あいにく満席で席が空くのが午後9時15分というので、二次会の場所としてリストアップしていた立ち飲み屋に行ってみることにした。 場所は神泉町の交差点。 渋谷駅からだと道玄坂を登り切った先になる。 「渋谷の果て」というのがふさわしい場所だ。
 店の名前は「Buchi」。 この近所に事務所を構える友人に教えてもらったのだが、その友人もまだ中には入ったことがないという。 1階が「立喰酒場 Buchi」で、地階が「buchi 坐房」。 地階は座れる分だけ料金が高いもののメニューは同じ。 とりあえず立ち飲みスペースのセンターミッドフィールドのシマに取りついてワインで乾杯。 最後に飲んだのが例のリーマンショックより前だったので、その後の景気状況なんかについて意見交換。 さすがにお互い「イイ話」はないものの、それでも今はまだ何とか、といったところ。
 「Buchi(ぶち)」というのは広島弁で、「とても」の意。 博多弁で言うところの「ばり」である。 なんか急に広島菜でごはんが食べたくなってきた。 酒も肴も和洋何でもあり、ワインもフルボトルで2500円からとなかなか良心的。 なぜかカップ酒が豊富っていうのも面白い。

 さて、立ち飲みとはいえその居心地の良さにすっかり落ち着いてしまったわけだが、気がつくとすでに午後9時を回っていたのでさきほどのホルモン屋に戻ることにした。 しかしながら5人集まるところいまだ2人のままである。 ずいぶん前に「少し遅れる」と電話を寄越したN君は、こちらからかけても電話が繋がらない状態になってしまった。 こうなったら最悪2人でもしょうがないとあきらめムードになりつつもホルモン屋に突入。 「あじくら」という店。
 煙がもうもうの狭い店内はスリランカ人の店員さんが3人で切り盛りしている。 スリランカ人とホルモン焼きがうまく頭の中で繋がらないものの、流暢な日本語にびっくり。 スリランカ人といえばウィッキーさんだが、自宅近所のスーパーで特定品種のレトルトカレーを買い占めているのをよく見かける。 やはり南アジア系の人にはカレー屋さんがよく似合う。 この「あじくら」にも裏メニューとして「スリランカカレー」なるものがあるらしいが、店員さんたちのまかない用かも知れぬ。 そういえばこのへんに「ムルギー」ってカレー屋さんがあったっけ。
 肝心のホルモンはどれも新鮮で衝撃を受けた。 この場所でこの値段でこの味。 いろんなギャップに戸惑いつつ箸を進めているとK君が遅れて登場。 ようやく3人が揃ったものの時刻はすでに午後11時前で、2時間という時間制限もありほどなくお開きにせざるをえなかった。
 帰り際、渋谷に来たらいつも行く百軒店のジャズバー「きゅりお」の前を素通りしたのだが、最初「少し遅れる」と電話してきたN君はその後携帯の電池が切れ、ノキア製であるがゆえに市販の緊急バッテリーの類も入手できず、きゅりおで待っていたそうである。 ノキアユーザーの泣きどころだ。
 携帯があるからと高をくくっているとこういうことも起きる。 いつでも相手と繋がるための携帯が、逆に人と人との関係を希薄化しているような、そんなことを感じさせられた夜だった。 新年会で仕切り直したいものである。

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お店DATA
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●店名 : 立喰酒場 BUCHI
●場所 : 東京都渋谷区神泉町9-7 野本ビル1F
●TEL : 03-5728-2085
●営業時間 : 17:00~03:00
●定休日 : なし
●Website : http://www.to-vi.jp/buchi/

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お店DATA
………………………………………………………………………………………………………
●店名 : ほるもん倶楽部 あじくら
●場所 : 東京都渋谷区円山町7-12 イケダビル1F
●TEL : 03-3462-8811
●営業時間 : 18:00~06:00(月~木・祝前日)、07:00(金・土)、02:00(日・祝日)
●定休日 : なし
●Website(ぐるなび) : http://r.gnavi.co.jp/a138300/
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by theshophouse | 2008-12-24 23:47 | Food
マクルーハンの光景 メディア論がみえる
b0045944_11261830.jpg 子供の頃、家の廊下の行き止まりに本棚があった。 そこには親の蔵書のいくつかが収められていたのだが、不思議なことにそのなかの3冊のタイトルだけは今でもはっきりと覚えている。 なぜその3冊だったのかということについて言えば、特に深い理由があったとは思えない。 たぶん当時の身長の僕の目線と同じ高さの棚に並んでいたために、何かにつけて網膜に焼きつけられたのだろうと思う。 その3冊とは「サンリオの奇跡」「日本をダメにした100人」「マクルーハンの世界」である。
 「サンリオの奇跡」は上前淳一郎がキティーちゃんでおなじみのサンリオという企業の「奇跡」というか「軌跡」を描いたもの。 「日本をダメにした100人」は、ばばこういちが独断と偏見で選んだ100人を斬った本。 こちらのサイトで当時僕が見ていた本の表紙の画像や不名誉にも「日本をダメにした100人」に選ばれたお歴々のご尊名を見ることができる。 当時子供だった僕は、表紙の中にいわゆる世間で立派だと言われている人たちの名前をたくさん見つけて衝撃を受けていた記憶がある。
 「マクルーハンの世界」はメディア論の始祖とされるカナダの英文学者を評論家の竹村健一が初めて日本に紹介した書である。 ちなみに竹村健一は前出の「日本をダメにした100人」にも選ばれている。
 本人が他界したのでもはや確認する術はないが、いずれも父の蔵書だったのだろうと思う。 特に「サンリオ」と「マクルーハン」については、広告代理店の営業だった父が、何か仕事の参考にしようと持っていたと思われる。

 マーシャル・マクルーハン。 おそらく或る年齢以下の人の多くはその名前すら聞いたことがないだろう。 僕とて子供時代に視覚的な刷り込みを受けていなければ同じだったと思う。 しかし、彼に傾倒し交流を持った人々の名前なら誰でも聞いたことがあるはずだ。 ジョン・レノン、グレン・グールド、バックミンスター・フラー、ジョン・ケージ、ナムジュン・パイク・・・。
 マクルーハンについて主観的に書けるほど彼の著作に詳しくないので、Wikipediaの記述を引用させていただく。

 ハーバート・マーシャル・マクルーハンHerbert Marshall McLuhan, 1911年7月21日 - 1980年12月31日)はカナダ出身の英文学者、文明批評家。 メディアに関する理論で知られる。
 アルバータ州エドモントンに生まれ、マニトバ大学とケンブリッジ大学で学ぶ。 1952年よりトロント大学教授。
 もともと英文学教授であったが、メディアに関する理論の方が彼を著名にした。 あらゆる視点からの斬新なメディア論を展開。
 「メディアはメッセージである」という主張。 普通、メディアとは「媒体」を表すが、その時私たちはメディアによる情報伝達の内容に注目する。 しかし、彼はメディアそれ自体がある種のメッセージ(情報、命令のような)を既に含んでいると主張した。
 テクノロジーやメディアは人間の身体の「拡張」であるとの主張。自動車や自転車は足の拡張、ラジオは耳の拡張であるというように、あるテクノロジーやメディア(媒体)は身体の特定の部分を「拡張」する。 しかし、単純に拡張だけが行われるのではなく、「拡張」された必然的帰結として衰退し「切断」を伴う。
 他にも、「ホット」と「クール」なメディアという分類や、「メディアはマッサージである」というテレビメディア論、グローバルヴィレッジ(地球村)のような分析・視点など、実に様々な理論を展開している。
 生前に、大衆雑誌や映画にも出演したため、「ポップカルチャーの大司祭」というような形容で言い表された。 しかし、学者の間では賛否両論に分かれ、陶酔的に耳を傾ける者もいる一方で、実証的な検討なしの思いつきでしかないというような批判もされた。 現在、メディア研究において重要位置を占める存在のうちの一人とされる。

                                マーシャル・マクルーハン【Wikipedia】

 マクルーハン・ブームは1960年代に突如として起こり、ブームという現象が常にそうであるように、やがてすぐに忘れられた。 しかしながら、本書がそうであるように近年再評価の対象になっている。
 マクルーハンは、1963年に雑誌「ロケーション」に寄稿した文章「外心の呵責」のなかで、電子時代の到来によって私たち人間に起こった変化についてこう述べている。

 電信の発明以来、私たちは人間の脳と神経を地球全体に拡張させてきた。 その結果、電子時代は実に不安な時代となった。 人間は、頭蓋骨を内側に入れ、脳みそを外側に出して耐えている。 私たちは異様に脆弱になった。

 マクルーハンの言葉は論理的ではなく感覚的に受け取った方がその真意に近づけるような気がする。 「考えるより感じろ」だ。
 また、自ら提唱した「地球村(Global Village)」という概念についてこう記している。

 文字文化以後の人間が利用する電子メディアは、世界を収縮させ、一個の部族すなわち村にする。 そこはあらゆることがあらゆる人に同時に起こる場所である。 あらゆることは起こった瞬間にあらゆる人がそれを知り、それゆえそこに参加する。

 これを「国境のない世界」とお花畑的理想郷のように解釈していたのがレノンで、後に二人はカナダで対談するのだが、本書にはその対談の模様も収録されており、僕には二人の会話に表面上破綻はないものの、どこかかみ合わないものを感じた。
 レノンと違い、グールドはその概念を正しく理解していた。 彼がマクルーハンの論文「外心の呵責」の翌年にすべての演奏会活動を辞め、スタジオでの音楽活動に専念したのは偶然ではないだろう。
 グールドは自らの著作のなかでドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の一節を引用し、地球村に何らの幻想も抱いていないことを明かす。 暗示的な一節だが、インターネットが世界中に普及した今日の状況をも予見したようにも受け取れる。

 遠いへだたりが克服され、思想が宙を飛んでいくのだから、世界の一体化は強まり、友愛の結びつきはさらに密になる。 そんな主張をする者がいる。 ああ、そのような一体化など信じてはならない。

    Goldberg Variations 1-7
           お時間が許すなら、10分間手を休めてお楽しみ下さい。
                   2分54秒からの第一変奏・・・。

 ケージの場合、「易の音楽」や「4分33秒」など、マクルーハンの登場以前から既に自らが実践していた実験的な音楽のロジックを後発のマクルーハンに求めたのかもしれない。
 ケージについては思い出がある。 1990年に池袋に出来たトヨタのショールーム「アムラックス東京」のオープニングイベントでジョン・ケージがパフォーマンスをやると聞きつけた僕は友人と二人でパーティーに潜入したのだった。 今から思えばバブルの絶頂期だった。
 レセプションでゲストブックに名前を書くために視線を落としていた僕から、すぐ隣のゲストブックに名前を書き始めた男の袖口が視界に入った。 赤い三本線のジャージだった。 「何だこの場違いな野郎は?」と男の横顔を見てみると細野晴臣だった。 彼は上下赤のジャージ、首にはタオルを巻いていた。 相当「狙って」きたのか、単にジョギングの途中だったのかは今でも謎である。 ケージはその2年後に亡くなった。

    John Cage "4'33"
          お時間が許すなら、4分33秒間耳を澄ませてお楽しみ下さい。

 パイクはマクルーハンが提唱した「地球村」の概念をヴィデオ・アートという切り口から実証しようとしたとも言えるのではないだろうか。 マクルーハンの地球村という概念の主要な要素である「同時多発性」を表現するために彼が用いたのは衛星中継、つまりサテライト・アートという表現方法だった。

    A part of the "Wrap around the World"
       ボウイと教授の国境を超えた漫才を衛星中継するとはさすがパイクw

 マクルーハンは奇しくもジョン・レノンが凶弾に倒れた1980年12月8日から23日後の12月31日の睡眠中、脳卒中でその生涯を閉じている。 その2年前にも脳卒中で倒れ、左脳を損なって言葉を失い、自宅で静養中だったという。
 今日のインターネットの発達による情報化社会を最初に予見したのはアルビン・トフラーだった。 トフラーはマクルーハンが没したのと同じ1980年に、その著書「第三の波」において、当時すでに発売されていたアップルⅡ(1978年発売)に搭載するべくアップルが開発中だった「アップルトーク」に着目し、それまでは個別に完結した存在だった家庭用コンピューターが電話回線で結ばれてネットワークを形成することを予測し、それは90年代にインターネットというかたちで現実になった。
 メディア界のトリックスター、マクルーハンが死ぬ間際に夢想したもの、それはどんな社会だったのだろうか。 彼が生きていたら、今をどう解釈し、どう定義したのだろうか? それはトフラーが予見したような即物的で明解なものではなく、空想的で難解なものだったはずである。 そして、それゆえにまた多くの同時代人や芸術家を惹きつけたに違いない。
 我々はこれまで以上に「外心の呵責」と向き合わなければならない社会に生きている。
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by theshophouse | 2008-12-18 02:01 | Books
Tama strikes back !
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 久しぶりのたま吉である。
 あまりに長期間登場しなかったので、なかには「たま吉もついに逝ったか・・・」と思っておられた方もいるかも知れない。 しかし、御覧のように健在である。 まだよちよち歩きのうちに我が家に来たのが2002年の秋なので、まるまる6年になる。
 いつもはリビングの鳥かごにいるのだが、僕がリビングから自分の部屋のデスクの前に移動したりすると、リビング→廊下→僕の部屋と飛行して、PCのキーボードの上にランディングしてメッセージをしたためる。

 、。・;お;l

 言わんとしていることはだいたいわかる・・・はずもない。 口の減らないのも相変わらずで、最近は「トリクサイ(鳥臭い)」を11回連呼したりする。 もちろんこのCMの影響だ。


 ともあれ、元気だ。
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by theshophouse | 2008-12-09 03:05 | Iiko et Tama
学生気分に戻った夜
 僕は書評のエントリーにはその本の画像を載せるようにしている。 はっきり言って、その画像を転載する許可を版元に得ているわけではない。 著作権法に則ってみれば明らかに違法な行為だが、僕の素人丸出しの書評を読んでその本に興味を持ち、その本を購入する酔狂な人がこの世の中に一人ぐらいいないとも限らない。 つまり「これでもほんの僅かぐらいは宣伝になっているはずだ」という独善的な希望的観測によって、本来違法な画像の転載を「勝手に」合法化しているわけである。
 著作権云々についてこれ以上ここで深く掘り下げるつもりはない。 このブログには書評に限らず実に様々な画像が存在し、そのなかには著作権上問題のある使い方をしているものもかなりある。 しかしながら、ここは一日に千人も万人も見られているようなブログでもないし、そういう意味ではほぼ個人的な備忘録の域を超えるものではないのであり、こうした画像の使用については「大目に見て下さい」というのが正直なところである。 もちろんしかるべき方面からの削除要請には迅速に対応させていただく所存である。

 以前このブログの書評のカテゴリーで「チーム・バチスタの栄光」について書いた。 そして先日、とある場所でその「チーム・バチスタの栄光」の本の装画を描かれた方と偶然席を同じくする機会に恵まれたのである。
 このイラストレーターの方はこの大ヒット小説の著者である海堂 尊氏の他のシリーズ「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラル・ルージュの凱旋」「イノセント・ゲリラの祝祭」などの装画も手がけられておられる。 いずれも医療器具などを写実的に描いたイラストがとても印象的だ。 僕にとって、手にした小説の内容はともかく、その装画や装丁が印象に残ることなど滅多にあることではないので、それはやはり何らかの訴求力をもった装画だったのだと思う。
 僕は反射的にブログ上で本の画像を勝手に使用したことを申し出たのだが、イラストレーター氏は心の広い方で笑って許していただいた(ように見えた)。 もっともこの場合、著作権はイラストレーター氏ではなく装丁家、いや出版元の宝島社にあるのかも知れないが、この際そんなことはどうでもいい。 僕の中ではそのイラストを描いたご本人から「お墨付き」をいただくという僥倖に恵まれたのである。

 ちなみにこのイラストレーター氏の旦那様が、僕が学生時代憧れた大御所イラストレーターの某氏と知ってまた驚いた。 学生時代、既に美術史のアーカイヴの中に押し込められようとしていたウォホール、リキテンシュタイン、ホックニー、ラウシェンバーグ、ポロックらに熱を上げていた僕にとって、彼は日本におけるカルチャー・ヒーローの一人だった。
 世の中狭いものである。
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by theshophouse | 2008-12-08 23:43 | Non Category
偽善エコロジー 「環境生活」が地球を破壊する
b0045944_250264.jpg 本書の内容はそのタイトルに集約されている。 僕もかねてから世間一般で云ういわゆる「エコ」というものには非常に懐疑的な立場であり、最近では誰もが知るところとなったペットボトルのリサイクルのとんでもない実態と、それに群がる役人の天下り先の特殊法人などの利権構造など、こと環境に関して政府が旗振ってやってることの大半はインチキだと思っている。
 それでも、これまで分別して捨てていたペットボトルが、実際は燃えるゴミとして生ゴミや紙屑などと一緒に出して燃やしてしまった方がはるかに環境に良いし、無駄なコストもかからないなどと言われるとにわかには信じ難いものがある。 しかし、本書を読み進めていくうちにそれは確信に変わっていくのである。
 現在、最も環境に悪い生活をしている人について、本書で語られている言葉を借りて定義すると以下のようになる。
 すなわち、「スーパーではレジ袋を使わずにマイバッグ(エコバッグ)を使い、外食ではマイ箸を使い、生ゴミを堆肥にし、洗剤より石鹸を使い、プラスチックや古紙やペットボトルや空き瓶や食品トレイをリサイクルしている人」である。
 自分に関して言えば、これらのうちで自主的にやっているものはひとつもなかったが、最後のプラスチック以降のリサイクルについては法制化されているので、普通に分別して捨てるだけで環境に反する行為に加担していることになってしまうのは悩ましいところだ。 なかでも他人の目に触れるという点で、エコバッグとマイ箸は今後「環境についての情報弱者だけが持つ”恥ずかしい”アイテム」として絶滅危惧種になること間違いなしである。 もしこれから買おうと思っている方がおられたら全力で思いとどまるべきだ。
 最近、僕の住む東京都区部では、それまで「可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミ(古紙、アルミ缶、ガラス瓶、ペットボトル)」と三つに分別して捨てていたゴミを「可燃ゴミ、資源ゴミ」の二つの分別に変更した。
 これは不燃ゴミを燃やさずそのまま埋めていると物理的に処分場が足りなくなってしまうということと、焼却炉の性能が向上し、たいていものはキレイに燃やせるようになったという二つのファクターに起因するものと思われるが、良い方向に進んでいることは間違いない。 もっとも著者はゴミの分別について「金属とそれ以外に分けるだけで良い」との主張を展開しており、それはとりもなおさずかつての日本の姿、つまりリサイクルなんて概念が存在すらしていなかった昭和の頃のゴミ出しの姿に回帰することである。
 家電リサイクルやクルマのリサイクルのために問答無用で徴収される「使途不明税」も「環境のために」と言われれば、国民はたとえ生活が苦しくても払うしかないのである。 要するにエコロジーとかリサイクルなる概念は、バブルが弾けて税収が下がったにも関わらず自分たちの生活レベルを維持しようと画策した役人たちが体よく利用した錦の御旗に過ぎない。
 著者は本書において日本の環境行政のほぼ全般に渡って辛辣な批判を展開しつつ、それが副産物として日本人にもたらした人心の荒廃をも憂う。 その憤りはむしろ後者の方にこそ力点が置かれているかのようだ。
 日本の環境行政を本来あるべき姿に戻すためには、著者のように環境についてあくまで原理主義、実証主義的に取り組み、ドラスティックに改革するしかないと思われる。 国交相に代わって新たな「公明枠」になった感のある環境相だが、個人的には「推定無能」な現職などさっさとクビにして武田氏を民間から登用して欲しいと思う。
 すべての日本人が刮目して読むべき一冊である。
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by theshophouse | 2008-12-05 08:56 | Books



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