Top
<   2008年 07月 ( 4 )   > この月の画像一覧
クライマーズ・ハイ
b0045944_3121716.jpg
 「クライマーズ・ハイ」は、これまでも小説とNHKドラマでその世界を堪能してきた。 小説はもう何度も読み返したし、ドラマも再放送など含め3回観た。
 そしていよいよ映画化となったわけだが、素材となった日航機墜落事故が起こったのは1985年、今からもう23年も前のことである。 当時僕は大学生だった。
 やはり映画は娯楽である。 23年という年月は、この悲惨な事故が、その扱われ方はどうであれ映画という娯楽の俎上に乗るためにどうしても必要な時間だった。 日航機墜落事故はそれほどまでに日本人に服喪させ続けた事故だった。 公開前、事故現場となった群馬県上野村において特別試写会が行われ、多くの村民が鑑賞したというエピソードも、実に日本人らしい仁義の切り方である。 アメリカにおいていわゆる「911」絡みの映画が事件後数年のうちにいくつも公開されたのとは対照的だ。
 もちろん二つの国の二つの出来事の間には様々な差異があり、単純に比較などできないことは知りつつも、僕は日本人で良かったと思う。 日本人の一人として、その日本人の「時間感覚」に賛意を表したい。 そして、あらためてこの事故で亡くなられた多くの方々に哀悼を捧げたい。

 テーマがテーマだけに一瞬たりとも笑えるようなシーンがない映画である。 プロットが同じだけに、やはりどうしてもNHKドラマと比較してしまう。
 地元で未曽有の航空機事故と遭遇した地方新聞社を舞台に、広告営業や販売といった部局間闘争や派閥抗争といった「内なる戦い」と、中央と地方というジャーナリズムの世界に厳然として存在するヒエラルキーに抗う「外との戦い」が活写されている。
 ドラマでは佐藤浩市が演じた主人公の北関東新聞の遊軍記者・悠木和雅を演じるのは堤真一。 個人的にはドラマでの佐藤浩市のイメージが定着していて、少しは違和感があるかなと思っていたが、さすが当代一の人気役者、見事に自分の役にしていた。 また、ドラマでは大森南朋が演じた県警キャップの佐山達哉役の堺雅人も同様だ。 更に言えば、整理部長の亀嶋を演じたでんでん、原作においては男性の役で群大工学部出身の3年生記者である玉置と編集部庶務の依田千鶴子が一緒になった「玉置千鶴子」を演じた尾野真千子も良かった。
 驚いたのは、映画化にあたって脚色が加えられ、原作やドラマにおいてストーリーの重要な部分であった、取材中に交通事故死した悠木のかつての部下の従妹・望月彩子とその読者投稿のエピソードがまるごとカットされていることである。 悠木はこの投稿を採用したのが原因で後に草津通信部に左遷されるのであり、故に悠木が北関東新聞社を辞めるシーン以降の最後のシークエンスは原作とはまったくの別物になっている。
 個人的にはこの望月彩子の投稿のエピソードを外したことには失望した。 「報道の在り方」という原理的なテーマに鋭く斬り込んだシーンだっただけに惜しまれる。 結果的に最後で悠木が辞表を叩きつけて出ていくような大失態を犯したわけでもないので、そのあたりのプロットの整合性には疑問が残る。 別物となってしまったラストシーンの海外ロケ部分もほとんど無意味。 蛇足とは正にこのことである。
 出演者の「キタカン(北関東新聞)」や「オオクボレンセキ(大久保清・連合赤軍)」など略語の多用や早口な台詞まわしはリアリズムなのだろうが、原作を読んでいない人にはツライいかも知れない。 基本的には「原作を読んでから観ろ」という姿勢の映画である。 さらに僕から言わせてもらえば、原作に加えてNHKのドラマも観てからこの映画を観て欲しいと思う。
 映画のスケールメリットが奏功し、御巣鷹山の墜落現場のシーンや谷川岳の衝立岩を登攀するシーンの描写はNHKのドラマを遙かに凌駕する。 しかしながら総合的に見れば、ドラマの方が出来が良かったと言わざるをえない。 それでも編集局内の描写は圧巻である。 今となってはやや前時代的な北関東新聞社編集局内の景色。 その中で大の大人たちが丁々発止、東奔西走の末に紙面をつくり上げていく。

 毎日降版(締め切り)までに紙面をつくっていくというのは大変な作業だ。 無論ただ紙面を埋めればいいというわけではない。 まずそこには正確な報道というものがあり、そして論説には新聞社としての主張が要る。
 子供の頃、「将来何になりたい?」という問いに「新聞記者」と答えていた時期があった。 しんぶんきしゃ。 世間知らずの童心ながらにその響きから発せられる知性とか気高さといったものに魅了されていたのかも知れない。
 小学生の頃、ガリ版学級新聞の編集長をやったことがあり、決して乗り気ではなかった他のクラスメイトの代わりにスクープから4コマ漫画まですべて自分でつくって発行した。 今から思えば至福の時だった。
 最近、その英語版で「変態記事」を10年にもわたって世界中に配信していたことが発覚して大幅に部数を減らした毎日新聞や、相も変わらぬ亡国路線で部数を順調に減らしている朝日新聞などを眺めていると、これらの新聞社には日本人としての誇りや報道人としての矜持といったものが欠落しているような人材しかいないのではないか、と疑いたくなる。
 そうではない。 そんな不逞の輩はごく一部に過ぎない。 この映画は、新聞記者、ジャーナリストという職業が、真実に真摯に対峙する姿が、やはりとても魅力的で格好いい仕事なのだとあらためて実感させてくれる。
 新聞の「色」は一面トップの記事や社説などにではなく、目立たぬベタ記事の扱いにこそ出るという。 受け取る側も、その行間に込められた送り手の思いを読み解く力を持ち続けていたいものである。


ホルモンでーす(ドラマと映画の比較)
クライマーズ・ハイ(小説とドラマのレビュー)
横山秀夫中毒者の独白
Uncontrol !
映画『クライマーズ・ハイ』公式サイト
朝毎読「部数激減」の非常事態
[PR]
by theshophouse | 2008-07-23 02:11 | Movie | Comments(0)
デスノートの歩道橋
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
b0045944_1221127.jpg
 いまタイで『デスノート』の L(エル)が爆発的人気になっており、もはや社会現象になりつつある。タイでは『デスノート』の主人公・夜神月(やがみらいと)や死神・リュークよりも L に人気があり、街中で L のTシャツや L のバッグ、L の人形や L のシールが売られている(それらは勝手に作った違法グッズがほとんどだが、日本からの輸入品もあるようだ)。
 タイの首都・バンコクはもちろん、どんな町を歩いていても L や『デスノート』をモチーフにした服やバッグ、ポーチ、アクセサリーなどが売られており、それらを身に着けたタイ人たちを多く見かける。『デスノート』のデスノートをそのままソックリに作り上げて販売している店もある。ノートの中はいままで夜神月が書いて殺してきた人物の名前が忠実に書かれている。つまり、夜神月が持っていたデスノートを忠実に再現したものだ。
 また、タイは最近までメイド喫茶(2008年5月に閉店)があったほどオタク文化が浸透しており、コスプレイベントも毎週のように開催されている。そうなれば、L のコスプレイヤーも当然ながら現れる。あまりの L の人気ぶりに、夜神月やリュークにコスプレする人は見当たらず、『デスノート』のコスプレといえば L というのが定番になっているほど。会場が L のコスプレをする人たちであふれかえることもあるという。ある意味、それはちょっとコワイ。
 L の人気はこれからも続きそうで、タイとタイのコスプレ会場から L がいなくなることは数年先までありえないだろう。もし『デスノート』ファンのあなたがタイに行くことがあるならば、L の日本のみで発売されている正規品のグッズを身につけていこう。きっと、タイの『デスノート』ファンたちから注目されるはずだ。

ソース : タイで『デスノート』の L が爆発的人気!【Ameba News】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「デスノート」がタイでもヒットしたのは知っていた。 以前僕が出張で行った時にもちょうど公開中で、街中にも各所にビルボードがあったりしたのを覚えている。
 やはり性別の垣根が日本より遥かに低いタイのこと、どこか中性的な L は魅力的に映るのかも知れない。
 ただ日本での公開時、評価がいまひとつだったスピンオフ作品「L change the WorLd」の評判はどうだったのだろう?
 この作品については、一部タイで撮影が行われたこともあり、そうしたこともタイでの L の人気に繋がっているのかも知れない。 
 この「デスノート」にまつわる裏話がある。
 主人公の夜神月(やがみらいと)の自宅だが、実在する個人宅がモデルになっているのだ。
 「デスノート」を制作したスタッフは、当初この個人宅でのロケを目論んだものの、家主の承諾を得られず、やむなくこの個人宅をスタジオセットとして忠実に再現するため、住居内をくまなく実測し、写真を撮影していったという。
 もっとも完成したセットで忠実に再現されたのは間取りとスケール感のみで、インテリアの色調や家具などのスタイルはいわゆるニューファミリーの郊外型住宅という感じのごくありふれたものになった。
 そして、このお宅のそばにあるのが、このスロープが特徴的な歩道橋である。 映画では夜神月と死神リュークが会話しながら歩いていたシーンを覚えている方もいるだろう。
 ただ、このスロープが架かる道はさほど交通量が多いわけではないので、この歩道橋はほとんど使われていないのが現状だ。 とはいえまったく意味を成していないというわけでもないので「トマソン」というわけでもない。 とにかく微妙な立ち位置にある歩道橋なのである。
 目下のところ、この歩道橋が「デスノート」の記念碑的な場所になっているわけでは決してなく、この歩道橋の名前でググってみても1件も引っかからない。 ここを訪れるのは、日常的にこの歩道橋の「脇」を通り過ぎる地元の人々と、慢性的にネタに困っているどっかのブログの管理人ぐらいのものである。

b0045944_13115285.jpg

[PR]
by theshophouse | 2008-07-17 23:41 | Movie | Comments(0)
眠れぬ夜に
b0045944_154348.jpg
          http://labs.topicmaker.com/ghost_photography/

 このところ急に暑くなってきた。 特に僕の昼間の仕事場は空調がないので、非常にツラい。 どデカい産業用扇風機を回し続けてはいるものの、扇風機の風が当たらない場所に行くとたちまち額に汗が滲む。
 「冷房は体に悪い」という根拠なきお題目を信じているような冷房否定派ではないが、自然の風で涼めるものならそれに越したことはない。 たとえば、帰宅してすぐに冷たい水のシャワーを浴びれば、それだけで部屋の冷房などつけずにしばらくは快適に過ごすことができる。

 前置きはこのへんにして本題に入る。

 とある真夏の夜、もしあなたが寝苦しい夜を持て余していたとする。 冷房はついているはずなのにさっぱり効かない。 部屋には自分一人。 不快な湿気を纏った空気が徐々に部屋中を埋め尽くしていく…。
 そんな時にご覧いただきたいのが、僕が厳選した3つのビデオテープである。

          http://jp.youtube.com/watch?v=RhV2Kp3rxDA
          http://jp.youtube.com/watch?v=8p05JAbfIHU
          http://jp.youtube.com/watch?v=MyB9XWCPGSc

 もしあなたが別の理由で寝苦しくなっても、僕はいっさい関知しない。
 閲覧はあくまでも自己責任で。
[PR]
by theshophouse | 2008-07-14 01:41 | Mystery | Comments(6)
アーロンチェアーの死角
 もうずっとこれに座っている。 購入する時にお世話になった杉○さんには今も足を向けて寝られない。
 或る日、この椅子が置いてある自分のデスクの前にごっそりと埃の塊が落ちていた。 掃除機の中の埃が何かの拍子に落ちてきたのだろうぐらいに思い、その時は気にせずにいた。
 ところがそれから3日と置かずにまた同じ場所に同じような埃の塊が落ちていたのである。 さすがにこれは何かあると思い、埃の発生源をあれこれと検索してみたが、デスクまわりにこれといって埃が溜まる場所などない。 そんな時、ふと傍らのアーロンチェアーに目がいった。
 考えてみれば、1回目も2回目も「事件」現場に一番近い場所にいた「第一発見者」であるアーロンチェアー。 改めてその容貌をしげしげと眺めてみると、座面の下にこのメカニカルな椅子のコア部分に相当するプラスチック製のボックスがあるのが見える。 はたと思い当たってそのボックスの上を指でなぞってみると、つい今しがたまでそこに大量の埃が堆積していたのを誇示するかのように、指に埃が付着した。
 考えてみればこの部分、この2年間華麗にスルーしてきた場所だった。 アーロンチェアーの場合、背もたれの裏側にあるランバーサポートの上部に溜まる埃というのはすごく目立つし、頻繁に埃を払ったりもするのだが、通常のパソコンチェアーの場合、座面の下に埃が溜まることなどあり得ないのでついつい見過ごしていたのだ。 そしてこの場所は、アーロンチェアーの構造上、そのメッシュ生地の座面という「ざる」で選別された細かい埃の集積場と化すのである。
 もちろんこのような失態を犯しているのは自分ぐらいのもので、他のアーロンチェアー・ユーザーの皆様におかれましては当該箇所もきっちり掃除なさっていることと思いますが、万が一「あっ、そこは1年ぐらい何もしてない」というような方がおられましたら、ぜひ掃除なさることをおすすめいたします。 謹んで。
b0045944_1645314.jpg

[PR]
by theshophouse | 2008-07-02 16:53 | Non Category | Comments(8)



思うところを書く。
by theshophouse
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
Critique
Asian Affair
蹴球狂の詩
Odyssey
Photographs
Iiko et Tama
Non Category
Food
Mystery
Design
アジア人物伝
Alternative
Books
Movie
Sounds Good
昭和
モブログ日報
F1
号外
Profile
以前の記事
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2001年 10月
フォロー中のブログ
国境の南
osakanaさんのうだ...
青いセキセイインコ推定4...
THE SELECTIO...
V o i c e  o...
わしらのなんや日記
90歳、まだまだこれから...
午前4時から正午まで
藪の中のつむじ曲がり
PISERO しゅうまい...
最新のトラックバック
エス東京オフィス
from はるの日常
才色兼備な「タイのセレブ..
from Boochanの宝探し
チベットでのジェノサイド
from わしらのなんや日記
経済別に選びたい放題!チ..
from Boochanの宝探し
IKEA for ママゴト
from わしらのなんや日記
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧