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カーンはゴイコチェアになれるのか?
 ドイツ戦。 2対2の引き分け。 自国でありながら、日本というのはよくわからないチームだ。 ショボい相手にホームでコロッと負けたかと思うと、アウェイで強豪に勝ったりする。 これまでの4年間を振り返ってみても、どちらかというと外弁慶なのがジーコ・ジャパンである。
 日本は前半、怪我から復帰した柳沢と高原のツートップにうまくクサビが入り、ヒデの惜しいシュートなどいい形をつくったが、次第にドイツの攻勢を受け、守備の時間が長くなった。 得点を許すのは時間の問題かと思われたが、ドイツの攻撃もゴール前での精度を欠いた。 ドイツにいつもの迫力はない。 そんななか加地さんがシュバインシュタイガーに後方から削られて負傷退場。 右サイドには駒野が入った。
 後半、立ち上がりからドイツのペースがやや落ちているような印象。 選手たちは長いシーズンの疲労を引きずったままプレイしている。 一方シーズン真っ只中で、国内合宿でフィジカルも相当上げてきた日本は、選手たちの動きの質、量ともにドイツを上回る。 かたや優勝を義務づけられた強豪のホスト国。 かたや予選リーグ突破に主眼を置く新興国。 これから徐々にコンディションを上げていけばいいチームと、予選リーグの初戦にピークを持っていこうとしているチームの仕上がりの違いが徐々に現れてきた。
 中盤で福西やヒデが相手ボールを奪う機会が増える。 少なくとも、守備から攻撃への意思統一、ボールをどこで奪ってどう展開するかという狙いが明確な今夜のジーコ・ジャパン。 何やら得点の匂いが漂ってきたと思っていたら、自陣からのボールを柳沢→俊輔→柳沢→高原とつないでレーマンと1対1。 いつものように宇宙開発のオチがつくかと思われた高原のシュートがネットを揺らして1点先制。 絶妙のタイミングで飛び出した高原はもちろん、短いシークエンスの中で2度もボールに絡んだ柳沢と、ドイツの中盤のチェックをかいくぐってタメをつくり柳沢にパスを通した俊輔のプレイは賞賛に値する。
 2点目も高原。 ペナルティエリア付近で駒野からのパスをトラップミスし、相手DFに間合いを詰められた高原だったが、その距離の近さが功を奏したのか、たいして鋭くもないターンにも関わらずエリア内に侵入し右脚一閃。 後半20分の時点でホスト国ドイツに2点をリードした。 今夜の高原には何かが降りてきているのだろうか。
 相変わらずドイツの攻めに迫力はない。 今夜はセットプレイだけ気をつけてたら勝てるな、と思い始めた後半30分、シュバインシュタイガーのFKをゴール前でクローゼに合わされて1点差。 宮本が捕まえていなければならないクローゼだったが、あそこで前に入られたらDFは失業だ。 宮本のファウルで与えたFKだっただけに、宮本には体を張って欲しかった。 さらに35分、右からのFKをシュバインシュタイガーに合わされて同点。中澤がファーサイドのクローゼに引っ張られてニアサイドが手薄だったところをやられた。
 終了間際、日本が勝ちにいったシーンがあった。 中盤で右サイドの駒野に展開、駒野が十分にタメをつくっている間に逆サイドにヒデや三都主らが殺到する。 駒野の折り返しをヒデが頭でゴール前の大黒に落としたが、惜しくもゴールならなかった。 本番でもこういう殺気を感じさせられる攻撃を見せて欲しい。

 振り返ってみると、いろんな意味で収穫の多い試合だった。 攻撃はひとまず合格点を与えていいだろう。 皮肉なことに加地さんが負傷退場し、駒野が入った途端に右サイドが活性化した。 三都主がさっぱりの出来だったので余計駒野の積極性が目を引いた。 もし加地さんの怪我の状態がおもわしくないのでれば、迷うことなく松井大輔を緊急招集してもらいたいものだ。
 ただ、日本には強豪相手に2点リードした時点での試合の進め方というケース・スタディが明らかに不足している。 そもそもドイツ相手に後半残り半分の時点で2点リードという想定外の事態である。 選手たちのなかに変な動揺があっても不思議ではない。 このまま引いて守り切るべきか、さらに3点目を狙うか。 その微妙な意識のズレが続けざまの失点に繋がったとみるべきだろう。 2点とも集中していれば防げた失点だった。
 それにしてもホスト国ドイツの低調さはどうだろう。 確かに日本の出来は決して悪いものではなかった。 だが日本のスピードに翻弄されるようではホームでの優勝はおろか、ベスト16が関の山ではないか。 予選リーグは組み合わせに恵まれたが、早めにコンディションを上げていかないと苦しいだろう。 創造性や偶然性を極力排除し、力や高さといった物理的な要素とロジックでゴリ押ししてくるいつものドイツらしい攻めのかたちはまったく見られず、セットプレイにおける日本の稚拙な守備に助けられただけ。 結局このチームは良くも悪くもバラックのチーム。 彼の出来にチームの浮沈がかかっていると言っていい。
 今夜に限って言えば、大和魂のほうがゲルマン魂よりも魅力的で刺激的であった。 今のドイツ代表にはかつてのベッケンバウアーやルンメニゲ、カーンのような闘将がいない。 僕はやはりカーンを正GKに戻すべきだと思う。 レーマンはCLで無失点記録をを続けていたが、プレミアリーグの後半には大量失点する試合もあり、CL決勝戦ではあのようなミスを犯した。 幸運は、もう既に彼の元にはない。
 僕は、W杯のどこかの試合で、またレーマンが一発レッドで退場になる気がしてならない。 そこで急遽出場したカーンが神がかりのセーブを連発して瀕死のドイツを救う。 これに勢いづいたドイツはあれよあれよと決勝に駒を進める。 そんな気がしてならないのだ。 そう、90年イタリア大会のアルゼンチン代表GK、ゴイコチェアのように。
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by theshophouse | 2006-05-31 22:09 | 蹴球狂の詩 | Comments(6)
フェロー諸島のスタジアム
 いよいよW杯が近くなってきた。 気になるグループFの対戦国だが、クロアチアはアウェイでオーストリアを粉砕。 オーストラリアはホームでギリシャに勝利。 ブラジルはいち早く直前合宿地のスイスに乗り込み余裕の調整。 一方我らが日本代表は富岡高に22対0で快勝。 ジーコ・ジャパンの国内合宿は高校生相手のヌルい試合で幕を閉じた。
 まあこの時期にガチで試合してるクロアチアやオーストラリアと、国内でフィジカル中心の調整をやっている日本代表の戦力比較などできようもないのだが、得点力不足解消とばかりに延々シュート練習を繰り返すのを見ているとどうしても不安になってしまう。 得点力不足の原因はシュートの精度は勿論だが、むしろメンタルによる部分が大きい。
 いったい日本代表の実力はいかほどのものだろう。 本番直前のドイツとの親善試合で明らかになるだろうが、現実的に考えればヨーロッパの中堅国よりも少し劣るぐらいではないか。 こないだまでAFC(アジアサッカー連盟)に属していたカザフスタンはドイツW杯欧州予選でグループ2を戦ったが、ウクライナ、トルコ、デンマーク、ギリシャ、アルバニア、グルジアの後塵を拝し、グループ最下位に甘んじた。 カザフスタンといえば、フランスW杯最終予選の時にアウェイで苦しめられたのは記憶に新しい。
 日本代表は、おそらくドイツにチンチンにやられた後、宮本あたりが「修正点を確認できた」「本番でなくて良かった」などと当たり障りのないコメントで惨敗を振り返り、オーストラリア戦前に欧州屈指のの弱小国であるマルタを咬ませ犬にして、景気づけにゴールラッシュを演じ、その本質はともかく気分だけは最高潮の状態で初戦に臨む腹づもりだろう。 だがマルタとて、極東のサッカー新興国にそうやすやすと負けるわけにはいくまい。 彼らにも激戦の欧州予選を戦ってきたプライドがある。
 欧州には、マルタをはじめルクセンブルグやフェロー諸島など、よほどのことが起こらない限り予選を突破できないであろう国がいくつかある。 地元での本大会を控え、間違っても怪我などしないようにやや抑え目で試合に臨むであろうドイツとの戦いよりも、全力でぶつかってくるであろうマルタとの試合の方が、むしろ日本代表の仕上がり具合を正確に判断する材料となりえるのではないだろうか。 「真剣さ」の度合いにおいて。
 それにしても、フェロー諸島のスタジアムは凄い場所にあるものだ。
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宇都宮徹壱の「ユーロ2004予選の愉しみ方」 フェロー諸島の痛快なる冒険(前編)
宇都宮徹壱の「ユーロ2004予選の愉しみ方」 フェロー諸島の痛快なる冒険(後編)
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by theshophouse | 2006-05-26 22:39 | 蹴球狂の詩 | Comments(0)
もし日本が引っ越せるなら
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 仕事で年に何回かタイに行く。 いっぱしのタイ通を気取ってこのブログにもタイでのエピソードを書いたりしている僕だが、実際のところ特別タイに詳しいわけでもない。 タイ語もしゃべれないし、タイ人に親友と呼べる人間もいない。
 日本とタイの関係は非常に親密で、経済や文化、人的交流も盛んだ。 そんなことを改めて実感させられたのが、実は僕の仕事場でのこと。 昔からこのブログを読んで下さっている方ならご存知だと思うが、僕の仕事場は横浜は都筑区の町工場が密集するエリアにある。 そこには5つの工場が棟続きで長屋のように連なっており、その一区画が僕が仕事場として使っている倉庫兼工房である。
 景気が良くなった、とテレビや新聞は言うけれど、実際には二極化しているだけで、中小の町工場が集まるこのエリアに活気はない。 事実この棟続きの工場で最後まで頑張っていたプレス工場が最近廃業した。 新しいフォークリフトを購入したり、紆余曲折のすえ後を継ぐことを決意した息子が父親とともに働き始めたりしていた矢先の出来事だった。
 主に三菱自工の下請けで成り立っていたこのプレス工場。 ダイムラー・クライスラーの資本参加以降、リコール隠しなど度重なる不祥事のすえ赤字体質に陥った事業の立て直しを図るべく、2005年1月に就任し、新経営計画「三菱自動車再生計画」を発表した新たな経営陣が、就任の手土産にそれまで使っていた下請け工場を全部切り、小型部品の生産拠点を東北地方に移したのが青天のへきれきだった、とはプレス屋のオヤジさんの弁。
 かくして、買って間もないピカピカのフォークリフトは安値で転売され、後を継ぐはずだった気のいい長男坊はハローワークに通う破目になった。 オヤジさん本人はもう年金も支給される歳なので、「これからはのんびり暮らすことにするよ。」と笑っていたが、その言葉の端々に息子に工場を残してやれなかった無念が滲む。 今、日本のあちこちでこの親子と同じような状況が起こっている。
 こうして、僕が来た時はこのプレス屋さんに金型加工屋さん、研磨屋さん、板金屋さんがそれぞれの生業を営んでいたこの長屋も、気がつけば僕だけになってしまった。 しかし、それからあまり時を置くことなく、次々と新しい店子が入ってきて今ではもう空いている工場はなくなった。 すぐそばに陸運局がある利便性からか、民間車検場を兼ねたクルマの板金屋が一気に3軒も入居してきたのだ。 これに加えて産業機械の輸出業者と塗装工事の会社がそれぞれ倉庫としてここを使うようになった。
 ずいぶん話が脇道にそれたが、僕の両隣に店子として入居してきた板金屋と産業機械の輸出業者が、それぞれタイに深く関わっている方々なのであった。 まず板金屋だが、奥さんがタイ人なのである。 奥さんは横浜の関内でタイ人ホステスが10人くらいいるスナックを経営している。 今バンコク市内に家を建築中で、奥さんは店をスタッフに任せ、工事の現場監督をするためにずっとバンコクに帰っているのだという。 誰かが見ていないと適当な材料で勝手に建てられてしまうそうなのだ。 このあたりはいかにもマイペンライ・テイストである。 なんでもタイでは家の値段にキッチンやバスルームは含まれておらず、すべてオプションなのだという。 この奥さんの弟が板金屋でしばらく働いていたのだが、最近姿を見かけなくなったと思ったら、無断欠勤を繰り返したのでクビにしたらしい。 身内にも厳しい板金屋の社長は「タイ人てのは女はよく働くけど、男はからっきしだね。」としきりに嘆いていた。
 一方、産業機械の輸出業者の得意先は主にタイなのであった。 社長はバンコクにアパートを借りていて、2ヶ月に1度のわりでバンコクに出張しているのだという。 それだけ頻繁に行くので、航空券もバンコクでオープンチケットを買っておいて、次に行く時に使えるので安上がりだという。 なんでもアユタヤ郊外に日系企業がたくさん進出し、質の良い日本製の工作機械は引く手あまたなのだという。 世の中にはいろんな仕事があるものだ。
 ふたりとも普通のおじさんにしか見えないのだが、僕なんかよりもタイという国に深くコミットしている。 それはひとえに日本とタイの長い間の友好的な関係に拠るところが大きい。 ほとんどのタイ人は日本人の事を好意的に見ているし、日本人もまたそうである。 二国間関係というのは突き詰めればこうした人間対人間の関係に収斂していくもの。 超個人的な意見ではあるが、日本がもし東南アジアに位置し、アセアンの首長国だったらどんなにいいか。 位置的には現在のアンダマン諸島あたりなんてどうだろう。 タイやマレー半島と物理的に近くなるのは今の自分のビジネスにとっても好都合である。
 日本の地政学的な不幸は、ひとえに「特定アジア」の国々が隣にあるということだ。
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by theshophouse | 2006-05-20 01:12 | Critique | Comments(2)
久保の不在を嘆く時、日本はドイツを後にする
 W杯に臨む日本代表のテーマは「サムライ・ブルー・2006」である。 15日、選ばれた23人のサムライの中に、最もサムライと呼ぶに相応しい男はいなかった。
 前のエントリーで「久保の落選というサプライズがあるかも知れない」と書いた僕でさえ、正直それが現実になる可能性は大きいものではないと思っていた。 やはり僕が危惧した通り、久保の怪我の状態は想像以上におもわしくなかったのだ。 腰痛を庇いながらプレイすることが他の箇所に負担をかけることになり、久保は怪我の連鎖という負のスパイラルに陥ってしまった。 本調子であれば、名前を呼ばれた5人より明らかに1クラス上のプレイヤーであるにも関わらず。
 W杯では常に選に漏れた選手の不在を嘆く。 ナントでは城がシュートを外した時にカズの不在を嘆き、仙台では三都主のFKがバーを叩いた時に俊輔の不在を嘆いた。 日本がドイツで優勝でもしない限り、僕らはどこかで久保の不在を嘆く場面に必ず遭遇するだろう。
 久保の代わりに選ばれたのは巻。 ジーコは、久保を失うことで同時に高さを失うことを恐れたのだろう。 1点ビハインドでの後半残り10分を想定した場合、パワープレイをしかけるにも前線にターゲットは必要だ。 そうしたケースでは高原も柳沢も大黒も玉田も適任ではない。 さらに、前のエントリーで提唱した1トップシステムにおける前線での潰れ役としても巻は適任だ。
 ただ、それでも僕は久保の代わりに入るのは松井大輔だろうと考えていた。 FWの高さは捨て、試合によって調子の波が激しい三都主のバックアップ、或いは試合の流れを変えるジョーカーとして彼をリストに加えるものと思っていた。 しかし、ジーコは前者の役割に中田浩二、後者に小笠原を選んだ。 いずれもジーコが知り尽くしている鹿島の選手であったことは偶然ではない。 ジーコは人間性を良く知らない選手は使いたがらない。 つまるところ、ファンタジスタは二人も要らないということか。
 前回のW杯の時は、発表直前のノルウェーとのテスト・マッチで自慢のフラット3をズタズタにされてパニック状態に陥ったトルシエが、対人プレイには強いがフラット3には不要とばかりに代表合宿にすら呼んでいなかった秋田を急遽23人に加えるというサプライズがあった。 だが、今回のサプライズはまったく異質なもので、ジーコの信念がブレたためではなく、むしろ予選リーグの3試合をにらんだプラグマティックなものだったと思う。 23人の多くは順当に選ばれた。
 決まった以上、僕らはこの23人に託すしかない。
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by theshophouse | 2006-05-16 01:59 | 蹴球狂の詩 | Comments(0)
23人にキング枠を!
 スコットランド戦。 0対0の引き分け。 ブルガリアを5対1で粉砕した試合からわずか中一日で日本と戦うことを強いられたスコットランド代表。 その戦術が守備的になったとしても致し方ないところだろう。 そうしたアドバンテージがあるにも関わらず、前半の前半は日本もあまり良い出来とは言えなかった。 トップにボールは入るものの、密集した相手DFのプレッシャーを必要以上に感じすぎ、前を向くことすらできない。 久保にも玉田にももう少し強引な仕掛けがあっても良かった。 ただ、加地さんの奇跡の左脚ミドルがポストを直撃したあたりから、中盤で日本の細かいパス回しが出来るようになってきた。 やはりああいうのを見せられると、その後相手の中盤はどうしてもチェックに行かざるをえず、その分だけパスが回るスペースが生まれたとみるべきだろう。 その加地さんのミドルが前半最大のサプライズだったわけだが、なぜあそこまで強烈なシュートが打てる左脚を今まで封印していたのだろうか。 相変わらずターゲットをロストしたままの右足クロスより、その狂気を孕んだ左脚を売りにした方がよっぽどいい。 もしかしたらこの左脚こそが、ジーコが加地さんを使い続けた最大の理由だったのではないか。 そしてそれはドイツの本大会までヴェールに包んでおくべき左脚だったのではないか。
 前半もうひとつの見せ場は小野のシュート。 惜しくもGKの正面をついたが、ペナルティ・エリア内であれだけ落ち着いている選手、つまりはFWの素質がある選手はこの国ではみな中盤をやるのである。 結果、FWになる選手はみな決定的なシーンでボールを持つと平常心を失ってしまうパニック症候群の男たちばかり。 代表では中盤の底で配球役に徹している小野だが、やはり彼が本当に生きるのはゴール前の空間にあると実感させられた。

 今夜はスタメンがほぼ当確組だったせいか、サバイバル的要素はあまり感じられないゲームだった。 きっとジーコの頭の中では既に23人の名簿が完成しているものと思われる。 それでも、低レベルな激戦区になっているFWで当落線上にいる巻と佐藤に関しては最後の見極めをしようとしたようだが、省エネ戦術に終始したスコットランドにああまでゴール前に人垣を作られては、アンリでさえゴールを決めるのは簡単ではなかっただろう。 すべてはスコットランドに中一日で優勝のかかった試合をさせることになったキリンカップの日程のまずさにある。 巻と佐藤には気の毒だった。
 スタメン組の中で出来の悪さが際立っていた久保。 ひと頃の上り調子は何処へやら、怪我の具合が良くないのか、ポストはできない、前は向けない、シュートは打てない、動けないでは、ドイツへの切符どころか引退して、かねてから念願のトラック運転手にでもなった方がいいのではないかと思うほど。 2日後に迫った23人の発表に「サプライズはない」と言っていたジーコだが、久保の落選というサプライズがあるかも知れない。 少なくとも今夜に限って見れば、とても日の丸つけてドイツへ送り出せる代物ではなかった。
 
 これでジーコ・ジャパンの国内での試合は全て終わった。 ある意味今夜の試合は4年間のジーコ・ジャパンの集大成となるべき試合だったはず。 そんな試合で僕らの眼前に突きつけられたのは、4年前と同じ「決定力不足」という五文字。 これからも日本代表に永遠につきまとっていくであろう五文字なのであった。
 もはやFWに決定力は望まない。 となれば、もう低レベルのFWを4人も5人も選ぶ必要などないのではないか。 日本が唯一世界と伍して戦える実力を持つと信ずる中盤の選手たちにゴールを期待した方がよっぽどマシで現実的ではないのか。 つまり、もう「4 - 4 - 2」とか「3 - 5 - 2」なんて論争するのはやめて、「4 - 6」とか「3 - 7」といった日本独自のフォーメーションでW杯に臨むべきなのだ。 FWに置いておくのは、ピッチのどこからでも見えるほどガタイが良くて、潰れ役ができる奴が一人もいれば十分だ。 日本の中盤にはまだまだ埋もれたタレントがいる。 粗悪品だらけのFWに多くの枠を用意するよりも、ゴール前でボールを持った時に慌てない中盤の選手がいるなら、GKと1対1になった時、氷の冷静さでネットを揺らすことができるMFがいるのなら、そいつにドイツ行きの航空券を渡すべきだ。

 僕は、もう既に日本サッカーの象徴となったこの「キング」と呼ばれる男が、ドイツに向けて密かにアップを始めているのではないかと期待している。 ジーコ最後のサプライズ人事を信じながら。

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by theshophouse | 2006-05-13 22:36 | 蹴球狂の詩 | Comments(2)
サバイバル・ゲーム第一幕
 ブルガリア戦。 日本1対2の敗戦。 この試合は「ドイツへの切符を手にする23人へのサバイバル」というのが表向きのテーマだが、キリンカップの初戦でもある。 こういう試合では選手個々が自己アピールに走り過ぎ、チームがバラバラになってしまうことが多いのだが、今夜の立ち上がりがまさにその典型であった。
 日本代表は、試合への入り方という観点で見れば、ワールドカップに出場する国のなかで間違いなく最下位であろう。 その悪癖は、何度繰り返そうが、何人選手が入れ替わろうが、決して改善されない。 監督以外知ってる名前がないブルガリアの二軍にこうも簡単に点を許してしまうのである。 ワールドカップ本番でもデジャ・ヴのように今夜の光景が繰り返されることはほぼ確実だろう。 今さらどうなるものでもない。
 試合開始当初の失点の原因は、ドイツへ行ける23人の当落線上にいた村井が、立ち上がりから攻めの意識が強すぎて自分の裏のスペースをまったくケアしていなかったことによるところが大きいが、村井だけを責めるのは酷だろう。 簡単にラストパスを許した中澤の対応もお粗末だった。 結局村井は失点の原因をつくったことを自覚したのか、名誉挽回とばかりに更に攻撃的にならざるをえず、結果怪我を負う破目になってしまった。 村井には悪いが、チームがJ2に落ちて以来、召集されることすらなくなった三浦淳宏への天の配剤だと思いたい。
 この日いつになく正確なクロスを供給していた加地さんが、本来の姿を取り戻し、行先不明の低いクロスが三都主への結果オーライのサイドチェンジになってしまった直後、三都主のシュートが「巻に当たって」同点になった。 調子がいい時というのは万事こんなものである。 今夜の加地さんには賛辞を送りたい。 巻については、結果は出したもののプレー全体は低調だったと言わざるをえない。
 日本はその後も攻め続けたが、後半44分、逆ににFKを直接放り込まれて決勝点を許した。 試合の最初と最後に集中力が欠如しているようではどんな相手にも勝てないだろう。
 この試合がW杯本番の試合でなかったこと以外、良い材料はほとんどなかったが、強いて挙げれば前出の加地さん以上に出来が良かった玉田。 ブルガリアのDFがヌルいのも手伝って、ピッチを縦横無尽に動き回る本来のスタイルを取り戻しつつある。 あと玉田に必要なのはゴールだけだろう。 佐藤寿人も短い出場時間のなかで何度も鋭い飛び出しをみせた。 スコットランド戦ではぜひスタメンで起用してもらいたいものである。
 それにしても、W杯が近づくにつれ、日本代表には日々不安が堆積していくのみ。 ホームでブルガリアの二軍にコロッと負けてしまうチームが、アウェイに近いドイツでブラジルやクロアチア、オーストラリアに勝てる理由がまったく見当たらない。 もはや我々日本人はドイツに神風が吹くのを期待するしかなさそうだ。
 今夜の試合は日テレの中継。 実況はあの亡国実況でおなじみの藤井アナ。 いつも実況前にわざわざ対戦国の公用語を覚えておいて、相手がゴールすると待ってましたとばかりにその国の言葉で「ΩψΘωゴ━━━━━ル!」と叫んだりする反日アナなのだが、これまでの亡国実況で日テレにも相当クレームの嵐が吹き荒れたのか、今夜はおとなしかった。 それでもやっぱりこのアナの実況と日本代表は相性が良くない。
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by theshophouse | 2006-05-09 22:39 | 蹴球狂の詩 | Comments(4)
タイ出張記2006 バンコク編 カオマンガイ
 以前僕の好きなタイ料理ということで、パップンファイデーン(空心菜炒め)とカオ・パッド(炒飯)、ソムタム(パパイヤサラダ)、クィティアオ・ナーム(汁麺)、そしてタイすきなどを紹介してきた。 もちろんこれらの他にも好きなメニューは無数にある。 もちろんタイ料理の代名詞であるトム・ヤム・クンも好きだ。
 トム・ヤム・クン(海老のスープ)について言うなら、僕はバンコクでも屈指の店を知っている。 恐らく日本人で行った人はあまりいないと思われるその店は、ワット・インドラ(インドラ寺院)の境内にある食堂である。 マラリアで元気のない犬が店内をうろうろしているような半戸外の店で、英語ですらまったく通じない。 もっともこちらは椅子に座って「トム・ヤム・クン」とか「トム・ヤム・プラー(魚のスープ)」と注文するだけで、後は金を払って帰るだけなのでまったく問題はない。 しばらくすると、勢い余ってトム・ヤム・スープにまで親指を突っ込んだおばさんがスープ皿を持ってやって来る。 で、飲むのはメコン・ウィズ・コーク。 いずれも今から15年以上前、カオサン時代に覚えたものだがいまだに卒業できないでいる。
 カオマンガイもおすすめだ。 カオマンガイは、柔らかく煮込んだ鶏を、鶏のスープで炊き込んだご飯に乗せて食べるタイの屋台料理。 タイ料理の多くが華僑によって伝えられた中華料理の影響を受けているが、このカオマンガイもそのひとつ。 よって日本人にも抵抗なく受け入れられる味なのである。 幸い僕らの宿泊エリアであるチットロムの近くにプラトゥーナムというエリアがあり、そこに「バンコクでカオマンガイを食べるならここ」と言われるほどの有名店がある。 店の名前は「ラーン・ガイトーン・プラ トゥーナム」。 カオマンガイ一本で勝負している、つまりはカオマンガイの専門店なのである。

b0045944_21889.jpgラーン・ガイトーン・プラ トゥーナム
バンコクでカオマンガイを食べるならここ!
ピンクのシャツがトレードマークの店員さん
b0045944_221393.jpgカオマンガイ
鶏肉用のタレと鶏のスープがついて30バーツ
鶏肉は柔らか~く、タレは濃厚で、スープとご飯ははあっさり

 僕は昔からとにかくこの「専門店」という響きにとにかく弱い。 その単純さゆえの深遠、ある種の不器用さにとにかく惹かれるのだ。 必然的にバンコクに来るたび毎回足を運ぶことになるのだが、その価値はある。 たとえ鳥インフルエンザがタイ全土で猛威を振るっても、僕はここのカオマンガイを食べに来るだろう。
 僕が注文するのは、もちろんこの店のデフォルトにして唯一のメニューであるカオマンガイなのだが、傾向として地元のタイ人はご飯と鶏肉を別々の皿に盛ってもらう人が多いようだ。 すなわち牛丼でいうところの牛皿である。 味的には大差ないと思うのだが、地元民のように別皿に盛ってもらった方がやや鶏肉の量が多いように見える。 と思ったら別皿の方が10バーツ高いのだ。 確かに一緒に盛ってあるデフォルトの方は少々物足りない量ではある。 しっかり食べたい人には「別皿」をお薦めする。


お店DATA
……………………………………………………………………………………
●店名 : ラーン・ガイトーン・プラ トゥーナム
●場所 : BTSチットロム駅からラチャダムリ通りを北上して運河を越え、ベップリー通りを右
  折して30Mほど行った右側、ソイ30の角にあります。 店員さんのピンクのシャツが目印。
●営業時間 : 午前5:30~午後3:00/午後5:00~翌午前3:00
●メニュー : カオマンガイ30Baht(別皿40Baht)、一羽丸ごと(グループ向け)400Baht、
  シンハ(大瓶のみ)60Baht、ハイネケン70Bahtなど。
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by theshophouse | 2006-05-03 01:50 | Odyssey | Comments(0)



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