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タイ出張記2006 バンコク編 エラワン廟とアマリン・プラザ
b0045944_23235532.jpg
 僕らがこのところバンコクの常宿にしているホリデイ・イン・バンコクのそばにはエラワン廟(写真)がある。 エラワン廟にはヒンズー教の三大神のひとつで四つの顔を持つ天地創造の神、ブラフマー神が祀ってあり、商売繁盛や宝くじの当選、恋愛成就など、タイで最も願い事を叶えてくれるという霊験あらたかなスポットなのである。
 去る3月21日未明、精神疾患の27歳の男がこのブラフマー神の像をハンマーで破壊してしまった。 男は居合わせたタイ人に袋叩きにあい、それが原因で亡くなってしまった。 信仰心の発露がベクトルを間違えるとこうした暴力沙汰になってしまうのは洋の東西を問わないが、タイの人たちにこのヒンズーの神様がどのくらい愛されていたかを物語る証左であろう。

b0045944_23283010.jpg在りし日のブラフマー神像(上の写真ではちょうど柱の陰で写っていないので)
石膏でできているものの、表面には金箔が貼られてまさに神々しく輝いている
 エラワンとは、ヒンズー教のインドラ神(帝釈天)の乗り物である伝説の像で、1956年、この名前を冠したエラワン・ホテルがこの地につくられる時に作業員に怪我人が出たり、建設資材の運搬船が沈没したりする事故が続発したため、占星術師が建立を命じたものだそうで、エラワン廟の完成後は一切事故が起きなかったという。 現在このホテルはグランド・ハイアット・エラワンになっている。 以前、向かいにあるメリディアン・プレジデント(現インターコンチネンタル)が火災に見舞われたのも、工事中にクレーン車が誤ってエラワン廟の敷地内に建設資材を落下させたせいだと言われる。
 今回の事件も災厄がタイを襲う前兆ではないかとの噂がたちまち広がり、総選挙を間近に控えていたタクシン首相以下政府要人も次々と参拝に訪れ、「ブラフマー神像がタイに災厄が降りかからぬよう身代わりになってくれた」とやや無理のある解釈を引き出し、騒動の沈静化に努めた。 しかしながら、結局タクシン首相はプミポン国王の勅令で辞任に追い込まれ、結果今回のブラフマー神像の災厄を一人で背負い込むことになってしまったのは周知のとおりである。
 僕らも宿が近いせいか、滞在中に一度はお参りしに行くこのエラワン廟なのだが、祠の中心に安置されていたブラフマー神の御姿は見る影もなく、窮余の策なのか四つの窓にはそれぞれ四つの角度から撮られた像の写真がはめ込まれていた。 「これでもご利益があるのかなあ?」と不安になりつつも、受付で線香と蝋燭を買い一応型どおりのお参りをした。

b0045944_23251238.jpgエラワン廟に参拝するヨメ
祠をを中心にぐるっと一周しつつ四方向それぞれに線香を立て、それぞれの方角から地面に両膝をついて合掌する
 6月に控えるプミポン国王の在位60周年記念式典を控え、ブラフマー神像の修復は5月末の完成を目指して急ピッチで進められているらしいのだが、タイ人の言う「急ピッチ」ほどこの世でアテにならないものはなく、エラワン廟の完全復活の時期は未だ不透明。 と思っていたら、ブラフマー神像の修復が予定より大幅に早く完成し、5月10日に再安置が行われるという。 僕の知っているなかでこれほど迅速に仕事をしてくれるタイ人は皆無だが、事が事だけに彼らも本気で突貫作業したのだろう。 もし連休が長い方で、5月10日にバンコクに滞在している方がおられたら、ぜひ再安置のセレモニーを観に行かれることをお勧めする。 そしてもちろんその日にお参りされることも。

 やはりこのエラワン廟のそばにあるのがアマリン・プラザである。 これまではどことなく少々さびれたショッピングセンターという印象だったのだが、密かに利用価値が高いことを再認識した。 これまでも地階のマックとスタバは利用していたのだが、上階にもなかなか油断ならない店があるのだ。
 このアマリン・プラザ、BTSのチットロム駅からスカイウォークが2階部分に直結しているのだが、その2階入口を入って真っ直ぐ進んだ突き当たりの右側にある「○○○・メディカル・マッサージ(名前失念)」というマッサージ店はなかなか良かった。 今回、1時間のフットマッサージをやってもらったのだが、さすがに「メディカル」を謳い文句にしているせいか、チェンマイの30分100バーツ(約300円)のフットマッサージ屋と違い、なかなかツボを心得ていた。 足が一通り終わった最後の10分間は、足を載せていたスツールに座っての上半身のストレッチ(いわゆるタイ・マッサージ)と肩揉みもあり、ちょっと得した気分。 僕の他に二人の現地在住とおぼしき日本人女性もフットマッサージを受けていた。 こういうのは評価のバロメーターになる。 おまけに料金の1時間300バーツ(約900円)もかなりリーズナブルだと思う。
 さらに同じく二階の吹き抜けを囲む回廊部分でひっそりとやっているネイルのお店。 ヨメ曰く非常に丁寧な仕事ぶりで、ハンド&フットそれぞれケア込みで1,000バーツ(約3,000円)ほど。 延べ2時間半に渡ってみっちりやってくれたという。 やはりここも現地在住の日本人御用達のようである。 この他にアロマ・マッサージの店やスパもあり、雑貨専門のフロアもあり、バンコク巡りの必需品である「歩くバンコク」をゲットできる東京堂書店、体調が悪くなった時に助かる薬局、更には新しくフードコートもオープンして、チットロム周辺のホテルに滞在する人(特に女性)には非常にユーティリティーなスポットなのである。

 ところで、タイによく旅行する人なら誰でも知っている前出の東京堂書店。 ここの社長さんがなかなかの苦労人というか、実に波乱万丈な人生を歩んでこられた方なのである。 興味のある方は下のリンク先をご参照いただきたい。
 世の中にはいろんな人がいる。 人と出会うことは、だから面白い。


倉沢澄夫さん(バンコク):パソコンとソロバンで本屋経営
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by theshophouse | 2006-04-26 23:46 | Odyssey
タイ出張記2006 バンコク編 選挙ポスターとオレンジバンド
 今年最初のバンコク。 市内は先日行われた総選挙の残滓か、はたまた急遽決まった一ヶ月後の再選挙のためか候補者のポスターだらけ。 考えてみれば、僕がバンコクに来る時には不思議といつも選挙をやっている。 ヘンな巡り合わせではある。 街を歩いていてもティッシュ配りよろしく候補者のビラを何枚も渡される。 正直僕がまったくの部外者で選挙権などないことぐらい顔で判断してもらいたいものだが、みな一様にタイ語で何か一声かけながら(おそらく「○○党の○○○○候補です。 よろしくお願いしまーす。」なんて言ってるんだろうけど)、歩いている僕の目前にビラを差し出してくる。 西欧人みたいに一見してファラン(外人)とわかる人間はともかく、日本人はタイ人に間違われやすいのか、それともビラ配布のノルマに利用されているだけなのかは定かでない。
 で、町中に溢れている選挙のポスターだが、チェンマイと違って各候補者なかなか個性的で、自民党のピンクスーツ議員・井脇ノブ子クラスはザラなのである。 まるで軍人のようないでたちの女性候補者や指名手配犯のような候補者、カルト宗教の司祭風もいる。 そもそもこれらはポスターを掲出できる資金力がある候補者に限られるわけだが、なかには乏しい資金でも何とか自分の存在をアピールしようとする候補者もいて、ポスターではなく単なる自分のDPE写真をどさくさに紛れて他の候補者のポスターのところにそっと貼り付けているような人もいる。

b0045944_1261191.jpg軍人風の女性候補者
実際どうなんだろう?
軍人というよりはどう見ても学校の先生風なんだけど・・・
ここに取り上げた4人のなかで、みてくれは一番マトモ
b0045944_128288.jpg指名手配犯風
「指名手配犯風」というのは少々かわいそうなので「証明写真風」ぐらいにしてやるか
それにしてもこの方、選挙の候補者というよりは冴えない中間管理職といったカンジ
b0045944_1281536.jpgカルト宗教の司祭風
ま、要するに日本でいうところの公○党みたいなもんですな
どこの国にもいるもんです こういう存在自体が政教分離できてない人たち
b0045944_1283379.jpgゲリラ風
資金力がないと何でもゲリラ的になっちゃうものですが、いくらなんでも選挙ポスターに普通の写真はないだろう! しかも写真の上部を折り曲げて他の候補者のポスターに引っ掛けただけとは・・・
せめて自前のピンやテープで貼るぐらいのことができないのか?
やっつけ仕事ここに極まれり!
 ポスターを掲示する場所だが、日本のようにベニヤで作ったポスター貼り用のパネルなんかはないので、各々思い思いの位置に勝手に貼ったり立てたり引っ掛けたりしているのだが、バンコクで一番ポピュラーなのは竹の棒にポスターを取り付けたものを地面に直接刺すというもの。 とはいえ、首都バンコクは東京同様地面に土の見える場所はほとんどなく、唯一の場所が街路樹の植え込みなのである。 道行くドライバーの視認性もいいし、渋滞の多いバンコクでは必然的に停車中見ることも多くなる。 結果、街路樹の植え込みは候補者のポスターだらけになってしまうのである。

b0045944_1284929.jpgスクムビット通りにて
この時期、街路樹の根元には各候補者のポスターが百花繚乱
 
 今回のバンコク滞在中、ポスター以外で目にとまったものがもうひとつある。 オレンジバンドだ。 日本でも昨年ホワイトバンドが流行ったりしたが、タイでは圧倒的にこのオレンジバンドなのである。 昨年秋に限定100万個で発売されたもので、シリアルナンバーも入っている。 ちなみにタイ人が欲しがる999999番は先日辞任を表明したタクシン首相が手に入れたそうである。 つけてる人に何処で買えるのか聞いてみたところ銀行だというので行ってみると、もうとっくに完売したとのことで入手できなかった。
b0045944_1251430.jpg バンドには「LONG LIVE THE KING」と英語の刻印の他に、「ラオ・ハートマーク・プラチャオユーフア(私たち・ハートマーク・王様)」とタイ語で刻印されており、プミポン国王の即位60周年を迎え、長寿を願い忠誠を尽くすという意味が込められているようなのである。 タクシーの運ちゃんから屋台のおばちゃん、普通のビジネスマンから宝くじ売りのおばちゃんまで、とにかく猫も杓子も老若男女みなこのオレンジバンドをつけまくっている。 お値段は100バーツ(約300円)もするので、タイ人の感覚からすれば少々お高い買い物のはずなのだが、これがあっという間に完売したというのだから、やはりこの国における国王の人気は絶大なものがある。 僕も日本のホワイトバンドはどうも出所が胡散臭いので買わなかったが、何せタイで食わせて貰っている身分、このオレンジバンドなら乗せられて買ってもいいかと思っただけに完売とは残念である。

※オレンジバンドの画像と説明は「チェンマイ日和」さんから引用させていただきました。


チェンマイ日和
ホワイトバンドの問題点
あなたのタイ人度チェック
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by theshophouse | 2006-04-22 01:17 | Odyssey
W杯まで50日! ジーコ・ジャパンに明日はあるのか?
 一週間前、拙ブログではいつもお世話になっているエキサイトの方から突然のご連絡をいただき、エキブロのW杯特集に協力下さいという、誠に光栄なお話を頂戴したのであった。 とはいえ、このブログはサッカー専門というわけではなく、日本代表については拙ブログの中の「蹴球狂の詩」というカテゴリでこれまでやや辛口に書いてきた。 なかには特定の選手を個人攻撃するような論調もあったと思う。 基本的に他人様に見ていただくというよりは自分自身のストレス解消の意味で、いっこうに強くなってくれないジーコ・ジャパンへの不満をぶちまけるだけぶちまけてきただけの非生産的なエントリーが多かったわけだが、エキサイトの方が今回の企画に敢えてそのような僕のブログを選んでいただいた意図は、「ジーコ・ジャパン・マンセーばっかりのブログばかりを集めてもしょうがない」というバランス感覚が働いたためであろうと勝手に推察し、これまでどおり技術の高い選手はホメ殺し、低い選手は罵倒し、戦術眼のあるプレイには拍手を送り、無意味なプレイには口笛を吹き、気迫溢れるプレイには喝采を浴びせ、気持ちが入ってないプレイにはブーイングを飛ばし、適材適所の選手起用には唸り、意図が感じられない選手交代には落胆するというスタンスを貫いていきたいと思う。
 とはいえ、こんな僕でももちろん日本代表、ジーコ・ジャパンを熱烈に応援しているのである。 誰しも自分の国の勝利を願うし、今回の現実的な大目標である予選リーグ突破を果たしてもらいたいと切望している。 だが今のジーコ・ジャパンを見る限り、実際にはその可能性は著しく低いと言わざるをえない。 本番を間近に控えたこの時期になっても3バックなのか4バックなのかも決まらない。 4バックの時の両サイドは、攻撃はともかくいずれも守備ができない。 ジーコがセンターバックで重用している宮本が所属チームのガンバでは試合に出ることすらままならない。 さらに、今に始まったことではないが、FWに絶対的な選手がいない。 ジーコが頼みとする海外組は俊輔と稲本を除いてみな所属チームでは控えの立場。 特にチームの大黒柱であるヒデのコンディションがいっこうに上向いていないのが気になる。 とまあ、ざっと見てもこれだけの不安材料がある。 日本が、ヒディンクに率いられ戦力が向上したオーストラリアや欧州予選を無敗で勝ち上がったクロアチア、そして王国ブラジルと伍して戦うにはこうした不安材料が解消される必要があると思われるのだが、いっこうにその気配がないのが実状だ。
 果たしてこれからの50日間でジーコはどれだけチームを底上げできるのだろうか。 通常は代表の試合の日しかエントリーしなかった僕のブログではあるが、せっかくこのような企画に参加させていただくことになったので、期間中は代表の試合のみならずできるだけ多くの試合を観て、できるだけたくさんエントリーしてみようと思う。

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2002年日韓W杯観戦記(過去ログ)
ワールドカップ観戦記/England×Brazil
ワールドカップ観戦記/Spain×Ireland
ワールドカップ観戦記/Tunisia×Japan
ワールドカップ観戦記/England×Sweden
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by theshophouse | 2006-04-20 10:28 | 蹴球狂の詩
理由
b0045944_2350965.jpg どんな作品でもそうだと思うが、この作品も面白いとみるか退屈とみるかは人それぞれだと思う。 そして僕にはこれ以上ないほど退屈な一冊だった。
 作者宮部みゆきは本作「理由」のなかでひとつの殺人事件をドキュメンタリー・タッチで多角的・複層的に捉えていく。 直接的、或いは間接的に事件に関わった人々の膨大な証言をひもときながら、ストーリーテラーである記述者が事件を検証していく。 この記述者は場面や立場によって複数存在する。 作者本人があとがきで「NHK特集をやろうと思っていた」と語っているように、それは「あるところはアナウンサーのナレーションだし、あるところは記者がでてくるという、テレビのクルーが一つの事件を検証していくようなつもりで」書かれている。
 つまりこの小説は最初からかなり映像を意識して書かれたものである。 逆説的な言い方をすれば、あらかじめ作者の頭の中で再生されたドキュメンタリー・フィルムを活字化したような印象。 ただ、本作を読んでいる時に僕の頭の中で生き生きとした映像が浮かび上がることはほとんどなかった。
 誰でも小説を読んでいる時は頭の中に小説の情景を思い浮かべながら読むものである。 そのイメージが鮮明に像を結ぶ時ほど、読んでいる本人は作品の世界の中にのめり込んでいるものだ。 あくまで僕の勝手な推測だが、宮部の頭の中に最初に明確な映像があり、それを文章化したのが本作であると思われる。 それを読む我々読者は宮部の頭の中の映像を直接覗き見ることはできないので、言語という共通の記号にエンコードされた映像を、紙の媒体を通して読むことでもう一度映像データにデコードする。 難しく書いてはみたものの、小説を読む時に誰もが無意識のうちにやっているのがこの作業である。
 この作業には快楽とともに一種の忍耐を要することもある。 作品が面白ければもっと先を早く読みたいという自然な欲求とともに、頭の中で形作られる映像にも連続性が生まれる。 だが、作品に次のページを繰らせる魅力がない時、頭の中の映像は輪郭がぼやけたり彩度を失ったり、シークエンスがぽっかり抜け落ちたりする。 そう、居眠りしてしまうことさえあるのだ。
 宮部が本作で試みたユニークな手法は、事件の社会的背景や人間関係、登場人物個人の半生など、やがて起こる事件の核心に繋がってくる部分にも均等にページ数が割かれており、本来フォーカスされるべき事件の核心部分への意識がやや散漫になってしまっているように思える。 つまり僕には、本作が技巧に走り過ぎてミステリー本来の緊迫感や熱を失ってしまった凡作にしか思えなかった。 この本を読んでいるあいだ僕は、中には芯以外のものなど何もないことをわかっていながら毎日毎日キャッベツの葉を一枚一枚剥いているような心境であった。 それはほとんど拷問に近かった。 第120回直木賞において、満場一致で本作を選んだ選考委員の名だたる作家のセンセイ方も、僕同様拷問にさらされ、最後はややMの気さえ覚える境地に至ってしまったのだろうか。 どうもプロの先生方の評価基準は一般読者との乖離がはなはだしいようである。 こんな凡作に満場一致で直木賞とは世も末だ。 直後に読んでいるのがのっけから謎解きとスペクタクル満載の「ダ・ヴィンチ・コード」だけに本作の退屈さが余計際立つ。
 小説とは斬新な手法で書かれていれば面白くなくてもいいものなのか? かつては藤原伊織の「テロリストのパラソル」のようにちゃんと面白い作品を選んできた直木賞ではなかったか? 僕は面白くもないのにだらだら長いだけのミステリーを読まされるのは一番我慢ならない。 こんな作品に権威づけする理由は一体何なのか? 出版社から選考委員に圧力でもかかったのか?
 ミステリーの基本は「フー&ホワイダニット(誰が何故それをしたか)」と言われる。 本作同様にユニークな手法で殺人事件を描いている秀作なら他にある。 東野圭吾の「悪意」なんて実に面白い。 というわけで、これから宮部みゆきの「理由」を読んでみようという人の為に個人的な意見として言っておく。 時間の無駄だ。


幻のドラえもん(日テレヴァージョン)【You Tube】
マチャミ「人間革命している途中ですから」内部流出【You Tube】
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by theshophouse | 2006-04-16 23:58 | Books
タイ出張記2006 チェンマイ編
 例によって急遽決めた買い付けのためチェンマイとバンコクに行ってきた。 あまりに急遽決めたので、パスポートの残存有効期間が半年を切っていたのに気づいて更新しに行き、出来上がってきたのが出発前日という無計画ぶりである。 今年の3月20日以降に更新した人はみなICチップ入りのパスポートになる。 体裁は従来のものと変わらないが、真ん中にICチップが埋め込まれた厚紙のページが一枚増えて、多少分厚くなった。 10年有効のもので1万6千円と高くなり、頼みもしないパスポートのデジタル化の対価は我々善良な一般市民が肩代わりするわけである。 これによってまたどこかの外務省OBが天下り先の特殊法人が潤うのだろう。 まさにETCと同じやり口、監督官庁は違えどやることはみんな一緒だ。

 タイはソンクラン(水かけ祭り)の直前で、年間を通じて最も暑い時期であった。 時あたかもタクシン首相のリコール騒動に端を発した総選挙の投票日翌日。 空港から乗ったタクシーの運ちゃんに「タクシン好き?」と聞いてみたが愚問だった。 タクシンはチェンマイの出身なのだ。 今回の総選挙だが、野党が事実上選挙をボイコットしたこともあってタクシン率いるタイ愛国党の一人勝ち。 首都バンコクや南部ではタクシン政権への批判票として多くの白票が投じられたものの、タクシンは早々と勝利宣言し、続投を表明してしまった。
 チェンマイ市内に掲示されている候補者のポスターを見ても、一時期の小泉ブームの頃の自民党候補者のそれと同じく、タクシンに文字通り「すり寄って」いるものばかりである。 タクシノミックスと呼ばれる公金ばらまきの経済政策は、それまで貧しかった地方をそれなりに潤しはしたものの、かねてからの強引な政治手法に加えて、不正献金や所得隠し疑惑も明るみに出て、更に今回一族が経営する企業の売却にからむ税金逃れが発覚し、バンコクを中心とした大規模な辞任要求デモの勃発に至ったのである。

b0045944_1232813.jpgチェンマイにおける与党タイ愛国党候補者のポスター
ここチェンマイでのタクシンの威光は強大なものがある 新潟における生前の田中角栄のそれと同じだ 他の同党候補者も多くがこのようなスタイルのポスターで勝負していた

 タクシン続投で決着かと思われた今回の騒動も、4月4日に国王に謁見した直後に突然辞任を発表するという急転直下の結末を迎えた。 この国ではデモでもクーデターでも収拾がつかなくなると最後は国王が出てきて事を収めるのだが、今年はプミポン国王の即位60周年の祝賀行事も控えており、タクシンも表向きはそうした祝賀ムードに水を差すのを避けるためと説明していたが、実際には国王の辞任要求があったとみるべきだろう。
 とは言ってもここチェンマイではそうしたバンコクでの騒ぎもどこ吹く風、いつも通りのマターリとした空気に覆われている。 チェンマイではいつも行くところがだいたい決まっているのだが、中心部からは遠いのでタクシーを一日チャーターして回る。 あるメーカーなどはバイパスをたっぷり30分ほど走り、そこから脇道に入って集落を二つ三つ過ぎ、牛がのんびり草を食んでいる田園地帯の一本道を通り抜けてやっと辿り着く、中心部からクルマで45分ぐらいの場所にあったりする。 ここには社長とタクシンが並んで写っている写真なんかもあったりして、訪れた日がタクシン辞任表明の翌日だったのでさぞかし落ち込んでいることだろうと思いきや、商魂逞しい社長はそんなことをまったく意に介していないようであった。

b0045944_1562774.jpg街道沿いのアンティーク屋の軒先に無造作に置かれたインド製のビンテージ・ドア
チェンマイには国境が近いミャンマーのものがけっこう出回っているのだが、なかにはこうしたインドものも若干あったりする 確かにミャンマーから更に北上すればインドまではそう遠くない 陸路は続くよ何処までも
 一方、中心部の店などを見て回る場合にはソンテウ(乗り合いタクシー)を使う。 一応それなりに路線があるようなのだが、先に乗っている客がいない場合、だいたい何処にでも行ってくれるので便利である。 トゥクトゥクなどは観光客慣れしていてバンコクよりふっかけてきたりする輩も多いのであまり使わない。 BTSやMRTもある首都バンコクとは違い、チェンマイではいまだに交通手段に頭を悩ますのだが、慣れてしまえばそれもチェンマイの楽しみのひとつである。

b0045944_1334148.jpgチェンマイのソンテウ(乗り合いタクシー)
スカイトレインも地下鉄もバスもないチェンマイでは、慣れるとこれがけっこう快適
料金はトゥクトゥク同様事前交渉制
他の乗客の目的地によっては多少回り道することもある
b0045944_1335496.jpg乗り合いモーターサイ(バイク)
チェンマイでは時折見るこのサイドカーみたいなもの、客車がサイドカー状態で無理やりつけられており、運ちゃんの後部座席に女性が一人半ケツで乗ると想定すれば5人ほど客が乗れるようになっているが、果たして5人乗った時にこの排気量の軽いバイクで推進力が得られるのかは不明
 今回特に新しい発見はなかったのだが、郊外に比較的最近できたマンダリンオリエンタルに行ってみた。 宿泊客以外の人間が敷地に入ろうとすると守衛に呼び止められて、入口の詰所でゲスト用のチェックインをしなければ中に入れてもらえないというなかなか勿体ぶったホテルである。 面倒くさいので中に入るのはやめて隣接する「Kad Dhara」というショッピングモールに行ってみると、ここがなかなかどうして実に充実しているのである。 「Oriental Style」や「VILA CINI」などチェンマイの人気ショップをはじめ、アンティークやベーカリー・ショップなどが木造のショップハウスにテナントとして入っている。 なかでも鳥好きの僕らのハートをわしづかみにしたのはモールの各所に設置されている鳥かごとその中の鳥たち。 その美しいさえずりは酷暑の中、一服の清涼剤である。

b0045944_1435489.jpg「Kad Dhara」内にある「VILA CINI」
タイのショップハウスはマレーシアのものと違い奥行はさほどなく、横に長屋のように棟続きになっているものが多い このショッピングモールではそんなタイ・スタイルのショップハウスが見事に再現されている
 このままチェンマイに居座り続けて、チェンマイ名物のお壕の「汚水」によるソンクランを体験してみるのも一興ではあったが、スケジュールがそれを許さない。 のべ3日間のチェンマイでの打ち合わせや買いつけを終え、一路バンコクへ。 気がつけばもう長いことこの国を観光で訪れていない。 本当は仕事で来るより遊びで来るのが何よりも楽しいこの国なのにである。 僕は不幸だ。


Songkran on Khao Sarn Road 2006
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by theshophouse | 2006-04-14 01:19 | Odyssey



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