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カテゴリ:Movie( 14 )
BURMA VJ


 以前小欄でも紹介した「BURMA VJ」が日本でも公開されることになった。 公式サイトを覗いてみたら、ここ最近ビルマ問題について活動しているいとうせいこう氏の「ビルマ軍事政権に抗議するTシャツ」が販売されていた。 ミャンマーのことをビルマと言いたい気持ちは良くわかるが、その言葉の前後に「軍政」がくる場合はミャンマーと呼んだ方がいいと思う。
 その趣旨には大いに賛同するものの、たかがTシャツで4,000円・・・。 そのうちビルマ民主の声にいくのが1,000円となると、残りの3,000円の分け前はいったいどうなるのだろう? 原価なんてたかが知れてるだろうし・・・と下衆な勘ぐりはさておき、「通販生活のカタログハウス」が潤ってもまずロクなことはないので支援するのであれば直接の方が良さそうだ。 しかし誰もが手軽にEコマースを利用できるこのご時世になぜかくも決定的に販路を間違ってしまったのか・・・。
 デザインもそれこそ土産物屋で売られていそうな平凡なデザイン。 彼ほどのクリエイターであれば周りにそういうブレーンもいるだろうに。 もし本気でビルマ問題を衆知させたいのであればもっとインパクトとメッセージ性の強いデザインが良かったと思う。 タイポグラフィーだけでデカデカと「FREE BURMA」とか。
 なんか愚痴ばっかりになってしまったが、今年のアカデミー賞のドキュメンタリー・フィルム部門は、日本のイルカ漁を描いた「THE COVE」ではなくこの映画が取るべきだった。 アカデミーにとっては人間よりもイルカの命が大事ということなのだろう。 
 
 YouTubeでも全編が視聴できます(英語字幕付き)。




ビルマVJ 消された革命
ビルマの旅2008-2 追悼
ビルマの旅2008-8 アウン・サン・スー・チー
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by theshophouse | 2010-05-13 02:09 | Movie
IKEAとドルフ・ラングレンとジェミニ
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 IKEAがパリの地下鉄で大胆なプロモーションを展開しているそうです。
 なんでもあの店内レストランでお馴染みのミートボールも食べられる?のだとか。

 IKEA in the Subways - Urlesque

 パリの地下鉄といえば、リュック・ベッソンの「サブウェイ」、古くはルイ・マルの「地下鉄のザジ」(音が出ます)を思い出す。
 クリストファー・ランバートっていつの間にかテレ東の「午後のロードショー」でやるようなB級SF映画のスペシャリストみたいになっちゃったけど、そういう人間の方が超売れっ子の役者より人間として魅力的だったりするもの。 いやもちろん会ったことなんてないんですけど。
 だからきっとジャン・クロード・ヴァン・ダムとかドルフ・ラングレンとかも実際会ったりしたら物凄く気さくな人柄だったりとか。 いやもちろん何の根拠もないんですが。
 前のエントリーに絡めるわけじゃないんですが、こんなCMを思い出しました。
 

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by theshophouse | 2010-03-18 00:17 | Movie
オーケストラ!
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 ロシア・ボリショイ交響楽団で劇場清掃員として働く、さえない中年男アンドレ。 そんな彼だが、かつては栄えあるボリショイ・オーケストラで主席をつとめた天才指揮者だった。 共産主義時代、“ユダヤ主義者と人民の敵”と称されたユダヤ系の演奏家たち全員の排斥を拒絶し、名声の絶頂期に解雇されたのだ。
 そんなある日、清掃中にアンドレは、1枚のFAXを目にする。
 それは、演奏を取りやめたサンフランシスコ交響楽団の代わりに、パリのプレイエルに出演するオーケストラを2週間以内に見つけたいという内容のものだった。 FAXを見た瞬間、アンドレは正気の沙汰とは思えない、とんでもないことを思いつく。 それは彼と同じく、いまや落ちぶれてしまった、かつてのオーケストラ仲間を集め、偽の楽団を結成し、ボリショイの代表としてこのコンサートに出場するというものだった! タクシー運転手、蚤の市業者、ポルノ映画の効果音担当‥・モスクワの片隅でかろうじて生計をたてていたかつての仲間たちを説得にまわるアンドレ、ところが‥・。
(フライヤーより抜粋)


 シネスイッチ銀座に「海角7号」(2/19迄)を観に行った。 その予告編で面白そうな映画が紹介されていたのでここでもご紹介。 「オーケストラ!(原題:Le Concert)」という作品。
 とはいえあくまで予告編なんで、実際の出来はどうなのか、正直なんとも言えないのだが、予告編を見る限り結構ツボりました(笑)。 なんかプロットに「海角7号」とのアナロジーを感じたw でも今僕はこうしたベタ?な映画にどっぷり浸かりたい心境。 4月公開だそうです。
 以下はそのトレイラーですが、公式サイトで日本語字幕付きのものが見られます。




映画 『オーケストラ!』 公式サイト
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by theshophouse | 2010-02-06 00:48 | Movie
馬拉桑(マラサン)
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 これまでこのしょーもないブログをやってて、いいことなんてただの一つもなかったのだが、ついにあった!
 心ある方が前のエントリーを見て「そうか、それなら私がこの哀れなジジイに馬拉桑(マラサン)を送ってやろう」ということで、わざわざ台湾から送りつけて下さったのである。
 で、馬拉桑はいま僕の手元にあるというわけだ。 なんというレスポンス。 地球は狭い。 聞けば年内にも日本で発売されるとのこと。 便乗商法と言うなかれ。 これをスピンオフ・リキュールという。
 ただ、馬拉桑は粟が原料の醸造酒で正確に言うとリキュールではなく日本酒の親戚みたいなもの。 甘い口あたりの後に南国の酒特有の角が立った舌触りがある。 香りも強い。 その飲みやすさのあまりついつい飲み過ぎて「馬拉桑(酔っ払い)」になってしまうのだろう。  
 ちなみにバンドメンバーがコンサートの時に着たのと同じ「馬拉桑レプリカTシャツ」なんてものもある。 映画を知らない人が見たら単なるダサTである。
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by theshophouse | 2009-11-28 23:41 | Movie
海角7号 君想う、国境の南

 ※ちょっとだけネタバレありです。

 「海角7号」は2008年に台湾で大ヒットした映画。 それも台湾における外国映画を含む興行収入では「タイタニック」に次いで史上2位、台湾映画としては歴代1位という破格の大ヒットなのである。 今回縁あってその映画の試写会に紛れ込ませていただいた。
 最初にこの映画のことを知ったのは昨年で、たまたま覗いた台湾人の方のブログ上でのことだった。 そして、台湾が日本の統治下にあった時代の日本人教師と教え子であった台湾人女性の悲恋のエピソードを下敷きにした、現代の台湾人と日本人のラヴストーリーだということを知り、いつか日本で公開されることがあるならぜひ観てみたいと思っていたのだった。
 自国の映画ですら日本の帝国主義時代については悪しざまに描かれるのが普通だが、この物語において日本の統治時代はちょうど終焉を迎えるところであり、良くも悪くも一緒に国家建設に邁進してきた台湾人と日本人が日本の敗戦によって突然の別離の時を迎えることから、ノスタルジーという文脈の上で好意的に捉えられている。 外国映画で描かれる悪辣な日本兵が一面の真実であるように、これもまた一面の真実なのだろう。 もっとも、台湾においては同じように日本の統治下にあった満州や朝鮮とは明らかに異なる様相が存在した。 映画のパンフレットには平野久美子氏が寄せた次のような記述がある。

 厚生省援護局の資料によると、先の敗戦によって海外から日本に引き揚げた人々は、軍民合わせて六百二十九万七百二人という。しかし、いまだに正確な数字がわからないのは、ソ連占領区となった満州や樺太、三十八度線以北の朝鮮では殺傷、略奪、拉致、餓死が相次いだためである。それに比べると台湾は奇跡的だった。大きな混乱も無く、全部で四十万を超える日本人が、米国の貸与したリバティ輸送船などに乗り込んで無事に離台できたのだ。

 戦後60年が経過しても未だに歴史問題で日本との軋轢が絶えない中国や朝鮮半島。 一方で、時折尖閣諸島の領有権をめぐって散発的な小競り合いが伝えられること以外目立った対立点もなく今日まで良好な関係にある日本と台湾。
 同じように統治されていた国でこれだけの違いが生まれたのは一体何故なのだろうか。 それについて書き始めるととても長くなってしまいそうな気がするので省略するが、端的に言えば、日本人と台湾人のメンタリティーには重なる部分が少なくなかったということになるのかも知れない。
 しかしながら、そうした日台の過去と悲恋のエピソードは、あくまで物語全編に流れる通奏低音に過ぎない。 この映画は本質的にはラヴストーリーであり、コメディ仕立てのバンドムービーであり、様々な挫折を経験した人々が集まり、ひとつの夢を結実させる群像劇である。
 アミ族やパイワン族など原住民と客家人(本省人)といった、それぞれルーツの異なる現代の台湾人の寄せ集めにすぎなかったバンドのメンバーが日本人の友子(田中千絵)という存在を媒介として一つに溶け合っていく。 劇中の言語は台湾語、北京語、日本語のマルチリンガルだが、台湾語と北京語の違いがわかるように字幕が工夫されていて、日本人の観客が台湾という国の多様性を理解するうえでも助けになる。
 周到に練られたシナリオも目を引く。 バンドの監視役の友子を含めた7人の主要な登場人物。 友子の乗ったロケバスと接触?して怪我をした茂(ボー)じいさん(林宗仁)の代わりに郵便配達夫の職を得た主人公の阿嘉(范逸臣)。 阿嘉の手で60年の時を経て届けられる7通のラヴレターに記された「海角7号番地」という、今の台湾には存在しない日本統治下の旧住所の宛先。 いくつもの「7」の符合。
 売れない日本人モデル・友子と、戦後日本人教師(中孝介)と悲恋の末に別離した小島友子(梁文音)。 おそらくは当時の皇民化政策によって彼女に与えられた日本式の名前なのであろう。 ここでも「友子」が重なる。 監督によれば「小島」という姓にも小さな島である台湾という意味が込められているという。 となれば「友子」という名前にも友邦への思いが込められていることは想像に難くない。
 そしてコンサート当日。 スコールが上がった後、不意に空に架かる虹。 それは日本と台湾を隔てた海への架け橋を象徴するものであり、60年間届けられることがなかった手紙が橋渡しされる前兆でもあり、阿嘉と友子の気持ちが通い合う予兆でもある。
 決して泣くような映画じゃないと思っていたのに、ラストの「野ばら」の合奏に涙腺の堤防は脆くも決壊した。

 最後にやっぱりどうしても触れておきたいことが二つ。 ラストへの壮大なネタフリであることは途中から薄々感じられたのだが、過剰なまでのキレキャラを演じた田中千絵(トニー・タナカの娘)への評価は観る人にとって分かれるところだろう。 ただ、台湾の人が思い描く日本人像としては、やはり一通のラヴレターすら出すことができなかった日本語教師の姿がそれなのであり、そんな「奥ゆかしい」日本人であるはずの彼女がキレまくることで本来自己主張の激しいバンドのメンバーたちが逆にまとまっていくという役回りでもあったのだろう。
 また、地酒「馬拉桑(マラサン=原住民の言葉で「酔っ払い」の意)」のセールスマンを演じた馬念先。 一度見たら百人中百人の視覚野に深く刻まれるであろう人相と、事あるごとに「マラサン!」と商品名である酒の名前(それが劇中での彼の呼び名になってしまうのだが)を叫ぶ特異なキャラクターだが、実在するお酒だそうで、このうえはぜひとも台湾を訪れて一杯やってみたいと思うのである。

 12月26日、シネスイッチ銀座を皮切りに全国で順次公開予定。 公開されたらもう一度、今度はチケットを買って観に行こうと思っている。


海角七号 - 君想う、国境の南 -
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by theshophouse | 2009-11-27 01:06 | Movie
アニエスの浜辺 Les plages d'Agnès


 「アニエス・ヴァルダ、81歳 まだ旅の途中・・・。」
 「アニエスの宝石箱をひっくり返したら、こんなステキな映画ができあがりました。」
 いずれもこの映画の小さなパンフレットに書かれていた言葉。

 ベルギー、ブリュッセルに生まれ、第二次大戦の戦火を逃れて家族でパリへ。 美術学校に通い、当初写真家をこころざし、やがて映画を撮り始めたヌーベルヴァーグの時代。 ルポルタージュのため渡航した中国やキューバ。 ヒッピー文化華やかなりし頃のロサンジェルス。 フェミニズム運動への傾倒。
 端役ながら出ていたジム・モリソン。 エッフェル塔の前で無造作に詰め込まれたバーキンの中の私物をぶちまけるジェーン・バーキン。 まだ俳優として見出される以前、ただの大工だった頃のハリソン・フォード。 ただただ美しすぎるカトリーヌ・ドヌーヴ。 そして、かつて彼女の映画に出演した村人たちや隣人たち。
 彼女とその家族を起点として、自身が駆け抜けてきた時代を縦糸に、コミットしてきた人々の姿を横糸に織り上げられていく一枚の色鮮やかな布。 無限の広がりを見せるソシアル・ブックマーク。 それは彼女自身のモノローグであり、彼女が生きた時代と友人たちをモザイクのように散りばめた映画。
 かつて自分の家族が暮らしたブリュッセルの家を訪ねた時、鉄道模型の蒐集家である今のオーナーに興味を抱くシーン。 夫のジャック・ドゥミと一緒に訪れたロバート・ラウシェンバーグの個展のエピソード。 アニエス・ヴァルダはこの映画で、周到にかき集めたマテリアルを見事にアッサンブラージュしてみせる。
 今はインターネットによってスチールもムービーも映像作品はすべてMAD(二次創作物)にされる状況下にある。 それを否定的に捉えるか肯定的に捉えるかという問題はあるのだが、映像作家自身が自らMADムービーを作ってしまった例は未だない。 この作品をそうした文脈で捉えるのは一面的過ぎるのかも知れないが、この映画は、オリジナルの作者が過去の作品に新たに撮り下ろした映像を加えて自らつくりあげた極上のMADムービーということもできる。 そういう意味でこの作品は映画史上のメルクマールになるのかも知れない。


アニエスの浜辺 
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by theshophouse | 2009-11-19 01:22 | Movie
The Birds Barbie
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 ヒッチコックの「鳥」。
 テレ東の「午後のロードショー」のヒッチコック特集の定番ということもあり、最低でも年に1回ぐらいはどっかの局で放送されている印象。 生来の鳥好きも手伝って、放送されていれば手を止めて最後まで惰性で観てしまう映画である。

 ペットショップで出会った弁護士ミッチに無礼な態度をとられたメラニーは、気まぐれと好奇心からミッチを追ってデボラ湾に向かうが、その途中一羽のカモメに襲撃される。 その翌日、カモメだけでなく、あらゆる野生の鳥たちが人間を襲い始め、小さな町は大混乱に陥る。 普段は人間に無害なスズメやカラスといった野生の鳥たちが突然訳も無く人間たちを襲いだす恐怖を描いた動物パニック映画の傑作。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5710/birds.html

 メラニー(ティッピ・ヘドレン)が鳥の群れに襲われるシーンは本作のハイライトだが、撮影には彼女を襲うように仕込まれた本物の鳥が使われ、彼女自身も逃げ出せないように床に縛りつけられていたそうである。 実際彼女は体じゅうを鳥に突かれたうえに左目の下に傷を負って半狂乱になったという。
 そんな知られざるエピソードとともに映画史上に残る名場面がバービー人形になった。 別にバービー人形に興味はないけれど、これはちょっと欲しくなった。
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by theshophouse | 2008-12-31 01:59 | Movie
ホルモンでーす
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 タイトルは、ドラマ「クライマーズ・ハイ」の前編のなかで一番印象的な台詞である。 映画のように小奇麗な料亭ではなく場末感満載の焼き肉屋でのシーン。 それは映画とドラマの違いを象徴するシーンでもあった。

 またまた「クライマーズ・ハイ」について書く。 何処からか「もういい加減にしろ」「そのネタは飽きた」という声が聞こえてきそうだが書く。
 映画を見終えた後に感じた何ともいえぬモヤモヤ感をどうしても払拭したいと思い、またしてもNHKのドラマを観ることを思い立ち、近所のTSUTAYAにDVDを借りに行ったのである。
 で、あらためて見直してみたのだが、何というか、もう完全にドラマの圧勝だった。
 まずドラマは脚本が原作に忠実につくってある。 多少の脚色はあるが、それらはストーリーに無理なく溶け込んでおり、むしろ作品としての重厚さを増している。
 映画においても俳優陣の熱演は光るものがあったが、やはりドラマの俳優陣に軍配が上がる。 キャスティングが豪華なこともあるが、それぞれキャラの立ち方が尋常ではない。 特に悠木の上司にあたる社会部長の等々力竜司を演じた岸部一徳。 焼き肉屋のシーンは神がかっている。 大和田信也演じる粕谷編集局長も、まるで時代劇の役者みたいなアクの強い演技が実に良い。
 ドラマにおいて印象に残るのは、編集局内で紙面と格闘する局員たちのシーンの音楽にフリージャズが流れていることだ。
 考えてみれば紙面をつくるという行為はジャズのそれとよく似ている。 通常の紙面づくりが、あらかじめ決められたコード進行に基づいて即興演奏を行なう程度の予定調和だとしたら、日航機事故のように大きな事件が発生し、時々刻々と新しいニュースが飛び込んでくるなかでの紙面づくりは、ハプニングの発生とそれを捌くインプロビゼーションの連続であり、さながらセシル・テイラーやオーネット・コールマンの演奏を思い起こさせる。 どう転ぶかわからない、モードからフリーへの劇的転換である。
 映画「クライマーズ・ハイ」にとって不幸だったのは、このドラマが先に世に出ていたことだ。 そして映画監督なら誰しも、既存のドラマとは違う作品をつくろうとするだろう。 原作を自分なりに解釈し、そこに自分の色を出そうとするだろう。 それが主人公・悠木の発する「チェック、ダブルチェック」という、映画「地獄の英雄」でカーク・ダグラス演じる新聞記者が発した台詞(僕はこの映画を観たことがない)であり、いかにも映画評論家出身の監督らしい。
 また必要以上に好色家然とした芝居を求められた白河社長役の山崎努も、そこだけ見るとまるで伊丹作品に出ているかのようであり、あまり意味のない演出だったと思う。 他にもドラマでは描写されていなかった配送車の鍵を奪いに行くシーンや、パンパンだった悠木の母親が男と映画館に行くシーンなど、独自の描写を意識し過ぎたあまり、悠木と息子の関係や望月亮太の事故死、それに伴う望月彩子の投稿といったストーリーの幹の部分がすっかり欠落してしまった。 尺が同じにも関わらず。 ラストシーンは言わずもがなである。

 あらためてこのドラマの完成度の高さに嫉妬した。


クライマーズ・ハイ(映画のレビュー) 
クライマーズ・ハイ(小説とドラマのレビュー)
横山秀夫中毒者の独白
Uncontrol !
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by theshophouse | 2008-08-08 01:25 | Movie
クライマーズ・ハイ
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 「クライマーズ・ハイ」は、これまでも小説とNHKドラマでその世界を堪能してきた。 小説はもう何度も読み返したし、ドラマも再放送など含め3回観た。
 そしていよいよ映画化となったわけだが、素材となった日航機墜落事故が起こったのは1985年、今からもう23年も前のことである。 当時僕は大学生だった。
 やはり映画は娯楽である。 23年という年月は、この悲惨な事故が、その扱われ方はどうであれ映画という娯楽の俎上に乗るためにどうしても必要な時間だった。 日航機墜落事故はそれほどまでに日本人に服喪させ続けた事故だった。 公開前、事故現場となった群馬県上野村において特別試写会が行われ、多くの村民が鑑賞したというエピソードも、実に日本人らしい仁義の切り方である。 アメリカにおいていわゆる「911」絡みの映画が事件後数年のうちにいくつも公開されたのとは対照的だ。
 もちろん二つの国の二つの出来事の間には様々な差異があり、単純に比較などできないことは知りつつも、僕は日本人で良かったと思う。 日本人の一人として、その日本人の「時間感覚」に賛意を表したい。 そして、あらためてこの事故で亡くなられた多くの方々に哀悼を捧げたい。

 テーマがテーマだけに一瞬たりとも笑えるようなシーンがない映画である。 プロットが同じだけに、やはりどうしてもNHKドラマと比較してしまう。
 地元で未曽有の航空機事故と遭遇した地方新聞社を舞台に、広告営業や販売といった部局間闘争や派閥抗争といった「内なる戦い」と、中央と地方というジャーナリズムの世界に厳然として存在するヒエラルキーに抗う「外との戦い」が活写されている。
 ドラマでは佐藤浩市が演じた主人公の北関東新聞の遊軍記者・悠木和雅を演じるのは堤真一。 個人的にはドラマでの佐藤浩市のイメージが定着していて、少しは違和感があるかなと思っていたが、さすが当代一の人気役者、見事に自分の役にしていた。 また、ドラマでは大森南朋が演じた県警キャップの佐山達哉役の堺雅人も同様だ。 更に言えば、整理部長の亀嶋を演じたでんでん、原作においては男性の役で群大工学部出身の3年生記者である玉置と編集部庶務の依田千鶴子が一緒になった「玉置千鶴子」を演じた尾野真千子も良かった。
 驚いたのは、映画化にあたって脚色が加えられ、原作やドラマにおいてストーリーの重要な部分であった、取材中に交通事故死した悠木のかつての部下の従妹・望月彩子とその読者投稿のエピソードがまるごとカットされていることである。 悠木はこの投稿を採用したのが原因で後に草津通信部に左遷されるのであり、故に悠木が北関東新聞社を辞めるシーン以降の最後のシークエンスは原作とはまったくの別物になっている。
 個人的にはこの望月彩子の投稿のエピソードを外したことには失望した。 「報道の在り方」という原理的なテーマに鋭く斬り込んだシーンだっただけに惜しまれる。 結果的に最後で悠木が辞表を叩きつけて出ていくような大失態を犯したわけでもないので、そのあたりのプロットの整合性には疑問が残る。 別物となってしまったラストシーンの海外ロケ部分もほとんど無意味。 蛇足とは正にこのことである。
 出演者の「キタカン(北関東新聞)」や「オオクボレンセキ(大久保清・連合赤軍)」など略語の多用や早口な台詞まわしはリアリズムなのだろうが、原作を読んでいない人にはツライいかも知れない。 基本的には「原作を読んでから観ろ」という姿勢の映画である。 さらに僕から言わせてもらえば、原作に加えてNHKのドラマも観てからこの映画を観て欲しいと思う。
 映画のスケールメリットが奏功し、御巣鷹山の墜落現場のシーンや谷川岳の衝立岩を登攀するシーンの描写はNHKのドラマを遙かに凌駕する。 しかしながら総合的に見れば、ドラマの方が出来が良かったと言わざるをえない。 それでも編集局内の描写は圧巻である。 今となってはやや前時代的な北関東新聞社編集局内の景色。 その中で大の大人たちが丁々発止、東奔西走の末に紙面をつくり上げていく。

 毎日降版(締め切り)までに紙面をつくっていくというのは大変な作業だ。 無論ただ紙面を埋めればいいというわけではない。 まずそこには正確な報道というものがあり、そして論説には新聞社としての主張が要る。
 子供の頃、「将来何になりたい?」という問いに「新聞記者」と答えていた時期があった。 しんぶんきしゃ。 世間知らずの童心ながらにその響きから発せられる知性とか気高さといったものに魅了されていたのかも知れない。
 小学生の頃、ガリ版学級新聞の編集長をやったことがあり、決して乗り気ではなかった他のクラスメイトの代わりにスクープから4コマ漫画まですべて自分でつくって発行した。 今から思えば至福の時だった。
 最近、その英語版で「変態記事」を10年にもわたって世界中に配信していたことが発覚して大幅に部数を減らした毎日新聞や、相も変わらぬ亡国路線で部数を順調に減らしている朝日新聞などを眺めていると、これらの新聞社には日本人としての誇りや報道人としての矜持といったものが欠落しているような人材しかいないのではないか、と疑いたくなる。
 そうではない。 そんな不逞の輩はごく一部に過ぎない。 この映画は、新聞記者、ジャーナリストという職業が、真実に真摯に対峙する姿が、やはりとても魅力的で格好いい仕事なのだとあらためて実感させてくれる。
 新聞の「色」は一面トップの記事や社説などにではなく、目立たぬベタ記事の扱いにこそ出るという。 受け取る側も、その行間に込められた送り手の思いを読み解く力を持ち続けていたいものである。


ホルモンでーす(ドラマと映画の比較)
クライマーズ・ハイ(小説とドラマのレビュー)
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映画『クライマーズ・ハイ』公式サイト
朝毎読「部数激減」の非常事態
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by theshophouse | 2008-07-23 02:11 | Movie
デスノートの歩道橋
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 いまタイで『デスノート』の L(エル)が爆発的人気になっており、もはや社会現象になりつつある。タイでは『デスノート』の主人公・夜神月(やがみらいと)や死神・リュークよりも L に人気があり、街中で L のTシャツや L のバッグ、L の人形や L のシールが売られている(それらは勝手に作った違法グッズがほとんどだが、日本からの輸入品もあるようだ)。
 タイの首都・バンコクはもちろん、どんな町を歩いていても L や『デスノート』をモチーフにした服やバッグ、ポーチ、アクセサリーなどが売られており、それらを身に着けたタイ人たちを多く見かける。『デスノート』のデスノートをそのままソックリに作り上げて販売している店もある。ノートの中はいままで夜神月が書いて殺してきた人物の名前が忠実に書かれている。つまり、夜神月が持っていたデスノートを忠実に再現したものだ。
 また、タイは最近までメイド喫茶(2008年5月に閉店)があったほどオタク文化が浸透しており、コスプレイベントも毎週のように開催されている。そうなれば、L のコスプレイヤーも当然ながら現れる。あまりの L の人気ぶりに、夜神月やリュークにコスプレする人は見当たらず、『デスノート』のコスプレといえば L というのが定番になっているほど。会場が L のコスプレをする人たちであふれかえることもあるという。ある意味、それはちょっとコワイ。
 L の人気はこれからも続きそうで、タイとタイのコスプレ会場から L がいなくなることは数年先までありえないだろう。もし『デスノート』ファンのあなたがタイに行くことがあるならば、L の日本のみで発売されている正規品のグッズを身につけていこう。きっと、タイの『デスノート』ファンたちから注目されるはずだ。

ソース : タイで『デスノート』の L が爆発的人気!【Ameba News】
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 「デスノート」がタイでもヒットしたのは知っていた。 以前僕が出張で行った時にもちょうど公開中で、街中にも各所にビルボードがあったりしたのを覚えている。
 やはり性別の垣根が日本より遥かに低いタイのこと、どこか中性的な L は魅力的に映るのかも知れない。
 ただ日本での公開時、評価がいまひとつだったスピンオフ作品「L change the WorLd」の評判はどうだったのだろう?
 この作品については、一部タイで撮影が行われたこともあり、そうしたこともタイでの L の人気に繋がっているのかも知れない。 
 この「デスノート」にまつわる裏話がある。
 主人公の夜神月(やがみらいと)の自宅だが、実在する個人宅がモデルになっているのだ。
 「デスノート」を制作したスタッフは、当初この個人宅でのロケを目論んだものの、家主の承諾を得られず、やむなくこの個人宅をスタジオセットとして忠実に再現するため、住居内をくまなく実測し、写真を撮影していったという。
 もっとも完成したセットで忠実に再現されたのは間取りとスケール感のみで、インテリアの色調や家具などのスタイルはいわゆるニューファミリーの郊外型住宅という感じのごくありふれたものになった。
 そして、このお宅のそばにあるのが、このスロープが特徴的な歩道橋である。 映画では夜神月と死神リュークが会話しながら歩いていたシーンを覚えている方もいるだろう。
 ただ、このスロープが架かる道はさほど交通量が多いわけではないので、この歩道橋はほとんど使われていないのが現状だ。 とはいえまったく意味を成していないというわけでもないので「トマソン」というわけでもない。 とにかく微妙な立ち位置にある歩道橋なのである。
 目下のところ、この歩道橋が「デスノート」の記念碑的な場所になっているわけでは決してなく、この歩道橋の名前でググってみても1件も引っかからない。 ここを訪れるのは、日常的にこの歩道橋の「脇」を通り過ぎる地元の人々と、慢性的にネタに困っているどっかのブログの管理人ぐらいのものである。

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by theshophouse | 2008-07-17 23:41 | Movie



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