試合が行われたラジャマンガラ・スタジアムは、僕が観戦するつもりだった昨年のアジアカップ、タイ対オーストラリア戦が行われた場所。 ちなみにこの試合、タイは終始アグレッシヴなサッカーを展開したが詰めを欠き、ヴィドゥカとキューウェルにチンチンにやられて0対4の大敗を喫した。 タイはホームでしばしば驚くべきパフォーマンスを見せるが、脆さも同居する。 今夜のタイはどっちのタイだろうか。
試合開始前から日テレの藤井アナの亡国実況が耳につく。 口を開けば中村の右足のケガのことばかり。 おまけに「この審判は昨年のアジアカップで日本が韓国にPK戦で敗れた試合を裁いたレフェリーです」と、わざわざご丁寧に不吉なエピソードまで紹介。 さすが「ドンチャンゴールイムニダ!」の藤井アナ、今夜も正常運転である。 藤井アナの中村の右足のケガへの言及は試合が始まってもいっこうにおさまる気配がないどころか、むしろ言い続けることで中村の右足に呪いでもかけようとしているかの如く執拗に繰り返される。 一方で中村は、その右足のケガもなんのその、軽快に動き回り、ディフェンスでも体を張る。 もちろん痛みはあるのだろうが、ピッチに立っている以上ベストを尽くす。 少なくとも画面を通して見る限り、その動きにケガの影響はまったく感じられなかった。 それでも藤井アナはなおも続ける。 「中村の右足は最後までもつのか?」 もうね、アホかと、バカかと。 前半、日本はこないだの横浜でのオマーン戦のように前線からプレスをかけた。 攻守の切り替えは早く、早い時間帯に点を取って試合を決めてやろうという意図が見てとれた。 果たして日本の目論見はあたり、セットプレーから釣男とボンバヘのゴールが決まって2対0で折り返した。 ところが後半に入ると、前半の飛ばしすぎがたたってか、徐々に日本の足が止まり始めた。 最終ラインは終始下がり気味になり、前線との距離は間延びし、コンパクトな状態を保てなくなってきた。 必然的に選手間の距離は離れ、プレスもかからなくなり、中盤に大きなスペースを空けてしまったところをタイに使われ始めた。 特に後半3分から入ってきたタナー・チャナブットのスピードに手を焼き、日本は受けに回る時間帯が続いた。 しかし、タイが脆さを露呈するのは、決まって自分たちが攻勢に転じている時である。 後半43分、途中から入っていた中村憲剛にゴールを許す。 やはり詰めが甘かった。 それでも、後半に限ればタイの方が日本よりいいサッカーをしていたと思う。 後半36分、釣男がエリア内に侵入したティーラシンを際どいショルダーチャージで防いだシーン。 日本はタイにショートパスをダイレクトで何本も繋がれ、完全に崩されていた。 日本のブレーキとなったのは、やはり両サイドだった。 左の駒野。 中村憲剛への浮き球のスルーパスは賞賛に値するものの、それだけだった。 むしろ印象に残ったのは前半に左サイドを駆け上がり、その挙げ句相手DFに見舞った崩れ横四方固め。 やはり芝生より畳の上でこそ輝ける選手だ。 内田についてはもはやコメントする気もおきない。 A代表はおろか、U-23にも不要な選手であることだけは間違いない。 あろうことか、あの加地さんのワンパターンの突破が、ゆるやかな放物線を描いた末にサイドチェンジと化すクロスが、危険なところを嗅ぎつける能力が高いがゆえにしばしば戦犯扱いされるディフェンスが、それらすべてがいとおしい。 本来両サイドは危険に満ちた「追い越し車線」であるべきなのに、日本のそれは登坂車線とか路側帯とか側溝の類いだ。 ここをどうにかしないと日本代表に明日はない。 タ、タ、タイランド~ 日本の右サイドはこれでいいのだ!/藤井アナの亡国実況
by theshophouse
| 2008-06-15 01:30
| 蹴球狂の詩
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