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或るホームセンター・ジャンキーの妄想
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 僕にとってホームセンターは行くだけで血沸き肉踊る場所である。 多種多様な工具類、ありとあらゆる素材、プロ仕様のアイテム。 それらが使われ、やがては生み出されるであろう創造物に思いを馳せる時、僕の心は果てしない高揚感で満たされるのだ。 こうした一風変わった性向を持つ者は「ホームセンター・ジャンキー」と呼ばれる。 もちろん僕が勝手にそう呼んでいるだけだ。
 僕の日常の行動範囲内にあるホームセンターは、「ドイト」「ユニディ」「ロイヤルホームセンター」「コーナン」「東宝日曜大工センター」の五つ。 それぞれ品揃えは一長一短だが、総合力ではドイトに軍配。 ただ、最近ドイトはドンキホーテ・グループに買収され、店舗網の再編が行われており、僕の行きつけだった青葉台店が撤退の憂き目に遭ってしまった。 今後のクオリティの低下が危惧されるところだ。
 ユニディもドイトに甲乙つけがたいポテンシャルを持つ。 僕が行く狛江店は何と言ってもガーデン売場が充実しており、苗木などの価格は非常に安い。 水性塗料売場では、豊富な色サンプルの中から指定すると、その場で複数の色ネタを混ぜ合わせて調色し、攪拌機にかけてサンプル通りの色を作ってくれたりもする。 寅壱指数、ニッカボッカ指数はかなり高い。
 ロイホ(僕にとってのロイホはロイヤルホストではない)はダイワハウスグループのホームセンター。 僕が行くのは梶ヶ谷店だが、これといって特徴のない平均的なホームセンターである。 通勤途中の場所にあるので比較的よく利用している。 昨年の9月に同じ敷地内にあるJR貨物の梶ヶ谷コンテナターミナルの下を抜けるトンネルで通り魔があり、黒沼由理さんというアルバイトの女性が殺された事件は記憶に新しい。 犯人は未だに見つかっていない。
 コーナンは港北ニュータウン店に行くのだが、とにかくデカい。 しかしながらデカいわりに品揃えはイマイチ。 とにかく僕の欲しいアイテムだけがピンポイントで置いてない。 とはいえ、食品以外の物はほとんど売っているせいかレジャー目的の家族連れが多く、ここに挙げた中ではプロの匂いが最も希薄な店である。
 最後に東宝日曜大工センター。 昔から世田谷エリアに住んでいた僕にとって成城店は一番馴染みの深いホームセンターである。 今でこそ郊外にちょっと足を伸ばせばいくつかのホームセンターがあるが、ひと昔前はここだけだった。 その名前が示す通り、「DIY」とか「ホームセンター」などという言葉がない頃にオープンした店であり、敷地内に隣接する東宝撮影所の大道具さん御用達の店でもある。 敷地内を流れる仙川沿いの遊歩道は桜の名所だ。
 久しぶりにその東宝日曜大工センターに行ったら、隣の東宝撮影所がリニューアルされていてびっくりした。 メインゲートに面する建物の壁面には映画「七人の侍」の大壁画。 警備員の詰所前ではゴジラの等身大?のモックアップが睨みを効かせている。 こういうのを見せられると、かつて斜陽とまで言われた日本の映画産業の復活を実感させられる。
 実は昔、この撮影所でとある映画の撮影現場を見学させていただいたことがある。 撮影スタッフに知り合いがいる友人が誘ってくれたのだった。 映画のタイトルは「山田ババアに花束を」。 当時絶頂期を謳歌していた山田邦子が主演のコメディ映画だった。
 今でも鮮明に蘇るシーンがある。 リビングルームのスタジオセットで見学していた僕ら。 僕はダイニングセットの椅子の背もたれに両手を掛けて撮影風景を見ていた。 やがてセットの中に共演の西田ひかるが入ってきて、僕から5メートルぐらい離れた場所にあるソファに座って台本片手に台詞の練習を始めた。
 人気アイドルとの予想外の遭遇に心の中で「ラッキー!」と叫んだ僕だったが、やがて西田ひかるは立ち上がり、遠巻きに見ていた僕と一瞬アイコンタクトした(事実です)のち、なんと僕の方に真っ直ぐに歩み寄って来て、僕が両手を掛けていた椅子に座り(!)、僕の目の前30センチで台詞の練習を再開したのだった。
 僕はそのあまりの距離の近さにビビり、自ら少し離れた場所に「撤退」した。 その後彼女と視線が合うようなことはなかったが、当時いたいけな青年だった僕は大いに妄想を膨らませたものだった。 曰く「あの視線はぜったい僕に気がある」だの「あの椅子に座ったのは僕の近くに来たかったからに違いない」だの。 挙げ句の果ては、いつか彼女と運命的な再会を果たし、あの撮影所での「初対面」の時を互いに回想する二人の姿を夢見てみたり・・・。
 冷静に考えてみれば、台本片手の女優が台詞を読みながらセット内での位置を確認していたに過ぎなかったのは明らかだが、僕がそのように冷静になれるまでにはしばしの時間が必要だった。 つまるところ女優とは一瞬の目配せで男を虜にする生き物なのだろう。
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by theshophouse | 2007-10-27 01:17 | Critique | Comments(2)
Commented by osakana306 at 2007-10-27 12:35
自分もホームセンター・ジャンキーです。
ユニディ狛江店も行きます。ドイトも事務所の近くに有るのでよく行きますが、最近駄菓子類コーナーが出来てます。やはりドンキの影響では?
武蔵村山、青梅方面に行くと「ジョイフル本田」「カインズホーム」等あり地方で売場もでかい為かなりの品揃えです。
Commented by theshophouse at 2007-10-28 12:16
>osakana306さん 昔、伊勢原で初めてカインズホームに行った時、ブルドーザーが売られていたのにはビビりました。
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