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天の配剤
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 僕はオーストラリアのサッカーが嫌いだ。
 プレミアリーガーをたくさん抱えるわりには、国技であるオージーボールみたいにフィジカルに頼った面白くも何ともないサッカー。 それだけに、そんな美意識ゼロのサッカーに叩きのめされた1年前のカイザースラウテルンの出来事は余計にダメージが大きかった。 日本がジーコとともに4年の歳月をかけて築き上げてきたサッカーがわずか9分のうちに瓦解したのである。 初戦でのつまづきは大きく、日本はグループリーグでドイツを去った。
 昨夜の試合は、ありきたりの言葉で言うなら「意地とプライドを懸けた戦い」だった。 結果はドローだったものの、PK戦で日本が勝利し準決勝に進んだ。 圧勝で借りを返すというわけにはいかなかったが、内容では終始日本が上回っていた。
 前のエントリーでも書いたように今大会もオーストラリアはいいサッカーをしていない。 タイのサッカーの方がスリリングで面白かったぐらいだ。 オーストラリアには、とにかくヴィドゥカに当てる以外に戦術らしい戦術は存在しない。 タイ相手ではそのフィジカルの違いだけで相手DFを子供扱いしたヴィドゥカだったが、昨夜は中澤と阿部に完封された。 昨夜日本中のサッカーファンがヴィドゥカのいないオーストラリアのサッカーを見たことだろう。 アロイージにしろキューウェルにしろケーヒルにしろ、みな個人個人は素晴らしい能力を持つプレイヤーだが、オーストラリア代表の中に入ってしまえばヴィドゥカという巨大な回転軸にぶら下がって、ただ周りをぐるぐる回っているだけに過ぎない。 それだけにオーストラリアベンチが早々にヴィドゥカを見切り、代わりにキューウェルが入って楽になった。 カイザースラウテルンの時はヒディンクが前線にもう一枚ノッポを入れ、ヴィドゥカへのマークが散漫になってやられただけに、この起用には救われたと言える。 ヴィドゥカはこのアジアカップを最後に代表を退く意志を表明しているので、昨夜が彼の代表でのラストマッチとなるかも知れない。 オーストラリアがアジアで真に危険なチームとなるのは、脱ヴィドゥカの戦術を確立した時だろう。
 日本はハノイに長くいるせいか、選手のコンディションが非常に良かった。 一部の選手を除いて出来も良かった。 中澤と阿部は完璧な仕事をしたし、鈴木啓太も惜しみなく動いてピンチの芽を摘んだ。 駒野は積極的に攻撃参加し、後半右サイドに入ってからも良く動いた。 遠藤と俊輔は落ち着いてボールを捌き、巻も献身的に動いた。 高原の同点ゴールには救われたし、能活のPK戦でのセーヴは3年前のVTRを見ているようだった。
 不満が残るのはミスが目立った中村憲剛と右サイドの加地さんということになる。 特に加地さんは相変わらずパスを貰っても自分で局面を打開する姿勢すら見せないでバックパスか横パスばかりで、縦にボールを入れるシーンがほとんどない。 相手DFを目掛けての正確無比なクロス、不安定感抜群のディフェンスは、まるでオーストラリアの12人目の選手かと見紛うばかりだった。
 準決勝に向けての光明は、その加地さんがケガで途中交代したこと。 きっとこれはサッカーの神様がアジアカップ3連覇を狙う日本代表にもたらしてくれた天の配剤である。 次戦こそはディフェンス面に多少目をつぶってでも右サイドに水野を使っては貰えないだろうか。 無論加地さんのことである。 「次は休め」と言ってもゾンビのようにしぶとく復活してくるだろうが、それでも水野を試して欲しい。 経験とは真剣勝負のなかでしか培うことができないものだからだ。
 日本はあと2試合戦える。 停滞しっ放しの日本の右サイドに「水をこぼしまくる人」はもういらない。 澱んだ水が腐臭を放っている右サイドに新鮮な水を注いで欲しい。
by theshophouse | 2007-07-22 02:19 | 蹴球狂の詩
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