Top
ホテル・ミクラス
 昨年末、熱海の古い温泉ホテルをフル・リノベーションして生まれたホテル・ミクラス。 そのミクラスの全館を彩るアートに拙店のアクリルフレームのオブジェを使っていただいたので、プレ・オープンしたホテルに、納品したフレームのチェックついでに泊まりに行ってみた。
 ホテルは熱海の海岸沿いの目抜き通りであるR135沿い。 熱海というと、ひと頃は温泉観光地として押しも押されもせぬ一等地だったものの、バブル以降は日本人のリゾートの嗜好も表面だけはずいぶん垢抜けし、そのせいでやや時代から取り残された感がある、というのが一般論。 先頃には就任間もない市長が、財政が危機的状況にあると宣言して波紋を呼んだ。
 しかし、元来ひねくれ者の僕はまったくそうは思わない。 だいたいすべてにおいてお洒落なリゾート地など、一昔前まで農耕民族だった日本人にはそうそうつくれるものではないし、そんなものが現実になったら僕はかなり「引く」と思う。 先日テレビで、最近相模湾を望む熱海の高台に四角四面のモダニズム別荘を建て、そこに自家用ヘリで到着したどっかの若社長が「熱海をモナコみたいにしたいんですよ」なんて言ってたが、んなもんなるわけがない。 そういう周囲の地域的コンテクストから逸脱したモダニズム別荘を身勝手に建ててしまう発想そのものがモナコにはないからだ。
 バブルの浮沈を経験し、何事にも経済効率が優先される日本社会ではリゾートもスクラップ&ビルド。 失われた10年も今や昔。 景気が上向き(実感はないが)のわりに超低金利の日本。 「リート」と呼ばれる不動産ファンドには有望な投資先という「捌け口」を求めて国内外の資本が唸り、経営が困難になった古いホテルや一等地を求めて彷徨う。 必然的にリゾートには最先端とノスタルジーが同居する。
 僕はそんな一見カオスのような日本のリゾート地が好きだ。 何百年と受け継がれてきた歴史とそれが醸し出すスノッブもいいけれど、「二極化」を体現している日本のリゾートも悪くない。 熱海はまさにそんな場所だ。
b0045944_113646.jpg
        ミクラスのファサード すぐ前を国道135号線が走る
b0045944_113274.jpg
 エントランス付近のサイン
b0045944_1261421.jpg
 エントランスからメインロビーを望む

 ミクラスのテーマは「アンチエイジングな大人の、Healing Stay Resort」である。 ほぼ全室オーシャンビューの客室は、コンフォート、エグゼクティブ・ツイン、スーペリア、スタンダードの4タイプ。 内装はモダンで、リゾートとしてはややクールな印象。 僕らが宿泊したスーペリアの場合、ベッドから正面に窓があり、眼下にサンビーチが見える。 眺望は申し分ない。
 客室内には大型液晶テレビとDVDプレーヤーが装備されているものの、ホテル内にDVDのライブラリーがなかったのは残念。 ちょうど正月でテレビが著しくつまらなかったのだが、今回のように自分たちで何もソフトを持ち込んだりしない場合は使いようがない。 また、客室にラジオやCDプレーヤーの類いがないのも少々不満ではある。 窓の外の潮騒よりもむしろR135のクルマの騒音の方が耳に届くからだ。
 部屋にはバスローブの他にワッフル地のルームウェアも常備されており、これがなかなか良い着心地で、思わず家に持って帰りたくなった(笑)。 アメニティはすべてロクシタン。 温泉大浴場があるので、客室内はシャワーブースのみ(スーペリア・ルームの場合)。
 料理は夕食と朝食が付く。 ともにコースメニューになっており、うちいくつかがチョイスできるようになっている。 フレンチがベースのメニューは地元の素材を使ったなかなか贅沢なもの。 量も抑え目でヘルシーな感じ。 ただ男性にはやや物足りないかも知れない。 当夜のメニューで美味しかったのは伊豆牛のステーキ。 ソースではなく二種類の塩でいただくのだが、これが絶品だった。
 ワインリストの充実ぶりは特筆に価する。 安物のワインはあまりない(フルボトルで8,000円~)が、ハズレもなさそうである。 妻が下戸なのでハーフボトル(4,000円)を注文。 かなりのワイン通をも満足させるラインナップではあるものの、庶民にはやや高めだろうか。
 レストランの内装はとにかくシック&クール。 スタッフの接客も親しみやすくて好感が持てる。 好みの問題だが、個人的には料理以外にも空間に潤いを与えるグリーンやアートが欲しいし、ライティングにももう少しメリハリが欲しいと思った。
 試しにバーにも行ってみた。 こちらも同じテイストの内装で、バーカウンターの奥を彩る数々の酒瓶だけが主張する空間。 バー・エリアとラウンジ・エリアに分かれており、ラウンジには閲覧用に洋書がディスプレイされている。 どうも昨年ラングーンで宿泊したストランドで連日通ったバーの印象がいまだに強く、その豊穣さ重厚さと比べると、このバーはまさに対極にある。 バーで重視すべきはバーテンダーとの距離感を含む空気感のようなものだと思うが、まだできたばかりのこのホテルのバーにそれを望むのは酷だろう。 それは時間のみが醸成できるものである。
 最後はこのホテルの目玉である温泉。 これは最高だった。 すぐに「最高」という言葉を使うのは僕の悪い癖だが、最高なものは最高である。 男湯は11階にあり、もちろんオーシャンビューである。 お風呂のうち半分は外気と隔絶される室内ではなく、大きなバルコニーに半露天状態で設置されているので非常に開放的。 熱海といえど1月の空気はさすがに寒かったが、じっくり長風呂するんだったらこちらの方が良さそうだ。
 女性の宿泊客(むろん男性でもいいのだが)にはSpa the Ceada(スパ・ザ・シーダ)がある。 今回は既に予約がいっぱいで、妻も体験することはできなかったが、今やスパはリゾートホテルには絶対に欠かせない付帯施設。 その良し悪しが客足に影響を与える重要なファクターのひとつである。
b0045944_1145786.jpg
 客室からサンビーチを望む 窓際にはソファーがしつらえられている
b0045944_1151449.jpg
 納めたフレームアート 透明アクリルのフレームに木製グリルのフローティング・オブジェ

 翌朝、ホテルを後にした僕らはそばにあった来宮神社に初詣し、その足で湯河原パークウェイと芦ノ湖スカイラインを経由して御殿場へ。 大好きな二の岡ハムのベーコンでも買って帰ろうというのではなく、プレミアム・アウトレットに寄るため。 他のアウトレットではまったく食指が動かない僕らも、ここに来るとなぜか途端に「買いモード」になるのだ。 一年中、人様に自分たちの商品を売って差し上げて生計を立てている二人にとって、たまにこうして散財するのは何よりのストレス解消。 今回は入場待ちのクルマの大渋滞で約1時間ほど到着直前で足止めをくってしまったこともあり、大して時間もとれなかったのだが、ついに念願のウェーブミュージックシステムをボーズのアウトレットで購入。 ウェーブミュージックシステムはすべてボーズのオンライン販売なので、30日間の試用期間中に返品されてきたものを分解して再検査後、クリーニングし、6ヶ月間のメーカー保証をつけた美品が定価の1万円引きで販売されている。 ヤフオクでどこの馬の骨とも知れない相手から買うよりよっぽどマシということで購入。 販売スタッフも数ある美品の中から更に一番キレイなものを選んでくれたりするので、気分はほぼ新品である。
 家に帰ってさっそく聴いてみると、やっぱり(・∀・)イイ!! これまで購入したCDをすべてコイツでもう一度聴き直したい感じである。 設置場所としては壁のそばに置くのがポイントのようである。 背後の壁に音が反射してさらに低音と高音の迫力が倍増するのだ。 それにしてもたかだか7万ぐらいのものを買うのに何年も決断できないでいたとは情けない話ではある。


HOTEL MICURAS
[PR]
by theshophouse | 2007-01-20 01:39 | Odyssey | Comments(0)
<< 七つのブログを持つ男 板橋の魔法使い >>



思うところを書く。
by theshophouse
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
カテゴリ
Critique
Asian Affair
蹴球狂の詩
Odyssey
Photographs
Iiko et Tama
Non Category
Food
Mystery
Design
アジア人物伝
Alternative
Books
Movie
Sounds Good
昭和
モブログ日報
F1
号外
Profile
以前の記事
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2001年 10月
フォロー中のブログ
国境の南
osakanaさんのうだ...
青いセキセイインコ推定4...
THE SELECTIO...
V o i c e  o...
わしらのなんや日記
90歳、まだまだこれから...
午前4時から正午まで
藪の中のつむじ曲がり
PISERO しゅうまい...
最新のトラックバック
エス東京オフィス
from はるの日常
才色兼備な「タイのセレブ..
from Boochanの宝探し
チベットでのジェノサイド
from わしらのなんや日記
経済別に選びたい放題!チ..
from Boochanの宝探し
IKEA for ママゴト
from わしらのなんや日記
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧