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「自由」の先にあったもの
 ドイツW杯2006グループリーグ第三戦、対ブラジル。 日本1対4の敗戦。 日本の決勝トーナメント進出はならなかった。 ジーコが監督に就任してからの4年間、執拗に追い求めた「自由」。 それはチームを一つの型にはめようとした前任者のチームづくりのアンチテーゼとして、さらには監督であるジーコのサッカーに対する信念から導き出されたものだった。 しかし、追い求めた「自由」の先にあったのは絶望だった。

 試合内容についてはここで多くを語る必要はあるまい。 王国ブラジルは、やはり日本代表の面々が男子の本懐を遂げるにふさわしい相手だった。 日本のサムライたちは、カナリア色の装束に身を包み、巧みな足技を披露する男たちにバッタバッタと斬り捨てられた。 常にボールをポゼッションされてパスを回されることで、日本の選手たちは受動的な動きを強いられ、次第に疲労を蓄積させていった。 前半こそ、玉田のゴールによる先制点もあって、スコア上は1対1だったが、ブラジルにしてみれば後半に日本を料理する下ごしらえがすっかり整った状態であった。
 後半はゲームというより、ショーに近いものだった。 ブラジルはその45分間のショーの中で、日本がジーコとともに4年間追い求めてきた「自由」の究極を見せてくれた。 やはりこの「自由」という分野で世界一になるのは無理だ。 なぜならそこには常にブラジルがいるからだ。 試合が終わった時、疲労困憊だった日本の選手とは対照的にブラジルの選手はたいして汗もかいていなかった。 彼らは楽しんでいた。 そして楽しんでいる時の彼らは手がつけられない。 日本のみならず、世界中のどの国も敵わない。
 クロアチアやオーストラリアがそうだったように、ブラジルよりも力量が劣る国は、彼らが楽しまないようにプレイする。 激しいボディコンタクトを厭わず、ボールをチェイスし続けることでセレソンにストレスを与え続けようとする。 そして、そこから生まれた僅かなほころびに活路を見い出そうとする。 それでもブラジルに勝ち切ることは困難だ。 日本は後半彼らを楽しませてしまった。

 すべてが終わった今思うのは、せめてこの試合が1年前だったら、ということである。 トルシエジャパンがホーム・アドバンテージがあったとはいえ決勝トーナメントまで進出できたのは、あの雨のスタッド・ドゥ・フランスでの0対5の大敗があったからだと思う。 あの時のフランスは今のブラジルに匹敵するインパクトがあった。 一方ジーコジャパンは、2003年のコンフェデでのフランスとのドロー、2004年4月の東欧遠征でチェコ撃破、6月マンチェスターでのイングランドとのドロー、昨年のコンフェデでのブラジルとのドロー、そして先日のドイツとのドロー。 2004年12月、0対3で敗れた横浜でのドイツ戦を除けば、ジーコジャパンは一度も大敗や惨敗を経験することなくW杯本大会まで来てしまった。 列強相手の善戦や勝利が、ジーコジャパンが内包していた危機を見えなくしてしまった。

 選手はすべてを出し切ったと思う。 ブラジル相手に「2点差以上での勝利」などという不可能に近い条件さえなければ、もっと違ったゲームになったし、もっと違った結果になったと思う。 しかし、それでもブラジルとの差は歴然だった。 ただ、その中で玉田のゴールで先取点を奪ったことは素晴らしかった。 ほんの一瞬だったが、いい夢を見させてもらった。 この大敗に落ち込む必要なんてまったくない。 ブラジルに3点差で負けてがっかりするほど今の日本のサッカーが強いとは思わない。 何せつい最近プロリーグが生まれた国である。 現在最高といわれる相手に力の差を見せつけられただけのこと。 これを糧に前に進めばいい。
 23人の選手たち全員にありがとうと言いたい。 ジーコに関しては、最後の最後まで訳のわからない選手交代を連発してくれて本当にありがとうございました。 監督として一流でないことだけは良くわかりました。

 ジーコジャパンへの総括は別の機会にすることにして今日はこのへんで。 日本は敗れたが、W杯のお楽しみはこれからだ!
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by theshophouse | 2006-06-23 23:19 | 蹴球狂の詩 | Comments(0)
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