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シンガポール旅行記 その9 ザ・フラトンホテル
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 今回宿泊したフラトンホテルは、自らプロフィール欄に書いているように、好きな建築要素であるドリス式オーダーが特徴的なホテル。  1928年に建てられ、1996年までGPO(中央郵便局)として使われていた歴史的な建物を全館リノベーションし、2001年に「The Fullerton Hotel」として生まれ変わった。 その名前は英国初代海峡植民地総督であるロバート・フラトンにちなんだもの。 こういう建築がその用途が変わっても次世代へ受け継がれていくというのはとても素晴らしいことである。
 リノベーションで各部屋のバスルームをデザインしたのはフィリップ・スタルクだというが、およそスタルクらしいデザインのかけらも見つけることはできなかった。 でも、そういう一見アノニマスなデザインも上手にできるところがスタルクが他のデザイナーと違うところでもある。
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 元々郵便局として使われていたホテルとあって、ちょうど今はそのファサードの一部を残して完全に取り壊された東京・丸の内の中央郵便局(CPO)の「保存」のされ方とどうしても比較してしまう。 もちろんそれぞれの建築の歴史的価値の違いや地震国日本における歴史的建造物の保存の難しさといった問題もあるだろうが、東京のCPOはこういう姿になるらしい。 安藤忠雄の表参道ヒルズにおける同潤会アパートと同じ「保存法」である。
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 都市をヒューマンスケールで読み解くなら、かつての郵便局の建物がそのまま低層部として残されるこうした保存法は、地震国日本にとって歴史的建造物保存のひとつのソリューションには違いない。 実際郵便局の前を歩く人々は、そこに以前と何ら違わぬ郵便局の存在を認めるだろうし、なかには僕みたいにピチカート・ファイヴのこのPVを思い出す人もいるだろう。



 しかし、やはり最善の保存は出来る限りそのまんまであること。 フラトンホテルは往時のフラトンビルディングの頃のポストカードと何ら変わっておらず、当時海沿いにあった建物は、その後海岸線が埋め立てられてマーライオン・ピアやワン・フラトンが造成されたためやや内陸に移動した。
 シンガポールにおいては、古いまま残すものと新しく造るものとがうまく住み分けられており、都市景観のなかでそれらがうまく調和している。
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 僕たちは2階に泊まっていたのだが、或る夜ちょうど部屋の真下に当たる1階のレストランでどこかの会社がニュー・イヤー・パーティーかなにかやっていて、客室に居てもやたらに騒がしかったのである。 夜の12時を過ぎても騒ぎはおさまらず、このままではとても眠れそうになかったので階下のレストランにクレームしに行ったのだった。
 レストランの入り口にホテル側のスタッフがいたので、ちょうど真上の部屋に泊まっているのだがうるさくてとても眠れない旨を告げると、僕の話が終わるか終わらないかのうちに何号室に泊まっているのか訊いてきた。 部屋番号を告げると、「今夜だけのパーティーで午前1時には終わる予定です。 本当にお騒がせして申し訳ありません」とのこと。 判で押したような対応は僕らの他にもクレームが来ていることを思わせた。 なにせ2階の自分の客室のみならず、エレベーターホールにいても重低音のビートが響いてくるのである。 ともあれ、あと数十分で終わる騒ぎだし、部屋番号も訊かれたし、もとよりクレームするのも苦手な性分ゆえ、何らかの「見返り」を期待しつつ部屋に引き揚げた。 ほどなくパーティーも終わり、ぐっすり眠ることができた。
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 その翌日。 夕方外出から戻った僕らをベッドの上で待っていた「見返り」の正体がこれ。 郵便配達夫のコスプレをしたフラトンホテル・オリジナルのテディ・ベアで、サファリジャケット風味のユニフォームの背中にはポストマスターの文字。 「これかよ!」と僕。 一方、「カワイイ!」と連れ合い。 さらなるサプライズを期待しつつ、念のため郵便配達夫のショルダーバッグの中をあらためてみたが、空だった。


The Fullerton Hotel Singapore
by theshophouse | 2010-01-24 00:08 | Odyssey
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