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失意
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 まずは最初のハードル、仮免の学科試験である。 今さら普通免許の試験問題集を購入するなどというのは屈辱以外の何物でもなかったが、僕が免許を取得した当時とは交通法規も変わっているので、最低限そのへんをおさえておくためやむなく購入した。 とはいえ、新品で買うのもアホらしいので「これだけ覚える普通免許問題」というやつをブックオフで調達。 2日間かけて延べ500問に及ぶ練習問題を何度も繰り返して頭に叩き込んで本番に臨んだ。
 夏休みということもあって学生が多いのは覚悟していたが、意外だったのは外国人が多いということ。 特定アジアから東南アジア、さらに西のイラン人とおぼしき人たちの姿をかなり見かける。 国際都市東京ならではだ。
 学科試験会場のなかには僕のような仮免許の学科を受ける人の他に本免許の学科を受ける人、原付の学科を受ける人が混在しており、隣り合った席に座っている人は違うカテゴリーの試験を受けているという状況である。 仮免の場合、50問中45問正解で合格。 制限時間は30分のマークシート方式である。
 入念に準備したかいあって、試験は問題なく終えた。 ほとんどすべて確信をもって塗りつぶしたマークシートのなか、一番悩んだのは次のような問題だった。

 『クルマを発進させる時はルームミラーやバックミラー等で後方を確認してから発進する』

 今となっては正解がわからないのだが、僕は×と解答した。 ミラーだけでなく目視での後方確認が必要だと考えたからである。 しかし、実際に発進するたびいちいち目視で後方確認なんてやらないと思うので、これは僕の考えすぎだったのだろうと思う。
 会場内にも数人の外国人の姿を見かける。 自分の国で免許を持っていてそれを日本のものに書き換える場合は、英語に加え他の数ヶ国語で記述された簡単な学科試験問題と実技試験をクリアすることで取得することができるが、一発免許の場合は都道府県によってその扱いが異なる。 東京の場合は複数言語による試験問題が用意されているようだが、自治体によっては日本語の試験問題しかないところもあるらしい。 そういう場所で外国人が日本語の微妙なニュアンスや引っかけ問題を解くのはなかなか大変だろうと思う。
 試験終了から約1時間後に試験を受けた会場で合否の発表。 会場内の前方に設置されている液晶ディスプレイに合格者の番号のみが表示される。 この種の緊張感を味わうのは久しぶりだが、発表は拍子抜けするほどあっけないものだった。
 画面に自分の受験番号が表示された時はほっとしたというのが正直なところ。 多忙ななかスケジュールをやりくりして府中まで来ているだけに、失敗して時間と労力を無にすることは許されない。 自分にも敢えてそうしたプレッシャーをかけて臨んだ学科試験だけに、ひとまず第一関門突破に胸をなでおろした。
 この時点でディスプレイに受験番号が表示されなかった受験者は会場を退出させられる。 席を立ち、不合格の人がぞろぞろと会場を出ていくと、会場内に残された人は約半分になった。 続いて、残された合格者たちには次のステップである仮免の実技試験、本免の実技試験についての手続きの説明が行われた。 東京都の場合ここで各自に「ピーボくんカード」が配られ、そのカードを所定の端末に入れて実技試験のスケジュールを確認したうえで日にちを決めて予約するシステムになっている。 夏休みということもあり、すぐ翌日などは既に予約がいっぱいで、自分のスケジュールとの兼ね合いもあり予約が取れたのは一週間先になってしまった。 予約が済んだ時点でこの日は終了となった。

 一週間後、試験場内のコースにていよいよ実技試験に臨む。 指定された時刻に会場入りすると、檀上にその日実施される実技試験の免許の種別ごとに、牽引、普通二種、普通一種MT、普通一種AT限定、大型などと書かれた紙が貼ってある。 しばらくするとその種別の数と同じ数の試験官がぞろぞろと入ってきて檀上に居並び、哀れな受験者どもを上から目線で威圧的に見下ろす。 久々に味わうアウェイの雰囲気。 テロ朝の角澤がその場にいたら「これぞまさしく大アウェイ!」と実況していたことだろう。
 ひととおりの説明が終わってそのまま階下のコースに降り、すぐに試験開始。 僕は2番目だったので後部座席に座る。 運転席に座る最初の受験者は韓国人女性。 後部座席からあらためてコースの下見をしつつその運転ぶりを見ていたが、スムーズさに欠け、ところどころ目視での後方確認も怠り、正直これでは・・・と思っていたらまさかのコース完走。 降車後、試験官から合格と告げられているのを見るに至って仮免実技の難易度がそう高くないことを実感し、多少楽な気分で運転席に乗り込んだ。
 いよいよ試験開始。 やはり事前にこの試験場内のコースで練習したのは大きかった。 試験官の指示どおりスムーズにクルマを走らせる。 確認の動作も完璧。 前の女性の時はたびたびチェック表に何かを書き込んでいた試験官も開店休業、ペンを走らせている様子はない。 全コースのほぼ80%を順調に走り終え、右折を支持された交差点の赤信号で停車した時、僕は合格を確信していた。 しかしそこに大きな落とし穴が口を開けて待っていた。
 信号が変わり、赤のまま直進と左折の青い矢印が点灯した。 右折レーンにいる僕のクルマは当然のことながら停止していなければならない。 ところが、何を焦ったか僕はクルマを発進させていた。 そして、発進させたのとほぼ同時にその判断ミスに気づきブレーキを踏もうとしたが、それよりも一瞬早く隣の試験官が強烈にブレーキを踏み、「信号は赤ですよ!」と怒られた。
 そこから先のことについては思い出すのも苦々しい。 まさかの試験中止である。 魔がさしたというのはこういうことを言うのだろうか。 やはりどこか平常心を失っていたのだろう。 周囲に他のクルマが一台も走っていないという非日常的な状況が実際の運転中では考えられない判断ミスを引き起こした。 これが法則発動(笑)か・・・。
 かくして「アウェイの洗礼」に無様に玉砕した僕は、失意のなかふたたびピーボくんカードを端末に入れ、翌々日に再試験の予約を入れて帰路についた。 その日と翌日はとても心穏やかでいられなかった。 頭の中で何度もあのミスがプレイバックされ、そのたびに己の愚かさを呪った。 幸いにも次の予約が2日後に取れ、悶々として過ごさなければならなかったのが約48時間で済んだことがせめてもの救いだった。(つづく
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by theshophouse | 2009-09-17 10:02 | Non Category | Comments(0)
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