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発覚
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 タイトルは真保裕一か堂場瞬一の小説のタイトルみたいだが、これから数回に渡って記すのはサスペンスでもなければ警察小説でもない。 この夏僕の身に実際に起こった出来事である。

 それは晴天のへきれきだった。
 決して晴天とは程遠い自分の日常。 晴天というより曇天、いや雨天、むしろ暴風雨というのが相応しいが、その出来事はそんな日常ですら紛れもなく晴天だったと思わせてくれるほどの衝撃をもたらした。
 ある日、何気なく自分の免許証に目をとめた僕は自分の目を疑った。 網膜に映し出された映像には「平成20年4月10日まで有効」の文字。 「たしか今年は平成20年だったはず・・・」と傲慢極まりない希望的観測を胸に今朝の新聞を引っ掴んで日付を見てみたが、突如時間が巻き戻るはずもなく僕はその場に立ち尽くした。 期限切れとなる日から既に1年半になろうとしていた。 全身から血の気が引いていく音がした。
 前回の更新は今の住所に引っ越してくる前の住所に住んでいた時で、免許証にはその時の住所が記されている。 住所変更の届けを出して免許証の記載内容を書き換えることを怠っていたため、今住んでいる住所に免許の更新の時期を知らせるハガキが届かなかったのである。 その間身分証明として保険証を使っていたので特段不自由も感じていなかった。
 その時点で僕は自分の免許が完全に失効したことを覚悟し、それと同時にまた一から免許を取り直すまでの悠久の時に思いを馳せてしばし呆然とした。 様々な思いが走馬燈のように駆け巡っていく。 二十数年前に免許を取った田舎の教習所の風景、S字、クランク、縦列駐車、鬼教官、免許取ったらすぐに無茶な運転して死にそうな若者たち、教習ビデオの憂鬱、当分クルマを使えなくなることによる仕事への影響等々・・・。
 そうして10分ほど現実逃避して思考停止状態にあった頭を再起動できたのは自分としては上出来だった。 とにかくクルマが使えないことは今の僕には死活問題である。 この状況を制圧するには免許を再取得するしかない。 当たり前の答えに到達するのにさほどの時間はかからなかった。

 まずは情報収集。 失効した人がどうやって免許を再取得しているかネットでざっと調べてみる。 時間と費用の面からみてもう一度自動車学校に通うなどありえない。 当然試験場での一発受験を目指すわけだが、いくら運転に習熟していてもやはり試験にはノウハウがある。 いかに短期間かつ最小限の費用で免許を再取得するか。 さまざまなサイトを巡回して情報を集め、それを自分なりに精査して得た結論は、一発受験の前に非公認のドライビングスクールに申し込み、実際に試験を受けることになる府中の試験場内のコースで1時間のトレーニングを受けるということだった。
 いくら日常的にクルマを運転していてもそこはやはり20年以上の運転歴を経ていくなかで自分の体に沁みついた運転の癖というものがある。 それは日常一般道路を走行する際に特に差し障りはないものの、運転の教則本に載っている正しい運転方法とは別物である。 したがって、いわゆる教習所内での模範的な運転をいまいちど体で覚えてから試験に臨む方が得策だと判断したのだ。
 8月某日。 とある非公認のドライビングスクールの教官の方と府中試験場で待ち合わせ。 府中試験場のコースは週末の土日は開放されており、料金を支払えば練習することができるようになっている。
 非公認のドライビングスクールといっても様々で、敷地内に練習コースをもっているところもあれば、個人経営で練習車だけを保有しており、試験場や他の自動車学校の練習コースに「出稽古」したりするものもある。 僕が頼んだのは後者。 挨拶もそこそこに試験場内のドライバーの控え室へ。 そこで簡単なレクチャーを受けたのちさっそく練習開始。 この日の同じ時間帯にコース練習する人は8人ぐらいだった。
 練習車はカペラ。 実際の試験で乗ることになるクラウンのコンフォートとほぼ同じ車格だという。 最初はgdgdだった。 右左折時や車線変更時などの「ルームミラー→サイドミラー→目視」という一連の後方確認の動作がなかなかスムーズにいかない。 インベタで左折できない。 一旦停止で2秒ぐらい止まるところ停止時間が短い。 踏切で窓を開けない。 カーブの途中でブレーキを踏んでしまう・・・。 しかし不思議なものでコースを何周かするうちに大昔に習った教習所的な運転の感覚が甦ってくるものである。 1時間の練習が後半にさしかかる頃には教官からツッコミ入れられることもほとんどなくなった。
 「今日の後半の調子で運転してもらえればまず仮免に落ちることはないでしょう」 教官からも太鼓判を貰い、あっという間に過ぎた濃密な1時間は終わった。 これにて準備完了。 いよいよ仮免の学科試験から僕の免許再取得への戦いが始まった。(つづく
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by theshophouse | 2009-09-16 09:40 | Non Category | Comments(2)
Commented by hika at 2009-09-16 22:26 x
大変ですね。
自分も試験場に仮免の実地を受けにいきましたよ、実地免除ではない自動車学校だったので。
かなり厳しかった記憶があります、当時 一緒に受験した連中の平均は7回とか8回だったような・・・
ちなみに自分は4回目で合格しました。
今までの自己流運転の癖が抜けなくて大変でしょうが頑張ってください
Commented by theshophouse at 2009-09-17 10:01
>hikaさん 最初から一発免許はハードですね。
ご心配いただきありがとうございます。
でも既に状況は終了していまして、過去にさかのぼって書いております。
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