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日本の家電メーカーに、喝!
 店で使うファックスを買おうと家電量販店に行った。 しかしそこには僕の眼鏡にかなうファックスは1台たりとて存在しなかった。 他の店にも足を運んでみたが徒労に終わった。 そうしたなかで気づいたことがある。 それは我が国の家電メーカーの個人・家庭用三大通信機器(電話、ファクシミリ、携帯電話)のデザインは我が国の過去のデザイン史のなかでも「史上最低最悪」であるということだ。
 よく「選択肢が少ない」という言い方があるが、前出の電話、ファクシミリ、携帯電話という現代人の通信における三種の神器においては「選択肢自体が存在しない」状態であると言っていい。 当初は多少の購買欲を持って店に行ったにも関わらず、店を出る時は憤りを通り越して悲しみを感じるほどに欲しいものがない。 メーカーは日本の消費が冷え込んでいる理由をよく考えるべきである。 断言するが、いま店頭にかっこいいファックスが1台でもあったら、月産10万台を超える大ヒットになること間違いなしである。

b0045944_235837.jpg今からおよそ8年前、第一世代の家庭用ファックス
色も黒でシブい 黒がこの頃の流行なのであった 操作系もシンプルである 今このようなデザインのファックスが店頭にあれば即買いである 一般的な事務所からSOHOオフィス、店舗まで設置場所を選ばないデザインが秀逸である その硬派なデザインから伺うことができるのは紛れもなくファックスというものが「男の家電」であるという明確なメッセージである 現在このようなファックスを手にいれる方法は限られている ヤフーなどのオークションサイトやHARD-OFFを探すしかないが、万が一見つかってもジャンク品であることがほとんどだ

 携帯電話のデザインもひどすぎる。 なんでたかだか電話かけるのにわざわざフリップごときを開かなければならないのか? 色もそうだが表面の質感が悪い。 どれもツルツル過ぎる。 カタチも画一的でどのメーカーのものもまったく同じに見える。 それら画一的な商品群の中で、そのあまりのヘンさで人目を引くカシオのG-SHOCK型携帯はガキのオモチャ以下の完成度でまったく論外である。 そんななかで健闘していたノキアだが、このたび新しく発売されたCCDカメラ付き携帯は、完全に日本メーカーのOEMになってしまった。 ノキアはその存在価値すら見失ってしまったのである。 魂を売り渡してしまったのである。 それもこれもひとえにそのような商品ばかりが売れる市場のデザイン的な成熟度の低さと嗜好の幼稚化という我が国の特異な事情がある。 嗚呼、日本市場恐るべしである。 僕は引き続き、無理やり日本仕様にしているため使い勝手が非常に悪いエリクソンを使用せざるをえない状況が続く。 実のところ、このエリクソンでさえ本当は捨てたいぐらいだ。
 ファックスは本当にひどすぎる。 多機能に過ぎるゆえに操作系が複雑になりシンプルさが失われている。 今のファックスとりわけ上位機種においてそれはパソコンを扱えない、もしくは持たない家庭においてのホーム・ターミナル的な家電という位置づけを与えられており、それゆえEメールの送受信ができたりLモードが利用可能であったりする。 僕から言わせればパソコンを扱えない家庭にEメールは必要ないし、Lモードなどはiモードの二番煎じ以外の何物でもない。 ファックスがただのファックスであり続けることがこんなにも困難なことなのであろうか? 僕にとってのファックスは送受信ができ、留守番機能があり、電話帳が使えればOKだ。 だが、そんなファックスはどこにもなくなってしまった。

b0045944_2363239.jpg今からおよそ4年前、第二世代の家庭用ファックス
この時期の各メーカーのファックスはいずれも中途半端なグレーである まったく日本の家電メーカーときたら旧態然とした護送船団方式で冒険というものがない よそがグレーにしたらうちもグレー、である 風通しの悪い業界の弊害をこうむるのはいつの時代も善良な消費者である デザインはかろうじてシンプルさを残しつつもややオカマ化の道を歩み始めている 色は男向けなんだけど操作系は奥様向け ファックスが家庭に普及し始めていった時代背景を反映したものになっている しかしながらできた製品はどっちつかずの消化不良 今オークションでもっぱら「売り」に出されているのがこの世代のファックスである 無理もない

 かくして僕はHARD-OFFのジャンク品を漁ってみたり、ヤフーのオークションサイトで古き良き時代の「まだ鑑賞に耐え得た頃の」ファックスを探すノスタルジーの旅に出るのだが、基本的に中古はあまり好まない人間である。 いいものが新品で売られていればそちらに流れるというごく普通の人間なのである。 このような僕が「欲しいファックスがない」と言っているのだから日本の消費が冷え込んでいるのも納得できる。  要するに、消費者が欲しいモノをメーカーが提供できていないという最悪の状態になっているのである。 そうでなければ空想生活ミューテックのコアな人気を説明する術はない。

b0045944_238943.jpg見るも無惨な現在のファックス
時代は黒からグレー、そして現在の白へと移行 そもそも業務用の白モノ家電から始ったファックスという機械が原点回帰したということなのであろうか それにしてもこの幼稚なデザインは一体何なのか? もはやファックスは男の手を離れ、完全に奥様家電に成り下がった そこに求められるのは炊飯器のようなデザインであって黒くてゴツイ髭剃りのような「男用」のデザインではないのだ それにしても各社似たり寄ったりの子機のデザイン、「子機についてはデザインすることを放棄する」業界内の暗黙の了解でもあるのだろうか これを持って電話をかけている自分を想像するだけで鳥肌が立つ

 各家電メーカーのプロダクト・デザイナーは一体全体何を考えているのだろうか? 東芝などはついに自社で抱えているデザイナーの能力に見切りをつけたか「家電王国」なるプロジェクトを立ち上げ、その第一弾としてイラストレーターの某氏にデザインを依頼した電子レンジを発売するという。 ウェブサイトを見ていただければわかるが、この電子レンジ、僕にはこれのどこがカッコイイのかまったくわからない。 こんなもののために社外の人間にわざわざお金を払うというのはナンセンス以外の何物でもない。 第一これでは社内のデザイナーに失礼である。 東芝のデザイナーの皆さんには同情する他ない。 おまけにこの電子レンジ、各雑誌でカッコイイと取り上げられているが、そもそも審美眼のない雑誌が氾濫し過ぎていて腹立たしい限りだ。 そうした雑誌は我が国のプロダクト・デザインのレベルを著しく低下させる一翼を担った責任を取り、即刻自主廃刊して罪を償うべきであろう。
 結局のところ、僕は近い将来ミューテックあたりからシブいファックスが発売されることを期待し、それまでの「つなぎ」としてブラザーの一番安いファックスを購入した。 このように消去法的な購入しかできないのが、悲しきかな我が国の家電デザインの現状なのである。 メーカーは猛省し、構造改革せよ。 大沢親分と張本ではないが言わせてもらう。 喝!
(2001/9/24出稿を再録)

※東芝の「家電王国」プロジェクトは既に破綻したようです。 自然の摂理だ。
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by theshophouse | 2004-11-24 02:46 | Design
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