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遅刻はいけません
 先日国内線の飛行機に搭乗した時のことである。 しばらく国内線の飛行機に乗っていなかったので、僕にとってはずいぶん久しぶりの羽田空港であった。 そんな久々のJAL機で思ったことがある。 搭乗時刻はおろか、出発時刻になってもお土産や雑誌を片手に遅れて機内に乗り込んでくる客の多いこと! おかげでその便は出発が遅れ、更にそのせいで同時刻の他の離発着便に滑走路を使われ、結局離陸したのは出発予定時刻を40分以上過ぎてしまったのである。 いつも海外に買い付けに行く時ディスカウント・チケットで行き、そのうえ更に搭乗時刻に厳格極まりない対応をみせるタイ航空をメインに利用する僕としては、許し難い我が国の現状と言うほかない。
 タイ航空では空港でチェックインする際にカウンター係から、出発予定時刻の30分前までに必ず搭乗するよう言われる。 この言葉をナメてはいけないと痛感したのは、一昨年バンコクからチェンマイに向かう便でのことだった。 タイ航空では通常チケットに記されている出発予定時刻がきた時には既にゲートが機体から切り離されているか、もしくは既に滑走路へ向けて動き出しているかである。 既にチェックインした客が乗っていなくても、その客に対するフォローは空港内でのファイナル・コールを何度か行うのみで、客が搭乗するのを待ったりはしない。 タイ航空に乗り馴れている地元の人はそのことを十分熟知しており、この航空会社の機で席が埋まるのは極めて早い。 しかし中にはカウンター係の指示を軽視し、乗り損ねてしまう人もいる。 機が動き出した途端、僕のすぐそばに座っていたオーストラリア人のグループが大声で騒ぎ出した。 どうやら仲間の幾人かがまだ乗っていないにも関わらず機がゲートから離れたことに慌てたようなのだ。 僕は、半泣きでスチュワーデスやチーフパーサーらと押し問答を続ける彼らを見て、「タイ航空、本気だな。」と思った。 30分にも及ぶ彼らの捨て身の交渉の末に機は滑走路の直前で泊まり、バカンスまるだしの格好をした脳天気なオージー数人が、タラップカーごと機に乗りつけてどうにか搭乗した。 彼らは自分の席に着くまでの間、他の乗客たちから憤慨と冷笑の視線の集中砲火を浴びたが、これといって反省の色はなし。 「気がついたら飛行機がいなくてびっくりしたよ」程度である。 今回の羽田でのことをこのケースに当てはめてみると、延べ20人以上の方々が「置いてけぼり」をくったことになるであろう。 それほどまでにひどい搭乗状況であった。
 僕は昔から飛行機に乗るというとどうしても身構えてしまう。 それは年に何度も乗るようになった今でも変わらない。 飛行機に乗るという行為は、同じ国内での長距離移動手段でも新幹線に乗るのとは訳が違う。 地上から数千メートルも上空を飛行するという行為は、悲しきかな太古から地表に貼り付いて暮らしてきた人間の遺伝子に「危険」を察知させるよう擦り込まれている。 僕のようなそんな古いタイプの人間にとってやはり飛行機は非日常の乗り物であり、それだけに出発時刻を守らないような連中の心情は理解に苦しむ。 飛行機をまるで自分が呼んで待たせているタクシーのように私物化するこうした行為は断じて許されるべきではない。 日本人のモラルの低下が叫ばれて久しいが、それはこうした公共の乗り物という社会的空間において特に顕著だ。
 実は僕もかつて浜松町からのモノレールを一本乗り損ね、出発予定時刻ぎりぎりにカウンターに辿り着いてチェックインしたことがあった。 その時はトランシーバー片手の航空会社のスタッフに先導され、全速力で搭乗ゲートまで走り、やっと思いで間に合ったことがある。 モノレールを降りてから飛行機に乗り込むまで走りっぱなしだったので機内の通路を歩いている時はハアハアと息を切らせていた。 ところが先日遅れて搭乗した乗客のなかにそのような緊迫感を漂わせている者は誰一人としていなかった。 僕も過ち多き人間である。 必死さが伝わってくれば「許してやるか」と思わないでもないが、お土産片手にヘラヘラしながら遅刻されては逆上せざるをえない。 そんな客は機が離陸して水平飛行に入った後に丁重にパラシュートを装着していただき荷物室(一般の非常口からだと減圧し、他の乗客に迷惑である)から放り出すべきだ。 僕はそんな彼らの断固たる姿勢に「日本航空、本気だな。」と唸るだろうし、翌日の紙面には「日航、モラル低下に前代未聞の荒療治」とか「日航、遅刻客にジェットストリーム」といった痛快な見出しが踊ることだろう。
 遅刻はいけません。(2001/6/13出稿を再録)

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by theshophouse | 2004-11-21 02:41 | Critique
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